〜本当の恐ろしさ〜
もう雪が大量で雪かき大変です……
今回は不思議なかいとなってるので、ぜひ楽しんでください!
それではごゆっくり、
「さて、そろそろ気づいたかね。あの洞窟の本当の恐ろしさに…… 」
情報屋エデンの本棚の裏。そこはひっそりとした秘密の部屋になっている。メイソンの父が遺していった大事な部屋だった。
その部屋で1人、メイソンは高らかに笑っていた。
「馬鹿な奴らだ。世間知らずがこの世界で生きていけるわけがねえだろ!この世界は情報が全てなんだよ!!!! 」
メイソンの父がよく言っていた。
「この世界は、情報で出来ている 」と。
「ふぅ。俺がカリアル家を滅ぼす。それは変わらねえ。まあ、もう横取りするやつは地下深くで眠っているだろうが」
情報屋エデンには、何回かカリアル家についての情報を求める人が来たことがある。その度に、メイソンは追い返してきた。どんなに金を積まれても、どんなに頭を下げられても動じなかった。「駄目だ 」の一点張りで貫き通してきた。
「…………………… 」
あの三人の眼を思い出す。他の奴らとは何か違うものを感じた。彼は職業上、その人がどんな人かは見れば直ぐに分かった。
「あいつらは……あの人と同じ目をしていた…… 」
もしかしたら…………と考えてしまう。
「まあ、あの洞窟から生還出来ればの話だが 」
頭を振ってリセットし、机に向かう。
片時もあの家族を忘れたことは無い。毎日あの家族を滅ぼすことだけを考えてきた。
この部屋は、ある家族の情報で詰まっていた。
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「おい、これどういう事だよ……? 」
頭の処理が追いつかない。人生でこんなに現実を見たくないと思ったのは初めてだ。
「多分、洞窟を間違えたか、こいつがボスじゃなかったかのどちらかだと思う。どちらにしろ、こいつがネルマン洞窟のボスじゃないのは明らかだ 」
「まじかよ………… 」
「じゃあまだ戦いは続くってことですか? 」
「そうなるね…… 」
「……………… 」
重い空気が漂う。
「まあ!しょうがないですよ!!あんな大っきいのと戦ったんですから、ボスなんてちょちょいのちょいですよ!! 」
「アナトリスさん………… 」
相当傷ついているだろうに……。気を使わせてしまった。
「そ、そうだな!!ちょちょいのちょいでやっちゃうか!! 」
「はい!!!!!! 」
すこしだけ空気が軽くなった。正直、もう体力的にも精神的にもピンチだ。この状況でボス戦はさすがにきつい。
でも、やるしかない時はやってくるんだろう。
その時にできるかどうかなんて分からないけど、やれるだけやってみよう。そう思えたのも、この2人のおかげなのかもしれない。
「さ、進みましょっか! 」
「そっすねー 」
「あれ?俺たちどこから入ってきたっけ? 」
「確かあっちからでした……よね? 」
「あれ?? 」
入口が見当たらない。というか、ここから出られない。出るとすれば、あのゴリラがでてきた穴からだが、あんな高いところに登れる訳が無い。
空気が冷たくなった。
「ここから出たいですか? 」
「当たり前だろ、何言ってんだ? 」
低い声で耳元で囁かれた。ねっとりとした気持ちの悪い声。
低い声???
何か嫌な予感がした俺は、瞬時に後ろを振り返った。振り返った先には、何かが----居た。
うっすらと笑みを浮かべたそれは、黒いタキシード姿、シルクハットと上品な雰囲気を漂わせていた。
黒いマスクで顔半分が隠れていて、目は細く、つり上がっていた。
「どうしたんですか?そんなに驚いて? 」
いや、驚くだろフツー。
「お前は誰だ! なんでここにいる?!」
「なんでここにいる?あなたたちが勝手に来たんでしょう?全く最近の若者は………… 」
俺たちが勝手に来た?つまり、こいつはこの洞窟に住んでいるのか?
「まあ、いいですよ。私の名前はデロール。手間が省けました。本当はあなたのとこを訪ねようと思ってましたから 」
「俺のとこを? 」
「そうですよ。あなたのその『スキル』。特別なものでしょう?1度拝見させてもらいましたから分かりますよ 」
「初対面だろ、俺とお前は 」
「いえいえ、知っていますよ。お互いに 」
「は?知らないんだけど 」
「まあ、直接ではないかもしれないですけど。黒い怪物と言ったら分かりますかね? 」
黒い怪物といえば、ドゥジンクス王国に突如として突撃してきた、例のあれだろう。スキルを最初に使った敵だったからよく覚えている。瞬殺だったけど。
「それがどうした? 」
「あれ、操っていたの私なんですよ。いやあ、まさか倒されるなんて思ってなかったな。あははははははは! 」
「あ、操っていたってどういうことだ? 」
「ん?そのまんまですよ。私のスキルは、【魔物支配(Dominate monsters)】っていうんです。近くのモンスターを自由に操れる。すっごい便利なんですよ!!動かなくても何でもしてくれるので! 」
「モンスターを……支配??? 」
考えられない。モンスターを操るだなんて、かなり強い。
「じゃあ、なんで街を襲ったんだよ?わざわざそんなことしなくていいだろ!? 」
「え?暇だったからですよ?この洞窟、結構暇なんですよねえ。皆ビビって入ってこないので 」
こいつ、最低だ。やっぱりどの世界にもゴミみたいなやつはいるんだな。規模は違うかもしれないが。
「実は、このスキル、レベルが上がると人間も支配できちゃうんです!!人間って賢いから難しいんですけどー、ずっと見つめると操れることが分かったんです!だからー、あなたが欲しい!最強のスキル!!あなたがいれば私の野望も現実に!!!! 」
最悪だ……。こんなやつに操られでもしたらただじゃ置かない。少なくとも、俺が俺じゃなくなるのは確実のようだ。
「もちろん屍でもいいんですよ?死んでいても操れますから 」
背中に悪寒が走った。激しい恐怖に襲われる。指先が震えるのが分かる。こんなに恐ろしいことを笑顔で言われるのは、尋常じゃない恐ろしさがある。
「困っているようですからお伝えしますけど、この洞窟のボスは、私ですよ。私を倒すことが出来たら、この洞窟から出られます。がんばってくださいね!! 」
満面の笑みで衝撃の事実を伝えてくる。嘘だろ。こんな強そうなやつと戦わなければいけないのか。
いや、待てよ?
「嘘つけ。お前が【紫紺の鱗】をドロップするわけないじゃないか。明らかに人間っぽいし。『スキル』だって持っているじゃないか 」
もう、さすがに騙されない。散々騙されてきたから、警戒するに決まっているじゃないか。
「ふっふっふっふっ。あははははははははは!!!!!!!! 」
「な、何がおかしい!! 」
「あー面白い!やっぱりあなたが欲しくなっちゃいますよ! 」
「は? 」
「私がいつ、モンスターじゃないと言いましたか? 」
そう言って奴は、大きなシルクハットをゆっくりと脱いだ。
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