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8話 異世界人怖いです

 よし、あのおっさんにしよう。朝食の乗ったプレートを貰い帯剣した冒険者っぽいおっさんの方に向かう。


「なんだ、お前は」


「新しく給仕として入ったメグルです」


「アンナちゃんじゃないのか……はあ、まあいいか。で、今日のメニューは?」


 え、メニュー? 僕は朝食の乗ったプレートを見る。


「えーっと、肉と野菜とパンとスープですね」


「そんなのは見たら分かるだろ、名前を教えろって言ってんだよ」


 えー、知らない。


「豚肉の焼きと野菜の茹でと小麦の捏ねとスープです」


「馬鹿にしてんのか!!」


「してないですけど。何言ってんだこの人」


 僕がそう言うと、おっさんは激昴して立ち上がった。何故だ。


 周りにいるお客さんがなんだ何だとこちらを見てきた。えーと、こういう時は。


「他のお客様のご迷惑になりますのでおすわり下さい」


「こ、こいつ!!」


 そのままおっさんは掴みかかってくる。はあ。


「【幻実】【縮地】」


 掴みかかってくるおっさんの背後に回り込む。するとおっさんはたたらを踏んで倒れ込んだ。


「なあ、今一瞬で背後に移動したよな」


「ああ、確かに俺も見たぞ」


「アイツ一体何者だ?」


 周りがざわざわと騒がしくなってくる。

 と、アンナが慌ててこっちへやって来た。


「ちょっとあんた何やってるのよ!?」


「いや、普通に接客してたらいきなり殴りかかられて、避けたら転んだ」


「そんな訳無いじゃない!」


「だって本当だし」


「……【嘘看破】。ねえ、もう一度聞くけど、本当にあんたに非がある訳じゃないのね?」


 ん? 何かのスキルかな?


「誓って本当だよ」


「……ホントね。疑ってごめんなさい」


「いいよ、ビンタされなかったし。それより今のスキルは何?」


 僕が思った通りのスキルだったらかなり有用なスキルだよこれは。


「【嘘看破】は嘘を見破るスキルよ。すっごく珍しいんだから。……っていうかその目は何?」


 ん? 目? 


「目って?」


「なんか金色になっているわよ。元は黒だったわよね?」


 え、何それ知らない。あ、いや、そうか。あの時男二人が魔眼だの何だの言ってたのはそういうことか。


「そういうものだよ」


「はぐらかされた気がする……まあ今はいいわ。それより――」


「ぶっ殺す!!」


 おっさんが帯剣していた剣を抜いて切りかかってくる。コワイ!


「【金剛】!」


 ――ガキィン!!


 おっさんの剣が僕に直撃するが、その剣が僕を傷つける事は無かった。

 【金剛】は体をめちゃくちゃに硬くするスキルだ。これもアイツらが持っていたスキルである。


「な!? コ、コイツ硬すぎるだろ!?」


「寝てろ、【昏睡】」


 おっさんの腕を掴み、スキルを発動させると、おっさんは崩れ落ち、そのまま深い眠りに着いた。

 【昏睡】もアイツらが持っていたスキルで、【麻痺】と同じ様なスキルで相手を眠らせる効果を持つ。


「……こ、殺したの?」


「いや、寝かせただけだよ。一時間もしたら起きるんじゃない?」


「そう……あんたって強かったのね」


「うん」


 さて、このおっさんをどうしようか。そう思っていると、女将さんがやって来た。

 まあ、この騒ぎなら当然か。親父さんは料理が忙しいみたいだ。


「一体何の騒ぎだい!?」


「あ、お母さん。何かメグルが接客していたらこのお客さんが突然殴りかかってきたみたいで。それでメグルが避けたら今度は剣を抜いてきたのよ」


「剣まで抜いたのかい!? お客さんを怒らせるようなことでもしたんじゃないのかい?」


 女将さんはこちらをジロリと見てくる。してないしてない。


「いや、それは無いわ。【嘘看破】でも本当の事しか言ってないみたいだったし」


「そうなのかい。それは疑ってすまないね」


 女将さんもアンナの【嘘看破】には絶大な信頼を寄せているらしい。僕への疑いはすぐに取り下げられた。


「それじゃあこいつは衛兵にでも付きだすかねえ。じゃ、あたしはちょっと行ってくるから、あんた達は給仕を続けなさい」


 そう言って、お客さんの方を向いてお騒がせしてすいませんと言うと女将さんはおっさんを担いで宿屋の扉から出ていった。

 うわー力持ち。


 その後の給仕はメニューを聞いてくる人などもいなく、滞りなく進み。無事に給仕を終えることが出来た。


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