スマイル下さい
この後俺は一体どうすればいいのだ。
まぁ取り敢えず会社休むか。
携帯電話を取り出し会社に電話をかけて、今日1日休みをもらえた。
長野駅のホームにポツンと二人取り残され、他に乗車して
た人はどこかに消えてしまっていた。
女の子からのリードを期待したい所だけど、齢15の小娘に期待する方が無理な話しだよな。
「これからどうする?」
美少女の睨みをそらしながら俺は喋った。
「···」
美少女は相変わらずシカトを決め込んでいて反応がない。
おいおいどうすればいいんだよ。
取り敢えず取り敢えず呪文でも唱えようかな。テクマクマヤコンテクマクマヤコングラビアアイドルにな~れってな。
んな事してもどうせ無駄だしな。
「あのー話してくれないと何も分からないんだけど?」
よっしゃー。またかまずに言えたぞ。快挙だぞ、快挙。
「···」
無言かよ~。何、なんか恨みあんの。ここまで人と喋らない俺がこんなに頑張っているのに、何でこいつは頑張らないんだよ。
あれだぞ。今日こんなに頑張って喋ったから絶対熱でるぞ熱。
もう置いてきぼりにして全力で逃げようかな。それしても罪には問われないだろ。だっていい事したんだから。
俺は人がいなくなった場所でクラウンチングスタートの姿勢をとった。
今から全力疾走する事を決めたのだ。
「3···2···1···0」 と言ってロケットダッシュをきめようとしたら、背中からはみでている洋服を掴まれ、豪快に顔から地面に落ち、数センチ顔が地面に滑った。
「痛いんで···ど」
顔が地面にあるので上手く喋れないでいると、15の美少女が近付き睨んで見下すと思っていたら、目を細めて笑っていた。
「何してるんですか?」
この子ドSなの。絶対ドSだよね。
「あなたのせい何だけど」
「私のせい···ですか?」
いやどっからどうてみてもそうでしょ。
「まぁどっちでもいいや。そんなの。俺は帰るからまた」
俺は素早く立ち別れを告げて、歩こうとしたが身体中が動かない。
まさか地球の重力が俺だけ5Gになったのか?すいませんそれは携帯の話しでした。
後ろを見るとまた俺の背中の服を引っ張っていた。
「あのーいったい何をしたいのか?」
美少女はさっきまでの笑顔が消えてい、俯いていた。
「はぁ~」 とため息をつくと同時に長野駅に電車が着くと、人が一斉に降りて流れるように俺達も改札口まで強制的に連れてかれた。
俺達は長野駅の改札口から出ると、また美少女と二人だけになっいた。
「お金よく足りたね?」
俺のボロアパートから長野駅からここまで最低350円はかかるのに、この美少女は改札口をでていたのだ。
「お金ならありますから」
美少女は俺を哀れんでいるのか、少し声のトーンを下げて喋ってくれた。
何この美少女。もしかしてだけど、めちゃくちゃ金持ちなんじゃないのか。だとすると、こいつを脅迫して親から金を巻き上げられるって事も可能だな。
「で、この後どうすんだよ?」
美少女はまた俯き何も言わなくなっていた。
俺は頭をボリボリを掻きながら、美少女の手を繋ぎ長野市の街にくりだした。
「まずは腹ごしらえだ何か食いたいもんある?」 と聞いたが美少女からの反応はなし。
取り敢えずお手頃の値段で食べれる有名チェーン店ガ○トに足を運んだ。
店に入ると店員がマニュアル通りの接客をし、俺達はファミリーでも座れるテーブル席へと案内された。
俺はいつも思うのだが、マニュアル通りの接客ってお客さんに親近感を与えないから、与える為に『いらっしゃいませ神様』など少しアレンジをきかした方がいいと思うのだが。
そんな考えをしていたら、目の前に座っていた美少女は既にメニューを見ていて食べる気マンマンなんだろう。
「私はこれで」 と独り言か独り言か分からない声のボリュームで俺の方をチラっと見てきた。
あー独り言じゃないので。
テーブルの横にある丸いボタンを押したら店の電光掲示板にこの座席の番号だと思われるものが見えたら店員さんが慌てて来てくれた。
「ご注文は?」と店員さんに聞かれると美少女はナポリタンを頼んでいた。
店員さん俺は何するのかと目線を送ってきたので、しっかりはっきりっと「スマイル下さい」と言っていた。
店員さんは苦笑いをしていてもう一度「スマイル下さい」と言うと店員さんは去って行った。