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~異世界の街と謎の老婆~

2話目です。文体や内容がおかしかったらご指摘等よろしくお願いします。

行ってらっしゃいませ。

「なんじゃこりゃああああああああ !!!!!」


 異世界の街、ドゥジンクス王国にて、台詞とは似つかない可愛らしい声が街中に響き渡る。

 まあ、無理もない。自分の姿が急にふさふさのケモ耳が付いた美少女になっていたらだれでもそうなる。親父は酷く落ち込んでいるようだ。


「まあ、そんなに落ち込むなって!可愛くなったんだからいいじゃねえか! 」


「お前他人事だと思いやがって…… 」


「とりあえず、もう暗いからどっかに泊まろうぜ 」


「とほほ………… 」


 親父が元気がないのは置いといて、とりあえず、寝床を確保しなければいけない。しかし……


「親父、金持ってるか? 」


「あ?あるわけねえだろ! 」


「ですよね…… 」


 一通り街を回ったが、この世界には通貨の概念が存在していて、どうやら俺たちは一文無しのようだ。


「今日は野宿かな…… 」


「そうだな 」


 突然の異世界転移にもかかわらず、金もくれないとはケチすぎないか?

そんなことを思いつつ、野宿できる場所を探していると……


「よいよい、そこの旅人さんや。良かったらわしの家に泊まっていかんか? 」


 腰の曲がった老婆がこっちを手招きしている。今にも倒れそうな体を古そうな杖が支えている。


(おい親父、怪しくないか?あのばあさん )


(ああ、絶対なんかされるぞ。気をつけろ。)

老婆に聞こえないように、親父と相談する。よし。



「あのーちょっと今急用を思い出しましてー

御遠慮させていただきますー 」


 学生時代に培った愛想笑いを駆使して、マニュアルのような対応をする。「すみません 」と言いながら、後ろを向く。完璧だ。





「お主ら、この世界の者じゃないじゃろ? 」




「!!!!!! 」


 振り返らずにはいられなかった。まさか異世界転移のことをしっているのか?俺らが転移した原因を?

親父も驚きを隠せないようだ。


「婆さん、何か知ってるのか? 」




 老婆は親父の質問には答えずに、言った。



「良かったらわしの家に泊まっていかんか? 」


 怪しいが、行くしかない。この世界の何かを知っているのなら。



 老婆の家は、決して豪華とは言えなかった。必要最低限のものしか置いていなかったが、まるで俺らが来るのを分かっていたように、ベットがふたつ並んでいた。


「今日は遅いからもう寝なさい。」


 素直に従うことにした。昼間、めちゃめちゃ走ったから体がもう限界だった。


「おやすみ、親父 」


「おう 」


 俺はすぐに眠りに落ちた。






-翌日-


 あーよく寝た。昨日の疲れが一気に吹っ飛んだ気がする。

 ふと隣を見ると、親父が腹を出して寝ていた。

いつもなら気にしないのだが、親父の姿がケモ耳美少女ならば話は別だ。自分自身の邪念と葛藤しつつ、理性が勝利し、親父に毛布をかけた。


 部屋を出ると、あの老婆がいた。


「おやおや、起きたかね、待っておれ。今朝ごはんを作ってやるから。と言っても、もう昼じゃがな。

フォッフォッフォ 」


 そう言われてみれば、もうこんなに明るい。どうやら寝すぎたようだ。


「ほれ、ごはんじゃよ 」


「ありがとう 」


 美味しそうな目玉焼きとフランスパンのようなパンだ。


「婆さん、何か知っているんだろ? 教えてくれないか? 」


 昨晩から気になっていたことだ。絶対に何かを知っているはずだ。俺らがなぜここに来たのかを知っているかもしれない。


「俺たちに必要なことなんだ。教えてくれ 」


「フォッフォッフォ ずいぶん必死じゃな。確かにわしはお前らにとって重要なことを知っている。

しかし、これを知るには見返りが必要じゃ。」


「見返り? 」


「左様。あの女の子を連れてきてはくれんかね? 」


 なぜかは分からないが、とりあえず親父をたたき起こした。


「くっそなんだよ、人が気持ちよく寝てるっつうのによお 」


「で、話の続きを聞かせてくれ 」

不機嫌な親父を無視して老婆に言った。


「よく聞け2人とも。この世界は荒れ果てておる。

 この国は幸い被害を受けていないのじゃが、魔族による略奪と侵略によってこの世界は今、戦争の惨禍に見舞われておる。」


「魔族…… 」


「だから、魔族の王である、デノスピアルを倒して欲しいのじゃ。さすれば、お前たちの知りたいことになんでも答えてやろう 」


「ま、魔王?無理無理無理!!!!!怖いし、死ぬの嫌だし!!!なあ、親父!」


「息子よ。それには同感だ 」


「まあ待て。二人共。この世界には『スキル』というものが存在する。『スキル』は原則一人一つ。この街に役所があるから、そこで調べてきてもらいなさい。さすれば、お主らもやる気になるじゃろう 」


「スキルだかなんだか知らないけど!魔王は怖いの!やる気になるわけないでしょ! 」


「まあいいから調べてきなさい!」




バタンッ


  俺と親父は、外に追い出された。

くっそ……魔王なんて倒せるわけないじゃないか。

昨日なんかずっと逃げてたんだぞ?俺はまだ死にたくないんだよぉ……


「とりあえず、役所とやらに行ってみるか、翼 」


「そ、そうだね。行こうか 」


泣きそうな顔を隠しながら、親父に続いた。



小さな背中が、ほんの少し大きく見えた。







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