ウサギを止めて 最終章
はぁはぁはぁはぁはぁっ。僕は今までにないくらいのスピードで、
森の中を駆け抜けて行く。何度も転びそうになりながら、
仲間達の元へ向かっている。
(あのウサギを止めなければ!)その一心で走っている。
やっと仲間の所へとたどり着いた。
その頃仲間達は怪我はすっかり治っていて、ホッとした。
そして、「ごめんみんな!怪我が治ったばかりで無理な話かもしれないけど聞いてくれない?」
そう言って、僕はみんなに事情を話した・・・
「なるほどそう言うことなんだ・・」と、ロメナが深刻そうな顔をしていった。
すると「でも僕は、リリカに協力するよ。こんな素晴らしい楽園を壊すのを、
ただ見ているだけなんて僕にはできない。」そう言ってくれたのは、ビロナスだった。
僕は心から仲間がいてとても嬉しいと実感した。すると「でも、
どうしてそんなことをするのかなぁ?動物がノコギリを持っているなんて、
おかしくない?」と、ライヌが言うと「あっそれ僕も気になってた。
なんでそのウサギは人間の世界にしかないものを持っているんだろう?」
ロメナが同意した。そのことについては僕も気になっていたのだ。
捕まえられたら聞くことにしよう。そして
「ねぇ。じゃあ今からそのウサギを捕まえると言うことでいいかな?」
と僕は聞いた。「うん。僕はいいと思う。多分みんな同じ気持ちだよ。」
と、ミーストが言いました。すると「僕も同意するよ。」
「私も。」「僕も。」と次々に同意してくれた。その時
「誰か、助けて!」と言う声が聞こえて来た。僕たちがその声のする方に行くと、
そこにはあのウサギが、気を切っていた。そして周りでは動物たちが逃げ惑っている。
僕は、ミーストに合図をすると、ウサギの近くの茂みに隠れた。
そしてロメナ、ビロナス、ライヌ、キリヌに合図をすると、
4人は僕が隠れている茂みの中に入った。そして、
木を切り終わったウサギは、崖の方へ歩いていく。僕はみんなに、
「付いて来て。」と言うと、ウサギの後をつけて行った。
そしてウサギが崖の近くまでくると、僕たちは一斉に飛び出して、
ウサギに飛びかかった。この前は一人でやられてしまったが、
今回は6人だそうは行かない。だがキリヌが蹴られてしまった!
「うっ。」キリヌは地面に倒れこんだ。僕はキリヌに、
「そこにいて。」と言って、ウサギを押さえつけようとしたが、
もうすでにウサギはみんなを振り払って態勢を立て直していた。
するとウサギがノコギリを持ったまま飛びかかって来る。
このままでは、前にいるロメナが危ない!そう思い僕は、足を出してウサギに引っ掛けた。
すると、見事にバランスを崩したウサギは崖の方に転がっていく。
あそこには、バリア(勝手にそう呼んでいるだけ)があるから、
落ちる心配は何だろう。と僕は思ったが、もはや楽園はバリアを保つほど、
力は残っていなかった。このままでは落ちる!
そう思った時だ。なんとミーストが飛び出して来て、
キャッチしたのだ!ミーストに捕まえられたウサギは、
『離して!離しなさい!』そういって暴れているが、
ことごとくミーストに取り押さえられる。そして、
僕はそのウサギの手を体と一緒にロープで縛ると「なんであんなことをしたの?」
と聞いた。するとウサギからの返答は意外なものだった。
『はぁ。なんでって、聞いて答えると思う?』と、言って来た。
僕は「はぁ。」とため息をつくと、
「でも教えてくれないと僕も困るんだよ。君がたとえ人間の御方をしていても、
人間には言わないから。」と言った。すると
『何、あなたわかってるじゃん。聞く意味無いじゃない。』と言って来たのだ。
僕は驚いた。「君、もしかして・・当たってたの?」そう言うと、ウサギは
『あなたもしかして当てずっぽうだったの?あんな自信満々だったくせに。聞いて呆れるわ。』
と、言って来た。それで僕は少しムカついて
「なんだって?別に当てずっぽうでいいじゃないか。」と、ふくれっ面になって言った。
すると、ウサギは素直にも『いいわ教えてあげる。私はね、人間によって、
人工的に作られた生物なの。』と教えてくれた。僕は「なんで人間はこんなことを?」
と聞くと『人間はこの楽園の資源を使えず、動物がのびのびと暮らしていることに、
腹を立てていたの。だから私を赤ちゃんの頃から人間に従うと言う躾を私にしたわ。』
僕は「でもわざわさ人工的に作り出す理由がないじゃないか。
野生動物を躾すればよかったんじゃないか?」と質問した。ウサギはその回答に
『それは野生動物が人間に危機感を感じているから逃げてしまうし、
そう言うものは赤ちゃんの頃から躾をしないと意味がない上に、
大抵の野生動物は、赤ちゃんの頃を人間に見つからないように過ごしているから、
捕まえられないのよ。』と、あっさり答えた。僕は
「そっか・・」とだけ言って周りを見渡した。ほとんどの動物はバリアがないから、
崖を飛び越えて人間の世界に行ってしまい、ほとんどいない。
これも人間の嫉妬心が生んだ事態だ。
楽園はもう動物が住める場所ではなくなってしまったのだ。そこで、
「みんな。もうここには住めない。人間の世界で暮らさない?」と提案した。すると
「・・・わかった。確かにここはもう楽園じゃない。人間の世界で暮らそう。」
とキリヌが言った。それを聞いたウサギは『確かに。わたしも楽園から抜け出すわ。
いつかまた会いましょう。』そう言って、崖を飛び越えて何処かへ行ってしました。
僕は、もともとは人間の世界で暮らしていたんだ。今後もうまくやれるさ。
そしていつかお父さんとお母さんを探そう。 人間の世界でも生きられる。
そう思い、僕とキリヌ、ミースト、ライヌ、ビロナス、ロメナは崖を飛び越え、
人間の世界に足を踏み出した・・・
終
ここまで読んでくださってありがとうございました!
この話は外伝も書くつもりですが、本編はここで終了となります。
いかがでしたか?この主人公は、人間が嫌で楽園に逃げて来ました。
ですがその環境も人間の作戦によってボロボロに。
それで人間の世界に戻って来ると言うお話でした。
ちなみに、主人公含め、仲間のラミーは何との組み合わせなのかを、
紹介します。
リリカ・狐・狼・人間
キリヌ・狐・犬・人間
ロメナ・アメリカサラマンダー・トカゲ・人間
ミースト・ゾウ・ウサギ・人間
ライヌ・たぬき・虎・人間
ビロナス・チンパンジー・チーター・人間
以上です。
よければ外伝も読んでくれたら嬉しいです。
また、他にもシリーズを出すつもりなので、
よろしくお願いします。