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陽が昇るとき  作者: ががが
序章
4/12

第3話「戦闘」


 三人は先ほどのつぶやきがあった場所へとたどり着いた。

「おい、聖哉、これを見ろ」

 俊が下を指して言う。見るとそこにあったのはわずかな血痕だった。聖哉がそれに触れてみると、どうやら付いてからそこまで時間は経っていないようだった。

 その先を見ると、血痕はどんどん道の先へと続いている。聖哉たちはそれを見ながら道の先へと進んでいった。時折、人が聖哉たちが急いでる様子を不思議に見ていたが、三人はそれを気にせず走る。

 


 どれだけ、走っただろう。聖哉たちが辺りを見回すとそこは誰もいない大きな広場のような場所へと出た。

「聖哉! あれ!」

 沙良が何かを見つけて、指を指した。その先には二つの人影のようなものが見える。一方が逃げ、もう一方が追いかけているようだ。

 聖哉たちは急いでその人影を追いかけていく。

 三人は若さを活かした走りで段々と距離を縮めていった。

 やがて、二つの人影は広場の端の方で立ち止まる。

 追いかけられていたのは男性、一方、追いかけていた者はフードを被っていて顔を認識できない。 

「……どうして俺を狙う?」

「……」

 追いかけられていたと思われる男性は息を切らしながら言った。だが、犯人と思われる人物は何も答えない。

「お前が俺を狙う理由はわからないが……昨日殺したやつは俺の部下……今日は俺……。お前、何か俺に恨みでもあるのか?」

「……」

 何も答えないまま、犯人と思われる人物が手をかざすと何もないはずなのにそこから剣が生み出された。だが、その剣は普通の剣ではなく炎を纏っていた。

 犯人と思われる人物が男に切りかかろうとした瞬間に聖哉たちは追いついた。

 犯人と思われる人物は、見向きもせず炎を纏った剣は男に振り下ろす―――。





  

 


 




 が、男は切られなかった。

 男の周りには鉄の壁ができていて、犯人の炎の剣を防いでいる。

「……」

 犯人が後ろを見ると、そこには聖哉たち三人が立っていて俊が地面に手を当てていた。

 この『鉄』を操る能力が伊吹 俊の能力だ。使い方は様々で、この様に壁を作り出したり鉄棒を生み出し闘うことだってできる。

 犯人は体を聖哉たちの方へ向け、走り出した。聖哉たちはそれに合わせて三方向へと分かれる。

 それと同時に、沙良は地面に手を当て地面から黒い手を出現させた。これも彼女の『闇』の能力の一つだ。その手は犯人の腕、脚を掴んで身動きがとれなくする。

「……」

 だが、犯人はそれに動じることなく強く地面を蹴った。炎の柱が立ち、沙良の闇の手を焼き払う。

 沙良は少し驚いた顔をしていたがまだ攻撃は終わらなかった。今度は俊が鉄棒を作り殴りかかる。しかし、犯人はまたもや炎の剣でそれを防いだ。俊と犯人は互いに攻撃し合い、防ぎ会う。

 沙良も闇の手で援護するが、犯人は見事な身のこなしで攻撃をかわした。

 しかし、その状態はすぐに終わる。

 犯人の目の前に雷を纏った拳で殴りかかろうとしている聖哉がいきなり現れた。沙良の能力で身をひそめていたのだ。

 聖哉は犯人に殴りかかる。犯人は防ごうと剣を振るったが、それを俊が鉄棒で弾き飛ばした。犯人は聖哉の攻撃をかわすことができず、そのまま殴られて二、三歩後ずさる。

「あくまでも俺たちはチームだ。個人戦ではお前の方が強くても団体戦になればこっちのもんだ」

「……」

 犯人は、少しよろめきながらももう一度炎の剣を作った。そして、勢いよく聖哉に向かって走り出す。距離が近づき、犯人は炎の剣を横に振った。だが、そこには聖哉の姿はない。

 犯人が気づいた時には、聖哉は既に犯人の懐近くに手を伸ばしていた。

 犯人はかわそうとしたが、聖哉の手は雷を帯びており、犯人の体を捉えていた。

「……!」

 犯人は感電し、力なく膝から崩れ落ちた。

「っと……ま、こんな感じか?」

「任務成功だね!」

 沙良が嬉しそうに飛び上がる。俊は携帯で警察へと連絡していた。

 聖哉は犯人のフードを脱がせると、犯人の正体はキレイな女性だった。

 犯人に襲われていた男に犯人のことを尋ねると見覚えはないようだった。

「……見覚えはないやつに襲われる理由……か」

 聖哉たちは、ある疑問を浮かべた。この女の動機は何なのだろうというものだ。

 それから後、女はしばらくして警察へと引き渡された。



「ん~……今日は疲れた……」

「早く帰ろ~」

「しかし、色々気になる終わり方だったな」

 事件が一応終わり、祝勝状態の三人に近づいてくる人物がいた。

 先ほどjte管理局から到着した只見と呼ばれた男だった。

「やぁ、君たちが今回の事件の担当?」

「ええ、そうですけど……報告員の人ですか?」

「うん、そうだよ。しっかしすごいな~……これも若さかな?」

 管理局の時の態度と比べ、只見は気さくに三人に話しかける。

「え~、報告員さんも若く見えますよ!」

「はは、ありがとう。一応今年で24だからね。まだまだ負けてられないなぁ」

「ところで……話しかけてきた理由は?」

「いや、これと言ってないよ。あ、そうだ。君たちの名前を教えてくれるかな? 一応知っておいた方がこちらも損はないだろうし、これ俺の名刺」

 只見は、自分の名刺を三人に渡した。三人が名刺を見るとそこには『只見ただみ 秀輝しゅうき』という名前が大きく書かれていた。電話番号、メールアドレスも書いてある。

(……?)

 聖哉はこの名前に見覚えがある気がしたが、思い出せなかったので気のせいにしておくことにした。

 三人もそれぞれの自己紹介をして、秀輝と連絡先を交換した。

「今回の事件、色々気になるところがあるだろ? また何かわかったら連絡するよ」

 そう言って、秀輝は立ち去っていった。

(やっぱり、この名前どこかで見覚えが……)

 先ほど気のせいにしておいたが、疑問に思ってしまう聖哉だった。

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