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思惑は何?

一度アンブレイス男爵を退室させて整理する時間を持たせる。

それから数刻後なんとか落ち着きを取り戻したアンブレイス男爵と再び話し合い場を設ける。

その間僕たちはセバスとメリッサが用意してくれたおやつを食べながら談笑していた。

当然先ほどのことなどなかったかのように和んでいた。

少しだけアンブレイス男爵が可哀想に思えてきたや。


「先ほどまで恥を晒してしまい申し訳ございませんでした。」


そうして恭しく頭を下げる男爵。

まるで憑き物が落ちたかのような顔をしている。

いや、特段変わったことをした覚えはないのにこんなすっきりした顔をされても怖いのだけど……。

どういうことなのかとメリッサに顔を向ける。

というのもアンブレイス男爵を別室で対応していてくれたのはメリッサだからだ。


「なんでしょうか?」


そういって嫌そうな顔でこちらを見てくる。


「いや、ここまでの変わりようどうしたものかと思ってさ。」

「特別何かした覚えはないのですが……。しいていうならおひい様の素晴らしさとほんの少しの公爵の良さをお伝えしただけです。」


いやそれだけではこうはならんだろと思うがまぁ聞かぬがいいこともあるだろう。

うん、なんとなく怪しく光る瞳を浮かべているのでこれ以上の追及はしないでおく。

この侍女のマリーへの溺愛っぷりが凄過ぎる。

正直この侍女の言いようも酷いがマリーの為が故の行為ではあるし、何か害しようというつもりもなさそうだから僕は気にしないでいる。


「そうか、うんわかった。それで、今回の件についてだけど―。」


それからこちらで掴んだ幾つかの情報をアンブレイス男爵に伝える。

聞いている間は静かに、そして憤慨していた。


「そう、ですか。結局私はまた踊らされていただけだったのですね。そうして大切な人を失って……。」

「アンブレイス男爵……。」


今までの境遇を鑑みても多少は可哀想に思える。

まあ何があっても男爵家に負けるほど公爵家は落ちぶれてはいない。

そこに関しては心配は全くしていない。

多少鬱陶しさはあったけども。


「一度私は王都にてこの件を伝えようかと思います。勿論僕の不始末も含めてですが。」

「そうか、それがいいだろう。わかっているならこれ以上は私から何も言うつもりはない。」

「ジークがいうなら私も何もいいません。」

「はい、ジーク様がおっしゃるならそれでいいです。」

「ありがとうございます。」


そうして再び深く頭を下げるアンブレイス男爵。

そのままアンブレイス男爵は退室して王都へ向けて出発する。


「何と言いますか何がしたかったんですかね?」

「よくわかりませんわね……。」

「ま、まぁ変に被害も出なくてよかったんじゃないかな?」


そうして苦笑しつつ答える。

確かにアンブレイス男爵もだが、ローレイル侯爵にしてはやり方が稚拙過ぎる。

余りにも僕を過小評価している説も否めないがそんなはずはないだろう。

ということはこれだけでは済まないだろう。

これからも警戒を強めつつ僕はまたこの領地での生活を守るために政務に戻るのだった。


いかがだったでしょうか?

とりあえずアンブレイス男爵との話はつきました。

ですがまだまだなにやら陰謀が迫って……?

来週お楽しみに!


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