セバスとの会話
とりあえず頭の整理をするために一度解散することになった。
メリッサに子供達を送り届けてもらい、マリー達には部屋で休んでもらうように促す。
それから政務を行いつつセバスの帰りを待つ。
一応ある程度案が固まったとはいえ、あくまで子供の意見だ。
大人達がどう思っているのかを確認しなければならない。
間もなくしてセバスが戻ってくる。
「ジーク様、調査の結果を用意しました。」
「ありがとう。」
そうしてセバスから資料を受け取る。
内容を確認すると大体意見は半々で分かれているようだった。
「やっぱり警戒されてるのかな?」
「そうですね……。平民に何をされるつもりなのかわからず半信半疑、それにいくらこちらで費用を持つといっても元は税金ですのでそこら辺も含めて不安が大きいのかと。」
「んーせめて好意的な意見が七、八割は欲しかった感じはあるなぁ。」
「こればかりは仕方ないかと。実際に運営して成果を見てもらうのが一番なのでは?」
「それだと教育受けられなかった子と受けた子の差が開かない?」
「ですが、強制するつもりはないのですよね?」
「それはもちろん。」
「であれば妥協するしかないかと。むしろ前代未聞の事に半数の好意的な意見があるだけ良いかと。」
「それもそうかぁ。」
「全員を救いたいという思いもわかりますが今はまずそういう境遇の子を少しでも減らす方向で動くのがよいかと。」
「……そうだね。とりあえず幾つか纏めたもの確認してもらっていい?」
「かしこまりました。」
確かにセバスのいう通りだろう。
民全員に教育したくともすぐにできるものではない。
現状で満足しているものだって少なからずいるだろうし、今は口減らしで売られる子や孤児の受け入れ先を多くすることを目指そう。
そうしていずれは皆が幸せに暮らせるようにしていきたい。
「ジーク様、このコース?というのはなんなのでしょうか?」
「あぁそれは子供に職場の選択肢を持たせようと思ってね。」
「ほう……。」
今回の職業訓練所には識字率を上げ計算できる人材を増やすだけではなくその後の将来を見据えての選択肢をよういしている。
それがコースだ。
まず、入学して一年間は文字と計算、歴史など学んでもらう。
二年目からは自分が将来したい職業のコースを選んでもらう。
そして現役を引退した職人達から実際に学び技術を継承する。
有望なものがいれば推薦枠なんかを用意してもいいかもしれない。
そうして三年間師の元で修行してようやく卒業となる。
計四年で人材を育成するのがこの教育機関の目的だ。
ちなみにコースは大目に用意している。
騎士・兵士・冒険者・農家・薬師・鍛冶師・彫金師・商人・料理人等々。
さすがに用意する予定なので最終的に陛下から許可を貰って人を送ってもらわないといけないが。
いつだって人手不足だから拒否されないとは思っている。
ちなみに四年制にしたが、場合によっては期間を延長することも考えている。
コースによって五年制にしたりとか……。
そこらへんは実際に教師と相談かもしれない。
「私としても問題ないとは言い切れませんが……。」
「……後は宰相と相談してみるよ。」
もうこれ以上この場で考えるのは限界だ。
あとは実際に宰相に聞いて最終チェックしてもらう。
うん、頑張ったと思う。
思い付きがここまで大きなプロジェクトになるなんて思わなかったし。
それからセバスに手配してもらい宰相と面会を予定してもらった。
結果、一週間後に王都に向かうことになったのだった。
いかがだったでしょうか?
また明日続きを投稿予定です。
お楽しみに!
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