〜みんな平等〜
10話目ですね。だんだん慣れてきました。
アドバイス等ございましたら、よろしくお願いします!
~カリアル家豪邸のプールにて~
「ふんふ〜んふふふ〜んふ〜ん 」
カリアル マヤは、自宅のプールにて、日光浴を楽しんでいた。豪快に露出させた水着姿は世の男性を魅了していたことだろう。最低限隠せるところしか隠せていない。まあ、そこが自宅プールの特権だったりするのだが。
そんな水着姿などものともせず、表情を崩さない男がいた。そう、執事のモージャ カタールだ。
ビシッとしたスーツに高身長で、アイドルでもやって行けるくらいの好青年だ。
彼は代々カリアル家に仕えるモージャ家の末裔だった。物心ついた時から執事としての訓練を積んでいて、このような誘惑には決して動じない精神を鍛えていた。
「ねえ、カタール〜、オイル塗ってくれな〜い? 」
「お嬢様、メイドを呼んできますので、少々お待ちください 」
さすがにカタール自身がやると道徳的にまずい。
彼はそう考えてメイドを呼ぶことにした。
「あ〜めんどくさい!カタールがやって!命令よ!! 」
命令と言われるとカタールは弱い。執事として、主人の命令は絶対と叩き込まれてきたため、逆らえないのだ。
「分かりました…… 」
マヤがうつ伏せになってビキニの紐をほどく。
健康的な背中が露になる。
「ほら、早く 」
カタールはオイルを手のひらに付け、マヤの背中に触れる。
「ひゃっ、冷たぁ」
マヤが変な声を出す。そんなのものともせず、カタールは淡々とオイルを塗っていく。
「あ〜気持ちいいわ〜、カタール案外うまいのね 」
「恐縮です 」
カタールは、罪悪感に苛まれながらもオイルを塗り切った。
「さ、塗り終わりましたよ、お嬢様 」
「ありがとう、カタール。今後もお願いしちゃおうかしら 」
そう言ってマヤはゆっくりと身体を起こす。
何か大事なものを忘れて。
「あ、お、お嬢様、上忘れてますよ」
「ふぇ?上? 」
マヤは何かを察し、自分の身体を見る。ふくよかな胸が存分に露出されていた。
隠すべきところが隠されていなかった。
「きゃあああああああああああエッチ!!! 」
カタールは、右頬を殴られた。
「も、もういいわよカタール 」
カタールが振り向く。今度はしっかり隠すべきところが隠されていた。面積的には余り変わらない気もするが。
「もう少し日光浴続けるから、よろしくね 」
「分かりました 」
もう少しの辛抱だ。そう思いながらカタールは、炎天下の中、表情を崩さずに立っていた。
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~スラム街にて~
俺たちは、ある情報源の元に向かっていた。
マヤに関する重要な情報だ。
しかし………………
とてつもなく治安が悪い。あらゆる角度から怒号や野次が飛んできて、今すぐにでも逃げ出したい気分だった。
しかも、女子2人を連れてきたのが間違いだった。
悪いお兄さん達にめちゃめちゃ絡まれる。
「こんな所に一人で来てたんすか? 」
「はい………あの時は興奮してて、周りを見てませんでした………… 」
アナトリスさんの情報によると、この辺りに情報屋がいるとの事だ。しかし、これだけ入り組んでいると、どうしても迷ってしまう。何故こいつらは自分の家が分かるのだろうか。
と、道端に座っているおじいさんを見つけた。
髪が長く、顔がほぼ見えない。所々に汚れが見られて、清潔とは言えなかった。
でも、他の人よりは安全そうだったので、声をかけた。
「おじいさん、僕達情報屋を探してるんですけど、どこにあるか分かりますか? 」
おじいさんは、目の前を指さした。何より驚いたのは、その指が白く光っていたことだった。すごく神秘的な輝きを放っていた。カッコいい。
人は見かけによらないとはまさにこの事だ。
その指は、目の前の細い路地を指していた。自分たちでは絶対見つけられなかっただろう。おじいさんにありったけの感謝を送った。
「しっかし汚いなあ 」
親父が愚痴をこぼす。
「しかたないだろ、ここにいるって言うんだから 」
とはいえ、汚いのには同感だった。さっき歩いていた道も汚かったが、そことは比にならないくらいに汚い。
「あれ? 」
アナトリスさんが間抜けな声を上げると同時に来た道を引き返す。
「あ!ありましたよ!情報屋さん 」
「ほんとだ!溶け込みすぎてわからなかった…… 」
そこにあったのは、周りの風景と同化して、ドアの上に申し訳程度に【情報屋エデン】と書かれていた小屋だった。何がエデンなんだか。
「ごめんくださーい 」
ドアをガラガラと開ける。中は意外と綺麗で、外見とのギャップに驚いた。
「ごめんくださーい 」
再度挨拶をする。返事がない。
「留守なのかな 」
「そうみたいですね 、出直しましょうか 」
帰ろうとして引き返そうとした次の瞬間、
「ワァッッッッッッ 」
「うわああああああああああああああ 」
なんと天井から顔が降ってきた。突然のことに驚いた俺は、今まで出したことの無いような叫び声を上げた。
「うひャひャひャひャ 」
驚かせた当の本人は爆笑している。エルフだろうか。しわくちゃのおじいさんのように見える。こんだけ元気なおじいちゃん見た事ないが……
「あ〜笑った笑った、君面白いねえ 」
くっそ。こんな奴に驚かされるなんて屈辱だ。
「あの、情報屋さんなんですよね? 」
「ん?そうだよ、なんでも教える代わりに、対価はきちんと払ってもらうよ 」
「お金ならあります。カリアル マヤについての情報を教えてくれませんか? 」
「ダメだ 」
さっきとは打って変わって鋭い声が響く。まるで別人のような声だ。しかも無表情で言われると怖い。
さっきの笑顔はまっさら消えていた。
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