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第十五節 身体スグル

――第2訓練場。爆破、身体、逃隠そして主人公が居る。


「よし! 本日午後からは超能力に加えて身体能力も鍛えていくぞ! 超能力に頼り切らない戦い方を身に付けてもらう!」


「ハイ‼」


「おウ‼」


爆破の号令に答える主人公と逃隠。


「さて、具体的な方法だが、身体も戻ってきたことだしこれから超能力を交えた組手を行ってもらう!」


「組手? スマシさん、組手って……しかも、超能力を使うなんて危ないんじゃあ……」


主人公が質問する。


「なぁに、ツトムとサケルの相手をするのは身体副隊長だ。元々体も丈夫だし身体能力を上げる特殊スーツを着て行うから問題無いだろう、な?」


「はい、問題ありません」


爆破の言葉にそっと答える身体。


「ではまず、ツトムからだ! 準備をしろ!」


爆破が指示を下す。その後、訓練場の中央で対峙する主人公と身体。


(大丈夫かなぁ)


主人公が不安に思う。


「それでは、始め!」






「ダッ!」






爆破の号令とともに主人公に駆け寄る身体。


(は、速い!)


あっと言う間に主人公に近付き渾身の右ストレートを放つ身体。


「ビュン‼」




「回避の術!」




回避の術でそれを左にかわす主人公。




「ブン‼」




すかさず右ストレートを裏拳に変えて繰り出す身体。


(速い、見切れても……避け切れない!)


「ゴッ」


咄嗟に両手でガードし、裏拳を受け止める主人公。が、




「ぐ……」


「ブワッ」




衝撃が大きく、吹き飛ばされてしまう。




「ガッ、ゴッ……ドガッ!」




地面を2回ほど跳ね、回転しながら壁に叩きつけられてしまう主人公。


「ガハッ……ゴホゴホ……ガッ」


腹部を強打し、呼吸困難に陥る主人公。そこに爆破が話し掛ける。


「大丈夫か? ツトム。言っていなかったが、身体副隊長は銃器も超能力も使わずに、ゾムビー達にスーツと自身の肉体だけで戦いを挑む強者だ。生身なら、狩人最強と言ってもいい。そんなのが相手なのだから、本気でかかるべきだったな。少し休憩してろ。次は……サケ……ル? やってみるか?」


「おうヨ! やってやるゼ!」


(株を上げるチャンスダ! 相手はゾムビーじゃねェ。やってやル)


意気込む逃隠。訓練場の中央で構える身体と逃隠。






「始め‼」






再び駆け寄る身体。また渾身の右ストレートを放つ。


「ビュン」


「その技はさっき見させてもらっタ!」


「サッ」


回避の術で避ける逃隠。そこからまたしても右手の裏拳が。


「俺はツトムとは違ウ! 回避の術の免許皆伝ダ‼」


「サッ」


裏拳さえも体を低くして避ける逃隠。


「ブン‼」


身体の裏拳が空を切る。


「今度はこっちの番ダ! 行かせてもらうゼ!」




「ダッ、ガッ!」




低くなった姿勢から地面を蹴り、アッパーを繰り出す逃隠。身体の顎辺りにヒットする。「まだまダ!」「ガッ、ガッ」続いて左手、右手と殴打を繰り出す。




「スタッ」




「どうダ⁉」


地面に着地し、身構える逃隠。


「……コキッ、コキッ」


何事も無かったように首を鳴らし、立ちふさがる身体。


「恐ろしく軽い拳だ……」


それを見ていた主人公。


(……前に組手して分かったけど、サケル君って、相当非力なんだった――)


「ぐぬヌ……くそォ――――!」


闇雲にパンチを繰り出す逃隠。


「ガッ、ガッ、ガッ、ガッ」


動じない身体。と、次の瞬間、






「パシッ」




身体が、逃隠の腕をつかんだ。


「攻撃を繰り出しているさなかは、避けることはできまい」


そう言った身体は、ぐるぐると逃隠を掴んだ腕を回し始めた。


「ありャ――――――――」


目を回す逃隠。


「ブンッ」


逃隠を投げつける身体。




「ヒュ――ン……ドガッ! ベタァ」




壁に叩き付けられた逃隠は地面に落ちた。


「フン……こんなものか」


二人を見下す身体。


「なぁに、ここからさ。ツトム、もう行けるな?」


「え? あ、ハイ!」


爆破の問いに咄嗟に答える主人公。


「今度は最初から本気で挑めよ」


「ハ、ハイ!」




再び訓練場の中央に集まる主人公と身体。


(さっきは避けることしかできなかった。次は、こっちから攻撃しなくちゃ)


次の組手へ軽い作戦を考える主人公。


「始め!」


「ダッ」


駆け寄る身体。






「リジェクト!」






主人公の両手が光る。それを見た身体は大きく横へ跳ぶ。


「ドゴッ」


壁がリジェクトの衝撃を受ける。


「……なるほど。衝撃波系統の超能力か」


そう推察する身体。


「一撃必殺だな……慎重に攻めるか」


そう言った身体はボクサーのような構えをして近付いてきた。


(⁉ 雰囲気が……変わった⁉)


主人公は身体の構えからそう読み取った。


「フッ」


軽いジャブが飛んでくる。


「サッ」


避ける主人公。




「フッ……フッ……フッ……」


「サッ……サッ……ササッ……」




ジャブを時間をおいて繰り出す身体に、それを避ける主人公。


(そろそろ次のリジェクトが打てそうだけど……隙が無い!)


主人公の体がよろめく。それを見逃さない身体が渾身の右ストレートを放つ!


「ビュン」


そこで、




「ぐっ」




下半身に力を入れ、態勢を立て直す主人公。


(回避の……術!)


右ストレートを見切り、右斜め前へ踏み込む主人公。体を回転させ、身体の後ろをとった。「しまった!」


身体が気付くのも遅く、主人公はリジェクトを放つ。








「リジェクト!」








「ドガッ‼」


身体は壁まで吹き飛ばされ、叩き付けられる


「ガッ……ドサ」


「ぐっ……」


リジェクトがヒットした部分をおさえる身体。


「大丈夫ですか! スグルさ……副隊長!」


身体に駆け寄る主人公。


「サッ」


主人公に右手を差し出し制止する身体。


「大丈夫だ。……目立った外傷は無い」


(威力は300kgを超えていただろうに……なんてスーツ、そして肉体なんだ……!)


驚愕する主人公。


「フウ……隙を付かれたとはいえ、なかなかやるじゃあないか、主人公ツトムと言ったな?」


「ハイ!」


身体の言葉に、咄嗟に反応する主人公。


「名前を覚えておこう」


「ハイ! ありがとうございます!」


と、そこに




「パン、パン、パン」




爆破が手を叩く。


「副隊長、ツトム! 互いに一本ずつとったな! サケルは……」


爆破は逃隠を見る。気絶している。


「まぁいい。いい実践になったろう。定期的にこのような組手を行っていくからな! 今日の組手はここまで! 後は今まで通りの特訓だ‼」


「ハイ‼」


主人公が、はつらつと返事をする。


「身体副隊長。悪いが準備を手伝ってくれ」


「ラジャー」


(……主人公、ツトム……か……)


身体は少しだけ主人公を認めた。

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