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1 楽園を目指せ!

ハラハラするシーンも少し悲しくなるシーンもあります。

でも最後はうまく行きます。大丈夫です!

僕は親の顔を知らない。物心ついたときから一人だった。僕は狐と狼と人間の間に生まれた子で、

生まれつき長い牙と、狼の耳と、フサフサの尻尾、それから鋭い爪があった。

親がいない僕は、当然自分で食べ物をとってこないといけない。たまに人間に見つかって、

追い返されてしまう事もある。僕は今、網を持った人間に取り囲まれている。

僕は何回も食べ物を取りに行くうちに、人間にバレないように行動するのが上手くなった。

それに僕は、耳と鼻がとってもいいんだ。

でも今日はレストランの台所の床に落ちていた卵の殻を踏んでしまい、人間にバレちゃったんだ。

隙を見てなんとか逃げようと思っても、なかなか隙を見せてくれない。

そのとき、一人のコックが飛びかかって来た!

僕はとっさに右に走った。でもその先にもコックがいて、僕に網をかけようとして来た。

それを後ろに飛んで避けると、今度は左側からコックが飛びかかって来た。

僕がそれを避けようとすると、上からもコックが飛びかかって来た。

僕は一か八かで網の下をくぐり抜けると、近くにあった棚に向かって必死に走った。

下には騒ぎのせいでたくさんの皿が割れていた。走っているうちに、

皿の破片を踏んで怪我をした。でもなんとか棚の上によじ登った。

ここまでくればコック達も手を出せないだろうと思って僕が気を抜いた瞬間、

コックは高くジャンプして僕に網をかけた!僕はそのまま棚から落ちて、

頭を打った。頭から血が流れるのを感じた、そしてそのまま気を失った・・・・


どれくらい経っただろう?僕は目を覚ました。周りはコンクリートで囲われていて正面には、

鉄格子があった。そして首は鎖で部屋の隅の杭に繋がれていて、頭には包帯が巻かれていた。

どうやら人間は僕を殺す気はないようだ。殺すのなら気絶している間にしていただろう。

足の怪我も治療してくれている。僕の部屋の向かい側には、もう一つ部屋があって、

犬が閉じ込められている。そしてその間に通路があって人間が行き来している。

僕は試しに鎖を外そうと思いっきり引っ張って見たけれど、自分が苦しくなるだけだった。

僕は諦めて床に座り込んだ。これから自分はどうなるのだろう?

その時人間が僕がいる部屋の鉄格子の扉を開けて、中に入って来た。

そして鎖を杭から外すと、鎖の端を持って「ついてこい。」とだけ言って僕を部屋の外に連れ出した。

鎖は外れたけれど、人間が端を持っているかぎり、ここから逃げるのは難しそうだ。

その時、動物達の話し声が聞こえた。僕は動物と人間の子供だからどっちの言葉もわかるんのだ。

「そう言えば、人間が立ち入れない動物だけがいる楽園があるらしいよ。」と、一匹の猫が言った。

「本当?僕もこんなところじゃなくてそこに行きたいな〜。」と、向かい側の犬が言った。

その猫がいるのはちょうど僕の部屋の隣の部屋だから、戻って来たら詳しく聞こうと思って、

そのことを記憶した。そう思って立ち止まっていたら「おい、さっさと歩け!」と、

鎖を引っ張られた。僕は人間について行くことにした。抵抗しても意味がないだろう。

しばらく歩くと、「診察室」と書かれた部屋の前に来た。

僕は少し不安になった。何をされるんだろう?人間は僕をその部屋の中に連れて行った。

部屋の中にはベットと、そのほかのいろいろな道具がおいてあった。

人間は僕をベットに座らせた。すると白衣を着た人間が、注射器を持って来た。

そして、「これは病気にかかっていないかを確かめる検査だ。おとなしくしていてくれ。」

と言って、僕の腕に注射器を刺すと、血を吸い取って奥の部屋に行ってしまった。

すると別の人間が「部屋に戻るぞ。」と言って僕を部屋に戻した。

気がついたらもう夜だ。僕はそのまま丸くなって眠った・・・


翌朝僕は明け方に起きると、隣の部屋を覗いた。「楽園」の話をしていた猫の部屋だ。

でも朝早いからか、まだ猫は眠っていた。僕は仕方なく猫が起きるのを待つことにした。

僕が待ち始めて1時間ほど経ってから、猫があくびする声が聞こえた。

僕は「はっと」して、隣の部屋を覗いてみると、猫が起きていた。

僕は、「起きてすぐにすいません。昨日話していた『動物だけがいる楽園』の話を

詳しく聞かせてください。」と言った。すると猫は「あぁ昨日の子か。いいよ話してあげよう。」

と言って、話し始めた。行くには深い崖を飛び越えないといけないこと。

そこには人間が立ち入れない場所だということ。自分は行くためのルートを知っていると言う事。

そして崖の2Km前には人間の兵士がいるのだという事を教えてくれた。そして僕は、

お礼の代わりに、「ここから脱獄するつもりなんだ。一緒にこない?」と聞いてみた。

すると猫は「いいよ。喜んで手伝おう。」そう言ってくれた。

僕は猫に「ねえじゃあ一緒に脱獄するための作戦を考えてくれないかな?」と提案した。

すると猫は即座に答えた。「もう考えてある。心配いらない。」

僕は驚いた。この猫は一体いつからここにいるのだろうか?すると、

猫がまた話しかけてきた。「決行は今日の夜だ。みんなが寝ている時間さ。合図をしたら、

これから僕がいう通りにしてくれ。」そう言って猫はまた色々教えてくれた。


夜・・みんなが寝静まった頃、猫が合図をしてきた。

僕は目を覚まし爪を首枷の鍵穴に入れていじると、簡単に外れた。

自由になった僕は同じ様に鉄格子の扉を開けて外に出ると、猫も同じく外に出ていた。

こうなったら脱獄は簡単だ。もう扉はすぐ横なのだ。僕たちは扉を押して施設の外に出た。

外には塀は一切なく、市街地の真ん中だった。「ここから南に進むと、人間がいる崖の近くに出る。」

猫はそう説明して、先に走っていった。夜中だからか起きている人は誰もいなくて、

僕たちは誰にも見つからずに崖の近くの人間が警備しているところにきた。

猫は「ここは夜中も人が起きていて、ライトで周りを照らしている。うまく物陰に隠れて、

崖に近ずこう。」そう言って、岩やくぼみにうまく隠れながら進んで言った。

でも僕は体が猫よりも大きいから、真似をするのは難しい。でもなんとか岩や建物の陰に隠れて進んで行った。

でもその時事件は起きた。猫が人間に見つかってしまったのだ。僕は陰から飛び出して、

猫を掴むと崖の方へ走った。崖のところまでくると、猫をおろした。

するとなんと猫は「私は崖を飛び越えられない。君だけ行ってくれ。」と言った。

僕は驚いた。「そんな。ここまで一緒にきたのに。」すると、遠くから人間の声がした。

「あそこにいるぞ!」それを聞いた猫は、「早く!飛び越えて私は行けない。君だけでも行くんだ。」

僕は「わかった。」その一言だけ言って、思いっきり崖を飛び越えた。

猫はそれを見て満足げに笑った。自分が崖を飛び越えられないのに連れて行ってもらったのは、

あの場所から脱獄したかった事もあるが、何より少年の願いを叶えてあげたかった。それに、

少しの時間でも仲間が欲しかった。そして自分は今とても満足している。

「じゃあね・・」猫はそう言って迫ってくる人間から身を隠すために暗闇の中走って行った。


気がつくと僕は崖の近くの芝生に横たわっていた。僕が崖に近ずくと、

なにかの力に跳ね返されて、近くに行けない。

怖いことも苦しい事もあったけど、仲間ができて楽しい事もあった世界。

崖の向こうのあの世界にはもう戻れないのだと僕は思った。


ちなみに猫はうまく人間の手から逃れ、仲間を作ろうとしています。

                       続く

この作品を読んでくださってありがとうございます。

この作品は『僕』から見た視点で物語が進行して行きます。

『僕』は、辛い体験をしながら少しずつ成長して行きます。

他にもエピソードを作る予定なので、よければ見てください!



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