海の家
早い早すぎる。
リカは超チャレンジ辛さ百倍ラーメンを一瞬で一杯をたいらげ、続け様に二杯目にも手をかけようとしていた。
「いけるぞー!」
年甲斐もなく叫んでしまっていた。
リカも俺の声援に気付きラーメンの麺を啜りながらウィンクしてきた。
可愛いいじゃなかったかっこいい。
頼りになり過ぎだろ。リカの奴。
あの辛さをものともせずにリカは超チャレンジ辛さ百倍ラーメンを完食した。
しかも残り時間をまだ10分以上残してだ。
店員さんも開いた口が収まらず呆気に取られていたが、俺達は記念写真をばっちりと取りラーメン屋を後にした。
腹は膨らんだのだが問題は寝床をどうするかだ。
俺は別に野宿だろうが何だろうが構わないのだが、リカは 嫌···だよな。
いやでも待てよ。
今の時代は男女平等の時代だし、さっきのラーメンの食べっぷりをみたら男よりも男らしい。
それならば提案するしかない。
「リカさ。今日野宿してもいい? もうすぐ日も落ちそうだからさ」
「いやです」
この野郎生意気にも年上の言うことはきけよ。
ちょっとラーメンで活躍したからっていきがるなよ。
「じゃあ金は?」
手のひらを見せて金をちょうだいとジェスチャーしたがお金が渡される事はなかった。
無言のままビルの光景が続く道を歩いたが、野宿出来る場所もなかった。
やべーよ。
日も完全に落ちて視界すら悪くなってきたよ。
「ここはどうですか?」
新潟県は少し歩くとじゃなかった。だいぶ歩くと砂浜に着いた。
そしてリカが示した場所は焼きとうもろこし、かき氷など販売している「海のの家じゃねーかここ!」
「そうだけど何か?」
リカさん急に敬語になったりタメ口になるのやめてもらえますか?
統一してもらわないと俺驚いちゃうから。
「いや、人の家じゃねーかよ。ここ」
「バレなきゃ大丈夫ですよ」
以外にリカはやべー人間だと俺は初めてこの時気が付いたってもう中に入ってるし。
おいおい俺は知らねーぞ。怒られても。
「中結構広い」
なに~。超中入りて~。
ここまで歩いたらから足の疲れは限界に達しているし、女の子と一緒だからいやがおうにも気疲れしている。
「ちょっと来ないんですか!」
リカが悪魔の囁きを俺に呟いてくる。
くそ~中に入る。
おれは靴を脱ぎ捨て海の家に入った。
20畳位の大部屋と扉一枚挟んだ先には休憩室、外には何かの食材を焼くための網が置かれていた。当然屋根も付いている。
「今日はもう寝ましょう」
と言うとリカは座布団を何枚か敷き上で寝転んだ。
順応性高過ぎるだろ。
疲れているのは間違いがなかったので、寝転んだら自然と瞼が重くなり眠りに落ちていた。
「起きろ!!!」
朝から怒号が聞こえたので俺は一瞬で目が覚めた。
目の前には俺を見下している金髪坊主で鼻と目にはピアスが数本刺さっていた。おまけに筋肉質で程よく日焼けしている。
「はい」
「お前泥棒か? お!」
金髪坊主は顔を近付け上下にふって威嚇してきた。
こえ~し、こいつ絶対不良だよ。海の家の不良だよ。
「も···申し訳ありません。体力の限界だったものですからおもわず、めちゃくちゃ気持ち良さそうな畳が在りましたのでつい」
「いい訳すんじゃねーよ!」
低い声でこの場を制し、俺の精神も金髪坊主に支配された。
あれそう言えばリカは。
辺りをキョロキョロしていたら金髪坊主から「おいどうした?」と声をかけられた。
「もう一人女の人いなかったですか?」
「あ、いたよ。そこで働いてる」
と金髪坊主が示した場所を見ると焼きとうもろこし数本焼いていた。
「おい、お前何やってるの!?」
俺はおもわず、リカの側に駆け寄り声を掛けていた。
「何って、働いてるんですけど」
信じられん。あの我が儘女王リカが働いてえるだと。
「お前も一泊分の宿泊費ここで働いていきな」
めんどくせー···けど働かざる者食うべからずか。 しかも非があるのは完全にこっちだしな。
俺はコクりと頷き仕方なく了承した。




