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王の嘆き

うっ、グラブル……爆死……

疲れを癒すためにグレイスは自室に移動していた。

ジークハルトとの話し合いも終わり、宰相と最終の打ち合わせを終わらせようやくゆっくりできると思っていた矢先のことだった。

バンッと大きな音を立て閉めたばかりの自室の扉が開かれる。


「何事だ!?」

「父上っ、私の可愛い天使がどこの馬とも知れないやつと婚約したというのは本当か!?」

「私もそれについて聞きたいです。」


何度言ってもノックをせずに部屋を訪れる娘二人を見て思わず天を見上げる。

なによりこの二人は今王城にいないはずだったからこそ余計に気が重くなる。

もう二十二になるアリアンナは前線にいたはずだし、十八のミリネリアに関しては知識欲を埋めるために学園都市へと無理を通して留学していたはずだった。

その二人がこうして戻ってきた原因は言ってた通りマリアンヌのことについてだ。

この二人は輪にかけてマリアンヌを溺愛していた。

当然それを周りに嬉しそうに話すが、実際のマリアンヌと会わせることはしない。

もちろんマリアンヌも何度か現地へ赴き奉仕活動を行っているが、大部分は話が先行して偶像上の存在として崇拝されている。

それも本人が気にしていることは親としても知っていることだが、成長の一助になればと放置していた。


「何度も言っているが部屋はノックして返事を待てを言っておるだろう。」

「そんなことよりもどういうことか説明くださいっ。」

「はぁ、あくまで本人の希望で婚姻は決めている。だからこそお前たちの婚姻も待っているのだろうが。」


二人とももうすでに結婚していてもいい年齢ではある。

それでもまだ縁談がないのは本人達の意思を尊重してのことだ。

加えて二人が掲げる理想が高すぎる点も大きい。

アリアンナは姫将軍と呼ばれるほどに武に秀でているが、自分よりも優秀且つ勇猛な人を夫にすると公言している。

ミリネリアに関しても貪欲なまでの知識欲を持っていてもなお、自分を飽きさせないだけの知識を有する相手を所望している。

そして王としても利益に繋がるような条件に合う人材が見つからない。


「くっ、ということは誑かされたということか。」

「一刻も早くマリーを助けにいかないといけません。」

「待て待て、お互い合意の上だと言っておろう!?それにお前たちはここに戻ってきているようだがいいのか!?」


とある部族との抗争は後数年かかる見通しだったし、留学もまだ二年ほど残っていたはずだ。


「そんなものマリーの為、速攻で終わらせましたとも。」

「そんなこともあろうかと単位は既に取得済みです。なので卒業して問題もないはずです。」

「まだ報告は来てなかったが!?今はそっちのほうを聞かせてくれないか!?」

「いえ父上、それよりも大事なことがありますのでこれにて失礼します。」

「私も行かねばならない場所ができましてので失礼します。」

「おい、待てどこに行くつもりだ!?おい!!」


二人の王女はすでに姿を消していた。


「このじゃじゃ馬娘共がぁああああ。」


王の悲鳴が王宮に響き渡る。

何があったのかと駆け付けた王妃に事情を説明すると「あなたに似たんですね~。」と困ったような笑みを浮かべていた。

グレイスは納得のいかない面持ちで恐らく向かったであろうブリュンヒルド領へと手紙をしたため早馬を飛ばしたのだった。

いかがだったでしょうか?

続きは来週の金曜日となります。

お楽しみに!


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