~伝説の始まり~
小説を書くのが初めてなので、文体や内容がおかしかったら指摘おねがいします。
僕が成長する所をどうか暖かい目で見守ってください。
新連載です。
よろしくお願いします!
どうしてこうなったんだろう。
俺の平凡な人生はどこに行ったのだろうか。
広大な緑の大地で絶望している1人の少年こそが、この物語の主人公、近藤 翼である。
この物語は、近藤 翼ともう一人の女性が織り成す英雄譚だ。
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「おいおい、どこだよここ? 」
この世界に転移して、テンプレのような第一声を残した。視界が鮮やかな緑と青で統一されていて、灰色で覆われた東京とは掛け離れていた。
「まじかよ………… 」
日常的にライトノベルを嗜む俺は、すぐにピンと来た。
要は、あれだ。『異世界転移』というやつだ。
そういえば、現実世界で夕ご飯を食べている時に、クラっと来たのを覚えている。これが最後の記憶ということは、そういう事なんだろう。
「なんでだよ…………なんで普通の人生を送らせてくれないんだ…… ん? 」
転移した事実に絶望してまもなく、気が付くと隣に小さい女の子が気持ちよさそうに寝ていた。
小さい体にフサフサとしたケモ耳がついている。
可憐な容姿に見とれてしまう。
「かわいい…… 」
思わず呟いてしまったが、無理もない。
俺は女という生物と関わったことがほとんどない。 だから二次元に逃げた訳だが、二次元と互角に勝負できるくらいの愛くるしさはあった。
「んっ……んん……ん? ここはどこだ? 」
ケモ耳の少女が目を覚ました。小さなケモ耳が、ピクピクしている。寝ぼけた顔も案の定可愛い。
これはもしや、ラノベ特有の"美少女と冒険しよう"みたいなやつか?
ついに非モテ卒業か?!
「あっ大丈夫ですか? 」
自分が出せる最大限のイケボで話しかける。
「ん……ん?おお、翼じゃないか。ここは一体どこ
なんだ? 」
少女が寝ぼけた顔で尋ねる。
ん?なんでこの子は俺の名前を知っているんだ?
まあ、そういう設定なのかもな。自己紹介をする手間が省けたな。
「おい、おい!翼! 」
「はい! 」
「ここはどこなんだ? 」
「いや、僕もちょっとよく分からないんですよね…… 」
「なんだ、お前気持ち悪い声してるな。風邪ひいてるんじゃないのか? 」
「うぐっ…… 」
俺の精一杯のイケボを気持ち悪いだなんて……
この娘意外と毒舌だな……
まあ、美少女に蔑まされるのも悪くない。
むしろちょっと嬉しいぞ。
「とりあえず、街でも探しませんか? 」
異世界だったら街の一つ二つ近くにあると踏んだ。
わざわざ転移してやってるんだから街ぐらいないとな。
「ん、そうだな 」
そんなこんなで、街を探すことになった。最初は絶望の異世界転移だったが、美少女と一緒となると話は別かもしれない。
「あああービール飲みてぇー 」
「えええ?!ど、どうしたんですか急に? 」
「いや、別にいいだろ 」
「の、飲めるんですか? 」
「あたりめぇだろ?!お前寝ぼけてんのか? 」
「え、失礼ですけど何歳なんですか? 」
「46だよ。忘れたのか? 」
忘れるも何も……教えられたことないしな……
まあ、多分種族によって寿命の違いがあるのだろう。でなければ46歳でこんな美少女の容貌はありえない。
「46って言えば俺の親父と同い年ですねー あはは 」
………………………
ん?
なんだろう、この違和感。なにかもやもやする。
隣の美少女も、なにか戸惑った顔でこちらを見ている。
これまでのこの少女との会話を思い出す。
そして、俺はある仮説を導き出した。絶対に立証して欲しくない仮説だ。
「あの、お名前を伺ってもよろしいですか? 」
「何言ってんだ?俺は近藤 徹、お前の父親だよ 」
仮説立証。
あまりの衝撃に数秒固まった。
今までの人生で、これほどの絶望を味わったことはない。まさかあの親父がこんな美少女になっちまうなんてそんなわけ…………
しかも、ついさっきまで親父のことを可愛いだの蔑まされるのも悪くないだの思ってたんだぞ?
認めたくないだろう!?
「血液型は? 」
「A型」
「好きな食べ物は? 」
「馬刺し 」
「好きなビールは? 」
「本麒麟 」
「全部合ってる……………… 」
認めざるを得なかった。
この美少女があの強面でおっかない親父だということに。
「おい、どうしたんだ翼?急に訳の分からん質問をして。説明しろ!」
俺はため息をつきながら、説明をした。
どうやら異世界転移をしてしまったこと。
親父がケモ耳美少女になっていること。
ここがどこだか分からないこと。
「おい、翼 」
「ん? 」
「この状況結構まずくないか? 」
「知っとるわ!!!!!! 」
何せ丸腰で異世界に転移しているのだから、危険以外の何物でもない。そんなことより美少女が親父だったことの方がショックは大きいが。こんな状況でモンスターみたいなやつに襲われたら即刻死だ。
グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ
「なんだ今の声!」
「やばいやばいやばい!とりあえず逃げるぞ!! 」
本能が逃げろと叫んでいる。
走った。ただひたすらに走った。
ふとして後ろを振り向くと、小さい体を必死に動かしている親父と、得体の知らない生き物がいた。
でかい。とにかくでかい。あんなのにふみつぶされたらひとたまりもないだろう。
しかも……なんかこっちに向かって来てないか?
「やべえ……親父!走れるか!? 」
「はあ……はあ……はあ…… 」
無理そうだ。小さい体になって体を動かすのもままならないようだ。
「くっそ……! このままだと追いつかれる! 」
意を決して親父を抱き抱え、走り出した。
事情を知らない者が見ればロマンティックに見えるのかもしれないが、俺は、実の父親を抱き抱えているという羞恥心に耐えつつ、とにかく走るしかなかった。
(くそっ!これが親父じゃなければ……)
「翼!もうすぐそこまで来てるぞ! 」
「くっそ!せめて親父だけでも!おらああああああああぁぁぁ 」
次の瞬間、翼の目の前は真っ暗になった。
「……さ、……ばさ!翼!起きろ!!! 」
愛嬌のある声が呼んでいる。
「こ……ここは?どこだ…… 」
「近くの洞窟だよ。全く、俺を投げ飛ばすなんて無茶しやがって! 」
「な、なんで俺は生きてるんだ? 」
「あの野郎、お前を蹴ったあともずっと走っていったんだ。巻き添えを食らっただけみたいだな。お前は打ち所がよかったみたいでよかったよ 」
親父がニカッと微笑んだ。
「そ、そうか 」
「そんなことより、近くに街があったぞ! 」
「まじか!行くっきゃねえ!! 」
外の眩しい光に向かって2人は走った。
もう一度言おう。
この物語は、近藤 翼ともう一人の女性が織り成す英雄譚だ。
人々はまだ知らない。
彼らが伝説になることを。
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