NHKはオリンピックの時以外あんまり見ない。
「ピタ●ラスイッ■作ろう!!」
暖かい春の日差しが続く中、此処『(仮)部』の部室で、この部の部長の破入光(はにゅうひかる)は脳内お花畑だと思われる頭を懸命にフル回転させて出てきた結論がこれであった。
自分から率先して考えるといって出てきた結論がコレですか。そうですか。
そんな言葉を頭の中でぼやきながら、井内快人(いうちかいと)は立ち上がった。
「ん?おやー、めずらしいね。いーたんが何か言おうとするなんて。」
そういってにまーっとこちらにからかうような笑顔を向けてきたのは宮地千花(みやじちか)だ。
大きな瞳、整った顔、モデル体系の彼女は街中ですれ違ったら、十人中九人はつい振り返ってしまいそうな美人さんである。
まあ、その実態は人様に変なあだ名をつけるばかりか、「人を翻弄させるのが私のモットー!」と親しい人々に宣言しているドSなのであるのだがそれは今関係ない。
「珍しいも何も無い。なぜ『何かやりたい』と言い出したらピ●ゴラ●●ッチになる」
「おもしろいから」
いきなり話に割り込んで光はそう断言した。
それに反論すべく快人は口を開く。
「俺たちは子供じゃないんだぞ。まったく理解に苦しむ。本当に・・・・・」
「・・・・いーたん、もう諦めようよ。いまは素直がほほえむ時代なの。だいじょーぶ、いーたんをコースの一部にしたりはたぶんしないから!」
「君の頭も大概同レベルだな・・・・・」
「落ち着きましょ――井内先輩。ほらほら、二軍のファンタジスタらしく」
「一軍は一体誰・・・・」
活動一日目からすでに騒がしく、いつも通り、な感覚が、何故かふいに胸に浮かんできた。
本当に不思議である。
×
とりあえず快人が折れてくれたので、体育館裏の倉庫からダンボールを取ってきて、後は部室の備品を使って部室で作ることになった。
本当は特別練全部使って作ってみたかったのだが、さすがに二人(うち一人全力でもう一人はやんわりと)に止められては、さすがに断念せざるをえなかった。
なぜ諦めると言うことを断念すると言うのかとか、無駄すぎる思考を繰り返し部室に到着した。
部室では一人だけでノリノリで千花がもう半分の設計図を描いていた。
窓から差し込んでくる夕日のせいで、絵画じみた光景になっている。無駄な美貌である。
「い~うち~せぇ~んぱ~いはどうしたの?」
「シャイは永遠にルパン●世にはでられないからそれはやめときなさい」
「サーセンでしたー」
「生意気な運動系部活の後輩の挨拶みたいね」
「ここはゆ・る・ふ・わ系部活です!!」
言って置かないといけないことだ。この(仮)部の信念、「青春×ゆるふわやろー!」という二秒で思いついた信念を守るためにも!!!ちなみに「脱力に全力!」というスローガンを提案してきた千花とは戦争になったが辛くも勝利した。
「いーたんなら倉庫の使用の許可、あわてて取りにいったわよ」
「んにゃ、わかった」
そう言って光は千花の隣にわざわざ椅子を持ってきて座った。
時計の音は静かな部屋によく響いていた。
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