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少しの願い

「私に稽古をつけてくれ!」

「私に知識を授けてください!!」


そうして目の前で頭を下げるのは第一王女アリアンナと第二王女ミリネリアだ。

先日の決闘?の結果はどちらも僕の勝利で終わった。

そこから何度か食い下がってはいたものの、マリーからの叱責もあり素直に認めたのだ。

ただ、そのまま負けては終わるわけにはいかないと、こうして僕に勝つために教えを乞うているわけだ。


「えっと、とりあえず頭を上げてください。」

「では、稽古をつけてくれるのか!?」

「では、私に教えてくれるのですか!?」

「いや、それはまた別の話で……。」

「「ちっ。」」


こんにゃろう。

この最近で人によく頭を下げられているがとても居心地が悪い。

かといってすぐに許そうものならこうして言質を取ろうとしてくる。

全くもって油断ならない。

だが、陛下からの手紙にあったようにこの人達はこんなことで諦めることはないだろう。

どうにもこの領地には納得できるまで留まるつもりでいるようだから。

つまりいつかは要求を呑まなければいけない。

でも今僕も領地内でしている施策を詰めている最中。

余裕もないのでこうして断っているのだ。


「……とりあえず今はやらないといけないこともあるので時間をください。その後であれば付き合いますので。」

「うむ、仕方あるまい。ジークハルト殿も領主になって日も浅いしな。」

「わかりました、いくらでも待ちますのでよろしくお願いいたします。」

「……かしこまりました。」


渋々僕は了承する。

目下やらないといけないのは街道の整備だ。

()()()の設立が正式にきまったので開校に際し多くの人が集まる。

それに備えて道を整備しなければいけない。

え?職業教育所ではなかったのかって?

そのつもりだったのだけど宰相から仰々しいといわれた。

そうして短くかつわかりやすい形に収まったわけだ。

内容としては以前決めた通りのクラス分けで教育者の派遣もしてもらえることになった。

着々と準備が整っていく。


「これで口減らしで減らしで捨てられる子供が少しは減ってくれればいいな。」


そんな願いを口に出し仕事を続ける。

あわよくば多くの人が過ごしやすい世の中になりますようにと願いを込めて。

そうして身の回りの人が悲しまず、笑って暮らせる場所になるように。

いかがだったでしょうか?

また明日更新予定です。

お楽しみに!


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