〜脱獄しよう〜
ゆったり投稿しております。泡橋 よぞらです。
スキルアップしていきたいと思っていますので、アドバイスや、ご指摘等よろしくお願いします!
~レガリー町のとある豪邸にて~
「ふっふっふ…… 」
レガリー町の6分の1を占める土地を持つ、町一番の貴族、カリアル家。
莫大な金と権力を所持しているこの世界屈指の富豪である。
この町の実権を握っているのは無論この家族であり、その権力は絶大であった。
その家族の1人、カリアル マヤは不気味な笑みを浮かべていた。
「もう少しね、カタール 」
「左様でございますね 」
執事であるカタールが忠実に答える。
「やっと我が家の夢が叶うわ…… 」
そう独り言を言うと、再び不敵な笑みを浮かべた。
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「親父、なんでここに居るんだ? 」
荒れ果てた土地で、監視官にバレないように地面を耕しながら話す。心の底からの質問だった。自分は捕まる理由があるが、親父にはない。
「いや、俺もよく分からないんだ。あの後、鎧を着たやつが来て、連れてかれたんだよ 」
「よく分からない?! 」
驚きすぎて声が裏返ってしまった。何もしていないのに捕まるのは明らかにおかしい。
日本ならバリバリ憲法違反だ。異世界は本当になんでもありなのか。
「あ、あの…… 先日は、助けていただいてありがとうございます 」
親父の後ろからひょこっと顔を出したのは、昨日助けた(?)女の人だった。
20歳くらいだろうか。すらっとした風貌に、優しそうなタレ目で、ふわふわしたオーラが漂っている。
「あ、近藤 翼っていいます 」
「あ、や、アナトリス カタルバっていいます」
あたふたした様子で女性が答えた。これはあくまで予想だが、ドジっ子なんだろう。
「アナトリスさんは、なんで捕まったんですか?」
「それが…………………… 」
「わ、分からない!? 」
彼女も捕まった理由が分からないそうだ。一体どうなっているんだこの国は。
「翼、とりあえずこんな所で足止めをくらってたらキリがない。一緒に脱獄しないか? 」
もっともな意見だ。俺らには魔王を倒す義務がある。こんなところで道草を食っててはいけない。
「脱獄しますかぁ 」
わざとだるそうに言った。なんかそっちの方がかっこいい。俺たちなら脱獄なんて余裕でできる気がした。
「アナトリスさんも一緒に脱獄しましょう!
仲間がいると心強い 」
「い、いいんですか?ぜ、ぜひ! 」
こうして、俺たち親子と1人の女性の、3人パーティーが結成された。
それから2週間、脱獄の計画を練った。
どうやらここに来る時にMPを抜かれているらしく、力技は使えないようだった。やはりそう簡単にはいかないらしい。
だから、地道に物資の調達や、情報収集、この建物の構造などを研究した。
正直、結構この建物は構造が不安定で、割と簡単に抜けられそうだった。
どうやらこの建物には地下通路があるようだった。
老朽化が進んでいて、今は使われていないらしい。
~2週間後~
「よし、計画は完璧だ! 」
2週間の間、必死で計画を練っただけあって完璧な計画が出来上がった。これなら脱獄も容易にできるだろう。
「じゃあ実行は明日ということで 」
『了解! 』
とはいえ、なんだかんだで俺も緊張していた。
脱獄なんて自分とは無縁だと思っていたから、いざとなると怖い。
失敗したらどうしようとか、そんなマイナスの事ばかりを考えてしまう。
こんな時に緊張しない方法があったら知りたい。ネットがあれば調べられたかもしれないが、だいたい信用ならないから関係ないや、などと考えていたらいつの間にか眠りについていた。
~翌朝~
ジリジリジリジリリリリリリリリリリ
不愉快な音が獄内に響き渡る。この音とも今日でおさらばだと思うと気分が晴れる。
緊張は解けていないが、不思議と高揚感に包まれていた。
点呼や朝ごはんを済ませたあと、例の荒地に向かった。
計画開始だ。
荒地に着くと、親父とアナトリスさんがもう着いていた。3人で軽くハイタッチをした後、俺は息を大きく吸い、叫んだ。
「龍王の息(Dragon King's Breath)!!!!!!」
俺の手から、赤色のモヤモヤとした炎のようなものが放たれる。
赤色の物体は、この施設の壁を破壊した。
ものすごい爆風が囚人を襲う。
風が治まると、破壊された壁の向こうに緑色の大地が見えた。
「外だー!!!!!!! 」
囚人のひとりが歓喜の声を上げる。
その声を起爆剤に、囚人たちは壁の穴に目掛けて走っていった。監視官も収拾がつかなくなっておろおろしている。
「行くよ! 」
「おう!」
俺たちは、囚人の群れとは反対方向に走り出した。
先程のパニックで警備が甘くなっていて、簡単に地下通路にたどり着くことが出来た。
準備段階で入手しておいた鍵を使い、地下通路への扉を開けた。
計画通りだ。
「上手くいきましたね 」
「そうだな!」
こんなに上手くいくとは思わなかった。
そう、さっき撃った『龍王の息』は、実際には撃っていないのだ。撃つふりをした、と言った方が正しい。
~2週間前~
「そういえば、アナトリスさんのスキルはどんなものなんですか? 」
「あ、や、全然使い物にならないんですけど……
妖狐の幻惑(The illusion of a fox)っていう、幻惑
系のスキルで……MPなくても使えるんですけど、全然攻撃出来ないんです…… 」
要は、MP無しで幻惑魔法が使えるってことだ。
最高じゃないか。
「アナトリスさん!すごいですよそのスキル!!」
感動しすぎて、アナトリスさんの手をブンブン振り回してしまった。
「ふぇ?あ、や、やややや、」
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要は、アナトリスさんの幻惑スキルで、穴を開けたように見せたってことだ。囚人たちには申し訳ないけど、もう少しの辛抱だ。
「しっかしこの通路不気味だな。幽霊とかでそうだぞ 」
親父がまた適当なことを言っている。まあ確かに妙に薄暗く、じめじめしていて不気味だ。
「ひっゆゆゆゆ幽霊だなんてそそそんな 」
アナトリスさんはどうやらビビリなようだ。またあたふたしている。
そんな幽霊なんて出るわけないじゃないか。
「ん?誰か俺の肩叩いたか? 」
親父がとぼけたことを言っている。
「いや、誰も触っていないと思うぞ 」
「う、嘘だろ 」
「いや、ほんとだが 」
「はは、早く出ようぜ、ははは 」
明らかに親父の表情が引きつっている。
なんだ、親父もビビりじゃないか。
全く、みんな頼りないなあ、なんて思っていたら、誰かに肩を叩かれた。
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