豚を召還した
鳩のマークのアプリを開き検索項目に『リア充』と検索すると、でるわでるわ仲睦まじそうにしている学生の写真や社会人同士のカップルの写真。
ターゲットは間違いなくこいつらや。
俺はゴルゴ13並みの凄腕でターゲットにロックオンした。
もし一歩でも動いてみろ。動いたら俺は間違いなく、間違いなく弾丸をお前の顔に当ててやる。
ターゲット写真の見た目。
男性、爽やかな笑顔に中肉中背。
女性、可憐な笑顔にやや痩せ型。
年齢は20代位だと思われる。
東京へ旅行にでも行ったのか。
背景には渋谷にいる犬が男女の間に入り写っていた。
あームカつくわ。
ムカつき過ぎてその返の野良犬じゃ駄目なのか。
コメント
『素敵な笑顔ですね。
日中歩く時ときとかは注意して下さい。
何故なら屋上から太い眉毛の男が狙ってるからです』
よしこれでオッケーと。
違う写真を見るために下にスクロールして行くと、違うカップルの写真が写っていた。
ターゲット
見た目
制服を着ているので学生。
文化祭か何か知らんが学校の行事で撮った写真だと思われる。
背景に高等学校って写ってるんだもん。
俺はこういう奴らが嫌いだ。
何故ならこいつらは学校でもリア充生活を満喫しているからだ。
絶対こいつらあれだぞ。
学校でイチャイチャしててみんなから白い目で見られてるぞ。
羨ましすぎるぞ。
ごめんなさい。これが俺の本音です。
『授業中イチャイチャするのは止めてください。
もしイチャイチャしていたら太い眉毛の男が全裸で現れて、逮捕される姿をお見せします』
よしっと。
携帯を閉じて俺はベットの中に入り眠りにつ···けねー。
マジで寝れねー。
最近不眠症で全然寝れねーんだよ。
あれよ。
22時に布団に入るだろ、そっから布団の中で起きてて寝るの3時だぜ。
自分でもいつも驚くわ。
それで朝起きるのが6時と来たもんだ。
だから朝が怠くて怠くてしょうがない。 だるおもだわ。だるおも。
身体中がダルくて気分が重い事をいう。
布団に入り時間は夜中の1時。
やはり寝れない。
寝れないので一応念のため鍵をかけて残高200円しかない雀の涙的な金を持ってアパートを後にした。
真夜中はとにかく静かだ。
静か過ぎてついつい大きな声を出したい衝動に駆られたが、グッと我慢した。
何故なら近所迷惑なのは誰だって分かる事だから。
さすがに俺だってそれ位の事は分かる。
第一のコンビニを目的として、俺はそこまでの道をぐんぐんと歩く。
まさにウルトラマンが今すぐに困っている人を助ける為に向かっているように、真っ直ぐと。
コンビニに向かう時に公園があるのだが、そこで1人の女の子がベンチの上で疼くまっているのを発見した。
チャンス。大チャンス。
俺は額に二本指を当て相手の気を探りだし瞬間移動する並みの速度で、女の子に近付いた。
「どどど···どうさたのかなブヒ?」
極度の緊張で思わずカミカミになってしまったのと、語尾に豚を召還してしまった。
だって俺、哺乳類と喋ったの3週間ぶり位だもん。
女の子は今だに疼くまっていてぴくりとも動こうとしない。
しかも女の子っつうよりは少女だな。これわ。
だって疼くまっているフォルムがあまりにも小さいんだもん。
ま···まさか家出少女?
チャンス。大チャンス。
公園の街灯を照らされてる時計を見ると深夜2時を迎えようとしていた。
「あのーこんな所にいると変な人に声かけられますよブヒ?」
おっと思わずまた豚を召還してしまったぜ。
「···」
少女からの反応はない。
どうするか?このまま帰ろうか。
いやでもせっかくのチャンスだしな。
どうする?
俺の魔法が解けるのは深夜3時。残された時間は1時間弱。
「帰るか」とボソッと呟いたら、目の前の少女が突然立ち上がり俺の足元に飛び込んできた。
「ぐへへへ」と俺の笑い声だけご公園に響いた。
足元からでも分かるぞ。この少女からの柔らかい感触が。
「かえ···い」
少女がか細い声で何かを俺に訴えてきた。
「ん?ブヒ」
ヤバイ末期か。必ず豚がでてちまう。
「帰りたくない」
「よっしゃー。俺の家行こう」
少女は俺の足元でコクりと頷いた。