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第三節 狩人

ゾムビー達が現れた反対側の廊下からデイケアルームに現れた排便。ハエが左肩に止まっている。


「ゾ?……ゾ?……」


「あぁ。……ああぁ。」


排便の異様な雰囲気に足を止めるゾムビー。


「⁉ ……ゾムビー達が動かない! 今の内に何かできることは……‼」


主人公の近くの机の台座には、出来上がった手袋があった。


排便が口を開く。


「ぃ……ち。……ぐち」


「ゾ?」




「出口」




出口と、そう呟く排便。




「?」




困惑するゾムビー達。


「出口、出口はどこ?」






 閉塞的な入院生活、それに耐えられなくなった排便は、今回の騒ぎに乗じて病院からの脱走を試みていた……!






「⁉」






ますます困惑するゾムビー達。


一方で主人公は……


(そうだ。尾坦子さんが……)




(回想)


「体液は服に着いたくらいでは何ともありません! 体に当たりさえしなければ何とかなります! それに体液はある程度乾けば無害です‼」


(回想終了)




(口から吐かれる体液は無理でも、体から少し出てきている体液くらいならこの手袋で防げるかもしれない!)


手袋を手にする主人公。


「スチャッ」


手を入れ、手を握って動かしてみる。


「ギュッ、ギュッ」


「よし、スキマもないし、しっかりフィットしてる。……行ける……かも……」




一方、デイケアルーム入り口付近では……


「ああぁ、ああぁ。出口、出口……」


ゾムビー相手に催促する排便。


「ゾム! ……ゾム‼」


ついにしびれを切らしたゾムビーの内の1体が排便に襲いかかる‼


「あああぁ、あーあー」


ゾムビーの手が排便に触れる……その瞬間!






「ドッ!」






主人公の両手がゾムビーを突き飛ばした。






「パリィン‼」






飛んで行ったゾムビーの1体が廊下の窓に頭から突っ込み、ガラスを割った。ゾムビー達は動揺する。


「ゾ……ゾ……」


少し顔の汗を拭きながら話す主人公。


「危なかったね。排便さん、ここは危険だから向こうに逃げなよ」


返す排便。


「ツトム……出口、出口はどこ……?」


「へ? ……」


困惑する主人公。その時!








「ゾ……ゾゾ……ゾムァアア‼」








ゾムビーの口から主人公に向かって体液が吐き出される!


(! 危ない‼ やられる……‼‼‼)


咄嗟に両手で体液を防ごうとする主人公。しかし、面積が足りず、両手の間、淵から体液が主人公を襲う‼


(ダメだ……やられる……‼)






襲いかかる体液‼








(嫌だ……死にたく……ない‼)








瞬間、主人公の両手に微かな光が。


主人公はそれに気付いていない。そして襲いかかっていた体液はベクトルを変え、主人公の足元にこぼれ落ちた。








「ゾ⁉」








驚愕するゾムビー。


「これは……いったい……?」


主人公もまた驚くしかなかった。引き下がる、体液を吐いたゾムビー。後ろにいたゾムビーが動き出す!


「ゾム‼」


主人公は身構える。


(やばい! また体液が……来る!)


その時、何者かが大声で叫ぶ。








「撃て‼‼‼」








「タタタタタタタタタタタタタタタ‼‼‼」






マシンガンのようなものから銃弾が撃ち込まれ、ゾムビー達に当たっていく。






「ゾォオオ‼ ゾォオオオ‼」






苦しむゾムビー達。銃弾はゾムビー達の足元から命中していき、ゾムビー達は足、臀部、背中、胸、頭の順に破壊されていく。


「……すごい」


息をのむ主人公。


目を見張るものはその命中率であり、デイケアルームの患者達はもちろん、近くにいた排便や主人公にはかすり傷一つつけることなく当たらず、的確にゾムビーのみを狙撃していた。


しばらくし、銃声が鳴りやむ。


「た、助かった……」


安堵の表情を浮かべる主人公。




「グイ……」




主人公は何者かに足を引っ張られていることに気付く。


「もう、なんだい? 排便さ……‼」


そこには下半身が無いゾムビーが居り、主人公のズボンの裾を引っ張っていた。


「‼‼‼、うわぁあああああああああああ‼」


叫ぶ主人公。


「ゾムゥウウ‼」


瞬間、






「ボンッ‼」






ゾムビーが、主人公を掴んでいた手を起点に爆発した。




「⁉」




驚き、何が起きたか分からない様子の主人公。




「危なかったなぁ、少年。」




「ツカ……ツカ……ツカ」


何者かが足音を立てながら近づいてくる。








「しかしもう安心だ。私は爆破スマシ。政府公認部隊・狩人の隊長だ!」

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