4話 冒険者ギルド来ました
今、僕は冒険者ギルドの扉の前に立っている。親父さんの説明は分かりやすく、迷うこと無くたどり着くことが出来た。
そしてギルドの扉を開く。そこには活気の溢れる光景が広がっていた。ギルド内は冒険者達でごった返していて、その熱気がこっちまで届いてきた。
僕はそっと扉を閉じた。
いやいや、人多すぎでしょ! 無理無理あんな所。人が居なくなるまで時間を潰そう、そうしよう。
ということで街をぶらぶらしてます。それにしても色んな店があるなあ。あ、あれは八百屋だ。あそこは肉屋かな? 酒場みたいなところもあるね。まあ、今はお腹が空いてないからいいや。
あ、路地裏だ。……見なかった事にしよう、そうしよう。
お、服屋がある。何着か買っておこうかな。この服ちょっと大きいし薄汚れてるし。僕は服屋の扉をくぐった。
「いらっしゃいませ」
店員のお姉さんが応対してくれる。
僕は適当に安い麻の服を二、三着と下着を選び、カウンターへと持っていった。
「これください」
「はい、えーっと、全部で銅貨三十枚になります」
僕は銀貨を一枚取り出す。ちなみに銀貨は一枚で銅貨百枚分だ。王女が言ってた。
「どうぞ」
「はい、銅貨七十枚のお釣りです」
ずしりと重い袋をもらう。
男達から拝借したお金は銀貨一枚に銅貨六十枚。宿屋に銅貨二十枚払ったから現在の残りは銅貨百十枚。
っと、やっぱり銅貨七十枚は重いな。すぐに服などと一緒に【アイテムボックス】へと仕舞う。
「ありがとうございました」
僕は服屋を後にした。
そして再びやって来ました冒険者ギルド。
おそるおそる扉を開くと、蝿のようにたかっていた冒険者がほとんど居なくなっていた。酒場みたいなところでは酒を飲んでるやつもいるけど。
僕は早速カウンターへと行く。
「何の御用でしょうか」
一番近くの受付に行くと、僕よりも歳上な雰囲気のする美人さんが担当だった。
「冒険者登録をしたいんだけど」
受付嬢さんは一瞬眉をひそめるが、すぐに表情を元に戻す。
多分親父さんが言っていた様に僕の様な歳で冒険者になる人はあまり居ないのだろう。
「はい、それでは登録の手続きに入らせていただきます。ステータスプレートをお出し下さい」
ステータスプレートを取り出し渡す。
すると、受付嬢さんは奥に居る事務員にプレートを渡した。事務員は部屋の奥へと消える。
「ただ今ステータスプレートに冒険者ギルドの機能を追加しています。お待ちしている間に冒険者ギルドについての説明をしても宜しいですか?」
「あ、うん」
「それでは冒険者ギルドについての説明をさせていただきます」
受付嬢さんはコホンと咳をひとつして語り出した。
「まず冒険者ギルドとは、採取、探索、討伐など、様々な要件を依頼という形で受理し、冒険者に受けて貰い、報酬を受け取る仕組みのことです。ここまでは宜しいですか?」
僕を子供だと見たのか、受付嬢さんはそんな初歩の初歩から説明してくれる。その方がありがたいし大歓迎だけど。
「次に、冒険者にはランクというものが存在します。これは依頼を受けるときのある程度の目安となります。ランクにはステータスと同じくG~Sまでの八段階があります」
ふむふむ、テンプレね。
「例えば、Gランクの方がFランクやEランクの依頼を受けることは出来ません。逆に、Sランクなら全ての依頼を受ける事が出来ます」
「Gランクのひとが依頼を受けないでBランクとかの魔物を討伐するのはいいの?」
受付嬢さんの眉がぴくりと動く。
「はい、禁止はされていません。しかし、その場合はランクが上がる事もございませんし、何があっても自己責任となりますので」
あれ? 僕が勝手に討伐すると思っているのかな? まあするけど。
と、そこで後ろの事務の人がステータスプレートを持ってきた。
「ギルドの機能を追加しましたので確認して下さい」
僕はステータスを見る。
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名前:小野塚 輪廻
種族:人間
レベル:1
ギルドランク:G
体力:E 魔力:F 筋力:E 頑強:D 精神:G 俊敏:E 器用:E
❮スキル❯ 幻実
❮称号❯ 異世界を生きる物
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おお、ギルドランクの欄が追加されている。
「では、登録料銅貨十枚になります」
え、お金取るのか。先に言えばいいのに。まあいいや、これで残りは銅貨百枚だな。
銅貨を取り出す。
「どうぞ」
「はい、これでギルド登録完了です。お疲れ様でした」
結構あっさり終わったな。よし、これでやっと僕も冒険者だ。やったぜ!
あ、そうだ。
「あの」
「何ですか?」
「冒険者ギルドにスキルの一覧というか、図鑑みたいなものはありますか?」
「それでしたら二階の資料室にございます。魔術保護がなされてますので、盗んだり壊したりするとバレます。また、その際にはギルドから処罰がありますのでご注意をお願いします」
「わかったよ」
僕は【幻実】のレパートリーを増やすために資料室へと向かった。