そして迫る不穏
「ジーク様、一つお耳に入れておきたいことが……。」
「ん?なんだ?」
執務室でいつものように政務をこなしているとセバスから声がかけられた。
セバスは普段黙々と手助けをしてくれるが、こうやって仕事の合間に話すことはあまりなかった。
そのため、よほどのことだと思い手を止めて話を聞く態勢をとる。
「はい、実は最近とある噂が広がっているようでして。」
「へえ?どういうものなんだ?」
恐らくここでこうして話すということはいい話ではないだろう。
ましてやわざわざ僕の耳に入れる必要があるのであれば何かしら関連しているとうことか。
「それが、ブリュンヒルド領には今人を多く集めているとか。それも子供を特に重視しているのだとか。」
「ん?まぁ新たな学園設立のために受け入れの準備とか孤児を引き取ったりしているから間違いではないだろうが……。」
「えぇ、そうなんです。なので私も実際に学園が出来ればわかることなので特に問題にはしていませんでした。」
「……なにがあったんだ?」
「……それがそのことをあえて脚色して違法奴隷の取引をしている疑いがあると噂になっているのです。王都では陛下が娘の婚約者はしっかりと選んでいるからそのようなことはないと公言しているらしいのですが、地方の貴族や民は真偽に戸惑っているらしいです。それも特に南位貴族領は顕著なようです。」
「そうか、ローレイル侯爵あたりが何かしら仕掛けてきた……のか?」
「その可能性は十分にあり得るかと。しかしそうなると目的が少し見えないのです。」
「そうか?」
この場合僕が子供を招致していることで何かしようとしているのを邪魔したい、とかそういうことだと思ったが。
「そんな簡単なことではないでしょう。正直竜殺しの噂のほうが影響が大きいですので全く痛手にはならないと思いますし。」
「ふむ、となると何が目的だろう?」
「申し訳ありません、私も何かわかってからお伝えしたかったところなのですが思い至らず。早めに声をかけておこうと思いました次第です。」
「そうか、助かったよ。正直僕もわからないから頭の隅に留めておくよ。」
「はい、お願いします。」
そうしてまた執務に戻る。
先ほどの話は頭に残っていて正直動揺はしていた。
それでも今は仕事に集中すべきだと意識を切り替える。
でも一つだけ思うなら、平和だった毎日がただただ続いてくれるよう願うことだけだ。
それから数日後、南位貴族のアンブレイス男爵が屋敷を訪ねてきたのだった。
いかがだったでしょうか?
せっかくの平和な日々が……。
また明日続きをお楽しみに!
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