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第一回

　私は　、５０１教室に入るとまっすぐに窓際に向かった。

中ではすでに大勢の生徒が席についていたが、中段の窓際にちょうどよい席を見つけ、そこに座った。春の日差しが心地よく教室に入ってくる。後ろの席では、新入生達が、まだぎこいない会話をくりひろげている。

　この大学で一番広い５０１教室は、通称500人教室と呼ばれている。５００人の生徒が収容できる大教室で、単位の取りやすい講義や、雑誌やテレビなどでおなじみのタレント教授の講義。その他、本当に面白い講義など、生徒たちから人気の講義は、主にこの教室で行われるわけだ。

　しかし。この教室が今日よりごった返す日はないだろう…

　これから始まる『仏教の教え』という講義は、仏教系であるこの大学では、決して避けては通れない講義になっている。簡単に一言で言うと、この大学に入学した生徒は全員この講義を、毎週月曜日の１限目に受けなければならない。

　そして今日がその１回目の講義である。

そういえば、去年もこんな感じ…こいつらにとっては今日が初めての講義か…

　春の日差しと、新入生たちで溢れる教室の熱気に当てられて、柄にもなく感傷的になっている私は去年のことを思い出した。

真面目で几帳面な私は、当時この講義に、全出席し、友人の出席カードにまでサインをし、講義ノートを３人の友人に貸し出した。そして、すべてが万全の体勢でこの講義の単位を落とした。