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~ネルマン洞窟~

だんだん寒くなってきました。


ご指導、アドバイス等ございましたら、よろしくお願いします!!

「よし、準備完了! 」


 明日の戦闘に向けて、ポーション等の準備を終えた。念には念をだ。


「もう寝るか? 」


「ん、うん。明日早いしね 」


 まだ少し早いが、床につくことにした。この宿屋にもお世話になりすぎた。金が溜まったら憧れのマイホームでも買おう。


 まだ冷めきっていない頭で、ベットに横になった。


「じゃ、消しまーす 」


「はーい 」


 電気が消える。青みがかった月明かりが二人を照らしている。


「なあ、翼 」


「ん?どうした? 」


「思ったんだけどさ 」


「おん 」


「今、めちゃめちゃ楽しいんだよね 」


 親父の声が頭の中で反芻される。正直、意外だった。親父はこういうめちゃくちゃなことは嫌いだと思っていた。現実世界での頑固な親父はどこに行ったのだろうか。


 でも、納得がいった。

 怪物に襲われた時も、怪物を倒した時も、脱獄の途中でも、親父は笑顔だった。

 現実では見た事のない笑顔だった。

 ああ、そういうことかと笑みがこぼれた。

そして、


「ああ、俺もだよ 」


 と、心からの気持ちを口にした。



~翌朝~


「ふぁぁぁぁ 」


 大きなあくびをする。こうすると、なんだか起きたって感じがする。

 隣を見ると、親父はもう起きているのか、掛け布団が散らばっていた。


「ん、おはよう翼 」


「おはよう 」


 無駄のないモーニングルーティンを済ませ、俺たちは、門前に行った。でかい門だから、よく待ち合わせに使われるようだ。朝から多くの人がいる。


「あ!ツバサさん!トオルさん!こっちこっちー! 」


「朝から元気だなあ、アナトリスさん 」


「ほんと、それな 」


 元気の良い声に連れられ、アナトリスさんの元に行く。


「おお………… 」


 思わずため息が漏れてしまった。アナトリスさんのいつものふわふわとした感じの私服とは打って変わって、全身白のアーマーで統一し、いかにも冒険者って感じだった。

 なんといってもスタイルがいい。いつもの私服ではわからなかったが、豊満な胸と、すらっとした長身がアーマー越しに伝わってきて、美麗な顔立ちを引き立たせていた。


「なんですか?二人ともじーっと見つめて 」


「ああいや!なんでもないんだ!気にしないで! 」


 危ねぇー、変態呼ばわりされるとこだった〜。


「さ、行きましょ 」


「そうですね 」


 ネルマン洞窟は、ここから30分くらい歩いたところにある。運動がてらに歩くことにした。






~ネルマン洞窟にて~


「とりゃあぁああああああああああああぁぁぁ 」


 空中からふたつの残像が見える。体をひねり、二つの刃を敵の急所に正確に斬り裂く。


『グギャアアアアアア 』


 三体の【獣犬(エネリス)】がいとも簡単に倒された……みたいだ。


「す、すげえ…………アナトリスさん 」


 立体的な戦闘に唖然とする。悔しいが、俺たちの何倍も強い。こっちなんかもし【獣犬(エネリス)】なんかに出会おうものならすぐ逃げるぞ。


「どうですか?ちょっとは強くなってるでしょ? 」


 可愛らしくアナトリスさんが微笑む。モンスターの返り血を浴びて、二本の短刀を逆手持ちしていると、どこかの暗殺者かと勘違いしてしまう。


「ちょ、ちょっとどころじゃないですよ!めちゃめちゃ強くなってるじゃないですか! 」


「ち、ちなみにレベルは今いくつですか? 」


 親父が唖然としながら聞く。


「えーっと、今確か214Lvとかだと思います 」


 言葉も出ない。俺らがあれだけ頑張って126Lvだぞ。早熟スキルでも持っているのか?


「ま、そんなことはどうでもいいです!先進みましょー 」


 アナトリスさんの呑気な声が響く。どんな修行したらこんなに余裕が生まれるのだろうか。


 この後も、アナトリスさんをメインとしたダンジョン攻略が続いた。正直、ここのモンスターはかなり強かった。あんなに甘く見ていた過去の自分を呪いたい。一回一回の戦闘で、大幅な体力が持っていかれる。それに比べてアナトリスさんは息切れもしていない。やっぱりこの人は、すごい。


「あ!【発生源(スポナー)】です! 」


「お、ナイスです! 」


 洞窟には【発生源(スポナー)】というキューブが存在する。ここから洞窟のモンスターは発生する。このキューブを壊すことで、その階層にモンスターは一時的(・・・)に発生しなくなる。一時的というのは、およそ1日くらいだ。一日経つと、キューブが復活し、またモンスターが発生するという仕組みだ。


と、アナトリスさんが言ってました。


「よし、破壊完了! 」


「これでちょっとは休憩できるな 」


「何言ってるんですか!早く下の階に潜りましょう!! 」


 嘘だろ…………元気すぎるだろ、この人。


「あ、あと三分待って………… 」


「しょうがないですねぇ。全くぅ」


 アナトリスさんは、鼻歌を歌いながら二本の短刀のお手入れをしている。

 こんなに体力勝負だとは思わなかった。現実世界でも帰宅部だった俺は、もうヘトヘトだ。

 親父も、そんな感じだろう。床に倒れてゼイゼイいっている。


「さ!もう三分経ちましたよ!行きましょ 」


『は、はーい………… 』







「うっ…………強い…… 」



 もう結構な階を潜ってきた。深くなるごとにモンスターも強くなっていく。さすがにアナトリスさんも体力が無くなってきているようだ。


「せいっ!!!! 」


 アナトリスさんは、人の何倍もの巨体をもつ【巨牛(ウメシス)】の大きな背中を一筆書きする。


「ふう……何とかなりました。ちょっと休憩しましょ。さすがに疲れました 」


「賛成です 」


「どうぞ。一応ダメージはくらっていると思うので 」


 ポーションを二人に配る。


「ありがとうございます。いただきます 」


 三人でポーションを一気飲みする。訳の分からない色とは裏腹に、味は程よい甘さで、美味しかった。


「なんか元気出るなー 」


「ほんとですねー 」


 惨烈(さんれつ)な洞窟で、一時のゆったりとした時間が訪れる。また戦闘になると思うと悲しくなるので、何も考えないことにした。




「さ!もう行きますか 」


 休憩から15分経過して、親父が口を開いた。さすがにもう休憩終えるべきと判断したのだろう。


「よし!行くか!! 」


「はい!頑張りましょー! 」


 エイエイオーなどと気合を入れて、また深くと潜っていく。


 これから起こることは、誰にも分からない。




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