警察署
公園にはペンペン草は確かに生えていたが採る気が全く持って起きない。何故ならペンペン草に犬がオシッコをかける光景を目撃したから。
これでこれ食べろって言われてもね。まぁ食べないわな。
しょうがねー諦めるか。
ってなると今日食べ物は残念ながら何もないわけだけど、ここにいてもしょうがないので家に帰る事にした。
家に戻る帰り道一人の少女が電信柱の傍で疼くまっていた。
あれこの展開っていいんだよな。声かけていいんだよな。
「何やってんの?」
「···」
反応なし。まぁ最初はこんなもんだよな。だけどこの少女も金があるのは間違いないはず。
人間には三大欲求があり『睡眠欲』『食欲』『性欲』が存在しており、『食欲』が今やピークに達しそうだ。あー腹減った。
「取り敢えず家に来る。こんな所で座ってても危ないよ」
反応はなかったが誰かに肩をコツンコツンと叩かれたので、見ないで手を払い除けてもしつこく肩を誰かが叩いてくる。
「ちょっと何なんですか!? あ···」
青色の制服に腰には警防を装備していて、頭のには制帽を被っていた。
「君一緒に署までご同行してもらいますか?」
後ろを振り向くと中肉中背の爽やかなイケメンが俺に話しかけてきた。ちょまてよ。俺何かしたか? 別にやましいこと何て何一つ···あったわ。
現在進行形で目の前の少女を隙さえあれば自宅に連れて帰ろうとしていたわ。
だってしょうがないだろ。男の子なんだから。
むしろ自分で安心したわ。まだ女の子に興味がある自分がいて。まだっていうかずっとないと困るんだがな。
「ちょっと君聞いてるの?」
警察官は俺の顔の近くで手をブンブンと振っていて、気絶してないんじゃないかと確認を取ってきた。
「聞いてますよ。署まで行けばいいんでしょ行けば」
警察官は俺の近くにいた少女にも声をかけて一緒に署まで車で運ばれた。
どうやら先ほど俺の近くにいた少女は小学生で迷子の案内が出されていたので、そのまま親が来てその子は引き渡しされた。
本当にただの迷子だったわ。あぶねーあぶねー。思わず家の中で連れて帰るところだったわ。
「ちょっと君何の犯罪犯したの?」
失礼だわ。ただただ失礼だわ。
別に犯罪何て犯してないし犯す気すら···「ゴッホん」と咳払いをして仕切り直した。
「別に何もしてませんよ」
「カツ丼でも食べるか?」
完全にこの兄ちゃんは俺を犯罪者にしたいらしい。だって疑い方が尋常じゃないしカツ丼頼んじゃうんだし。
俺は深刻そうな顔でコクりと頷いた。
まさに取り調べ状態になったこの部屋に湯気を立てた、熱々で美味しそうなカツ丼が運ばれてきた。
ゴクリと喉がなると食べていいと許可が降りる前に蓋を開けて、勝手にカツ丼に食らいついた。
うめー。美味すぎる。
リカが出ってて以来だ。こんな美味しいご飯を食べる事が出来るなんて。
ペンペン草探す為に公園行くより今度から警察署に足を運んだ方がいいんじゃないのか。
どんぶりに入ったカツ丼を物の数秒で食べ終えたのでちょっと引いていたかも知れないが、そんな事はお構い無しに手を合わせてご馳走さまをした。
「普段何食べてるの?」
呆気にとられていた警官はやはりちょっと引いていたので、何か変な質問をしてきた。
「今日はペンペン草でも食べようかなと思っていた所ですよ」
「ペンペン草って君栄養失調で倒れるよ。それでさっきの小学生を誘拐して身代金を取ろうって考えだったのか」
「んな事しませんよ。それよりも想像力豊か過ぎますよ」
薄暗い部屋に備え付けてあるテーブルの光だけか俺達の間を照らしていた。
「そろそろ解放してもらってもいいですか? せっかくの休み何で家に帰って趣味の逆エゴサーチしたいので」
外の景色は見えないけど、もう日が沈んで暗くなっているに違いない。
早く早く指を鳩のマークのアプリに指を押して、リア充共を殲滅しなければ。俺はエアーで携帯画面にポンポンとタッチしていた。
「何なんですか。趣味の逆エゴサーチって?」
残念ながらそれは言う訳にはいかないです。バレたらそれこそ追放もんだ。
「ただのネットサーフィンみたいなもんですよ」
「何ですか? ネットサーフィンって。パソコンの中でサーフィン何て出来ませんよ普通」
これだから今の若者は一から百答えてあげないと意味が分からないから大変だよ全く。
勘違いするなよ。三十歳だからって全然若いからな。つーか年齢何て本人がずっと若いと思っていれば若いし、若くないと思ったら若くなない。ただ、それだけだ。
ちくしょうー。まさか自分が三十歳何ていまだに信じたくもないし、こないで欲しかったよ本当に。
しかもいまだに彼女いないもんな。本気で。自分でも驚くよ。
あんまり警官を待たすのも悪いので一通り説明すると、頷いていた。
「それじゃ僕はこの辺で失礼しますね」
といい立ち上がろうとすると、真剣な口調で「山本里香って知らないか?」と質問された。
警官を見ずに俺は適当な口調で答えた。
「知らない知らない。聞いた事もないよ」
「本当に?」
警官がしつこかったので後ろを振り向くと座っている椅子から鋭い表情で俺を見ていた。
怖い怖い怖いよ。
「本当に知らないし、そもそも女の子と付き合った事すら一度もないんだから」
真実だと確信したのか警官はニコッと笑い頭を下げて、出口の扉を開けて俺を解放した。