第2章 ★ 審判の星(13)ファイナル・カウントダウン②
(13)ファイナル・カウントダウン(Part2)
異常は電波障害だけではなかった。彗星の接近に伴い二つの巨大な天体は、千年の恋がようやく実り、やっと出逢えた恋人同士のように、お互いを求め合っていた。
☆強大な重力干渉で、異常現象が各地で大きくなった
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重力干渉による海面の急上昇に伴って、史上最大の大津波。
大気圧の急激な変化により、大竜巻や稲妻の嵐。
異常な重力場がもたらす大地震と、それに伴う地割れ。
火山の大噴火と、それに伴う溶岩の激流。
狂っていた惑星環境人工コントロール装置は、とうとう無用の長物と化した。
地底を激走していたサンダー・トレインが、ゆっくりと宙を舞う。
当然の如く人々は逃げ惑い、都市は大パニックに陥った。
逃げるといっても、何処にも逃げ場はない。
助けを求めても、誰も助けることができない。
人々は跪き、天を仰ぎ、祈るしかない。
これ程までの天変地異が一度に起こってしまっては、彗星が衝突しようが、回避されようが、それは大差ない問題であった。既に地表は壊滅状態に陥っていた。
☆ミカリーナは、ようやく妹と連絡が取れた
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強い電波障害のため無線通信がつながらず、やっとつながったTV電話も画像は乱れ、音声だけの通話となった。
ノベリーナは喜んで来てくれるものと、ミカリーナ達は思っていたが、その返答は違っていた。
「わたくしには、母から頼まれた大事なお役目があります。それに、お父様のことが心配です。わたくしは、まだここに残ります。いよいよの時が来ましたら、お父様を連れて脱出しますから、心配なさらないで。お姉様たちは、お先に……」
ノベリーナの言葉が少し途切れた。それは胸の奥に想いが詰まったためなのか。
一息入れると、ノベリーナはつづけた。
「それから、ジーニアウス様には……、よ~ろ~し~く~お~伝え(ください)」
(ザーッ、ザーッ、ザー……)
最後の言葉を伝えるノベリーナの声は震えていた。それは強い電波障害のせいなのか、それともノベリーナは泣いていたのか。通信は突如途絶えて確かめようもないが、鋭い直感能力を有する姉には、妹の思いを汲み取れた。
「ノベリーナ。もしかして、あなた……、ジーンのこと?」
宇宙船の出航準備が完了したところで、キャプテン・ジーンは決断を下した。国王の勅命にかけても、今できる最善の方法を取るしかない。
「さあ! 出発だ」
ジーンは歯切れよく出航の号令をかけた。
シルバーファルコム号はサンライズ・スペースポートをあとに勢いよく飛び立った。まるで大空を舞うコンドルのように、滑らかで実に美しい飛行である。
銀白色に輝く反重力宇宙船は、真っ白な一筋の飛跡を残し、宇宙へと向かう。
その勇姿は、まさしく『宇宙ファルコン』の旅立ちであった。




