第十八節 VS狩人ゾムビー
――少しひらけた場所にて、物陰から爆破達がゾムビーを待ち構えている。
「……来たか」
向こう側から銃を持った者を先頭に、ゾムビー達がぞろぞろと歩いてきた。それを確認した爆破。
「ツトム、私は左の奴らから行く。お前は右側からやれ」
「はい」
爆破の言葉に、少し緊張した面持ちでゴクリと唾を呑む主人公。
「今だ!」
物陰から飛び出す爆破。主人公も続く。
「ゾ……」
二人に気付き、銃を構え始めるゾムビー達。
「バースト!」
「リジェクト!」
「ボッ‼」
「ドガァアッ‼」
爆破が一番左のゾムビーの銃を破壊する。主人公は一番右のゾムビーを銃もろとも吹き飛ばす。
「サッ」
爆破が左手を差し出し構える。
「バチンッ! バチンッ! バチンッ!」
爆破が指を弾く。と、同時にゾムビー達の銃器が次々破壊されていく。
「ボン! ボン! ボン!」
(フム、これくらいの爆発範囲、威力ならこうした方がやりやすいな)
そう思いながら、爆破は銃器を破壊する事に専念する。
「リジェクト!」
「ドガァアッ‼」
一方の主人公は、二体目のゾムビーを倒した。
(特訓のお陰で、7秒に一発撃てるようになった。大丈夫、イケる)
集中し始める主人公。と、その時、一体のゾムビーが主人公に向けて銃を構えた。
(! まずい、まだ4秒だ)
主人公が気付くも、間に合わない。
「タタタタタタタタタタタタ」
銃弾が放たれる。刹那――
「バチンッ」
「ボ! ボ! ボ! ボ! ボ!」
爆破が銃弾を爆発させた。無傷の主人公。
「ふぅ……助かったぁ……」
汗をぬぐう主人公。
「ツトム、無事か⁉ だいぶ銃が少なくなってきた。次からは銃を構えた奴から狙っていけ」
銃器を更に爆破させながら爆破は言う。
「ハイ! ありがとうございました!」
礼を言う主人公。
(よし、次は……コイツ!)
「リジェクトォ!」
爆破の言う通り、銃を構えたゾムビーを狙い始める主人公。爆破と主人公の二人は効率よく銃器、ゾムビー達を攻撃していった。
そしてついに、銃器を持つゾムビーが居なくなったかに見えた。
「よし、副隊長! 行くんだ‼」
「ダッ」
爆破の言葉で走り出す身体。
「ドゴッ……ベシャァ!」
拳でゾムビーの頭を破壊する。
「続くぞ! ツトム‼」
「ハイ‼」
身体が近距離で、爆破、主人公は遠距離から攻撃しかけ次々とゾムビー達を駆除していく。
「ふん!」
「バースト!」
「リジェクト!」
三人はそれぞれの渾身の技をゾムビー達に繰り出していった。
「タタタタタタタタタタタタ」
狩人隊員達も離れた位置から、三人が倒しそびれたゾムビーを狙撃した。こうして、5分も経たないうちに、ゾムビー達は一掃された。
「ふう。隊長の作戦に従えば、造作も無い事だったな……」
立ち尽くす身体。
「ガチャ」
直後、コンテナのそばから物音がした。
「!」
そこには、下半身は無く、上半身も右半分になったゾムビーが身体に向けて銃器を構えていた。
(まずい……やられ……)
ゾムビーが引き金に指をかけた瞬間、
「リジェクト!」
「ドゴォッ……べちゃあああ」
主人公がゾムビーを撃退した。
「ふぅ、まだあんな所に生きているゾムビーがいたんですね。大丈夫ですか? 副隊長」
身体に近付き、手を差し伸べる主人公。
「ああ、助かった。済まない」
主人公に礼を言い、手を差し伸べ返す身体。二人は握手した。
(畜生、ツトムめェ、俺もいつか副隊長様を援護できるほど、強くなってやル!)
陰で意気込む逃隠。身体は、ふと昔のことを思い出す。
(回想)
河川敷をランニングしている身体。ふと、何かの気配に気付く。川の方を見るとそこには紫色をした、得体の知れない生物がたたずんでいた。
「! 何だコイツは⁉」
その生物はじりじりとこちらへ近寄ってくる。
「ゾム……ゾム……」
「くっ来るなぁ‼」
怯える身体。
「……バースト」
「ボボン!」
得体の知れない生物は爆発するかのように弾け飛んだ。声のした方へと身体が顔を向ける。
「危なかったな、青年。もう大丈夫だ」
そこには、若かりし頃の爆破がいた。
「あ、貴女は?」
「ん? 私は爆破スマシ。ストレス解消と趣味で、さっきのような生物を駆除している者だ!」
(回想終了)
(あの時から私は、隊長に忠誠を誓った。あの時救って頂いた命をあの人の為に使い、あの人の右腕になる、と。だが、今度はこんな子供に命を救われるとはな。まだまだ私も力不足だ……)
そう思い、そっと目を閉じる身体。
「よし、銃器を持ったゾムビーは全て駆除した! 後は隠れているゾムビーがまだいないか、この工場地帯を探索するぞ」
爆破の指揮の下、再び工場地帯の探索が始まった。
3時間後、全てのエリアを探索した結果、ゾムビーは発見されなかった。




