番外編 たこ焼きクルクル♪
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科学的にアニメを考えると不可能ばかり
ウルトラマンを人間的に考えると
あの身長と体重だと足や腕が大根のように太くなるらしい
そんなウルトラマンが怪獣を倒してる姿を想像するのは
なんか嫌だ
「くるっとな・・・♪」
金属の針でたこ焼きになるものを回す
只今絶賛バイト中の俺
美月はいろいろと連れまわされている
「ほれ、くるっと、くるっくるっとぐるんっとな・・・無駄に多いんじゃボケェー!!」
俺の周りには山となっているたこ焼きの具材
何だ、この状況はッ!!
クラーケンのタコバージョンのほうを焼くなんて聞いてなかったぞこんちくしょうッ!!
と・・・まぁ、こんな感じで俺は今ドラゲイルにいる
ここは城の会場・・・というか会場ってよりも軽く祭りっぽい
ちなみにドラゲイル王都全体でも祭りみたいになってる
イカとかタコとかいっぱいあるらしい
「一パックもらいたい・・・」
そんな言葉
「あいよッ!!・・・あれ?」
ノリノリな俺だが目の前の人物には少し驚いた
「黙って一パックよこしなさい」
こんなこと言ってくるのは黒髪黒い肌の女性
そして、実力では魔族の中でトップ・・・つまりリーシ・トルゥマアだ
「よし、見なかったことに・・・」
「何故そこで見なかった事にするのかわからないッ!!」
大声で怒鳴られた
だってさ~・・・前に一回戦った人ですよ~
あまりしゃべりづらいじゃないですか~
と、そんな所に・・・
「チッ・・・お姉さまじゃないのか・・・」
そんな声が聞こえた
ひょこりと顔を出す少女・・・ミルリアが現れた
「なんでお前らがここに・・・」
「こういう人間の国のお偉いさんが来るところに私たちが呼ばれた、という事実が大切
戦争で戦力が結構削られたけど、ドラゲイルとかのバックがあるところを見せれば
なかなか手を出しづらくなる。ちなみに魔王を倒した二人の内の一人の黒いのに
こうやって話しかけているのもそういった事情によるもの」
リーシがながながと説明してくれた
ふ~む、いろいろとめんどくさそう
てか「黒いの」て俺のことか・・・?
「なんでリヤナお姉さまじゃないんだ・・・」
ミルリアのぼやきは無視しよう
ほら、そこの姉!!暴れるな!!俺の体を乗っ取ろうとするな!!
「はいはい、これ・・・んじゃ、さよなら」
とりあえず一パック渡してさよならの挨拶
「・・・なにやら無愛想だな、黒いの。失礼だと思わないのかい?」
リーシがこちらをジト目で見ながらそんなことを言ってくる
ちなみにたこ焼きはもう食べている
「ていうか、なんかしゃべり方変わってる気がするんだが」
「私のプライベートはこんな感じだ、何か悪いか」
「いや、そんなわけじゃ」
「あくまで仕事では女っぽくなっておこうとしているのだよ」
「普通逆じゃね・・・?」
「気にするな」
そこは気にしたほうがいいと思う
ん~、やっぱり(俺も含めて)ずれている人が多いと思う
ちなみに、ミルリアはリヤナさんのことで騒いでいる
だが気にしない
「んで、なんでまだここにいんだよ?俺は一パック渡したぞ」
「話す相手がいないからなんとなく、だ」
「まぁ、近づこうとする人はいないだろうな」
相手は魔族だし、今の時点では怖いだろう
「うむ、だからここにいる」
「・・・」
黙ったまま手を動かしたこ焼きを焼き続ける
「・・・」
焼き続ける
「・・・」
焼き続ける
「何か話せ」
なにやら要求してくるリーシ
「じゃあ、話題はお前がふれッ!!」
なんかこの人は特にめんどくさい気がする
「ふむ、ん~・・・ん~・・・ん~・・・」
唸ってるリーシ
「・・・」
手を動かしながらそれを見ている俺
「・・・なにか話題を出せ」
「ホントめんどくせぇな、お前!!」
つい怒鳴ってしまった
自分から話題を出せないのならしゃべろうとするな、て感じだ
「・・・」
ジ~と見てくるリーシ、完全に話題待ちだ
「・・・」
それでも黙る俺
「・・・」
リーシの視線、内容はさっきと同じだ
「・・・少し待て、話題を探す」
負けた・・・完敗だ・・・
この俺が根負けするだと・・・
「ふむふむ」
相槌をうつリーシ、なぜここで相打ちを打つ必要があるのかわからない
人を馬鹿にしているのか、と疑問に思うほどのタイミングだ
「・・・そういえば、魔界は今どうなってるんだ?」
よし、これは結構続きそうな話題だッ!!
これで少しの間は大丈夫だろう、ふっふっふ・・・俺を甘く見るなよッ!!
「どうなるかわからないから戦艦の製造を進めているな
新しく軍も作っている、あくまで自治のためのものだ、勇者達の言っていた軍・・・
確か自衛隊だったか?それを作ってるところだ
そして、お前らが魔王城の柱・・・ああ、お前たちは知らなかったな、あの柱は
魔界のエネルギーを貯めていたものだから、それが原因で地が死んでいたのだ
それを、お前たちが壊したおかげでそのエネルギーが大地をめぐり、ちゃんとしたものになってきた、すぐに良い作物がとれるだろう、あとは~・・・ん~・・・お、そうだった
この頃、ジールクとルクライルが二人で魔界全域を調査してる所だな
いろいろと直すために調査中だ・・・うむ・・・
・・・ん~と・・・
・・・・・よし、ほかに話題を出せ」
「お前と話してんの本当に嫌だッ!!
なんで一気に言うんだよ!!徐々にゆっくり俺と会話するように言えよッ!!
俺とコミュニケーションをとるつもりねぇだろッ!!」
何故だろう、何故俺はツッコミ側にまわってるのだろうか?
いつも俺がふざける立場なのに・・・なんでまじめちゃんになってるんだろうか?
「うむ、正直なとこ黒いのとはコミュニケーションはとりたくない」
正直すぎだ、このやろう
「だったら、俺のとこにくんなッ!!これでもバイト中だぞ!!」
こいつ俺に嫌がらせをしにきたのだろうか?
「そうえいば、さっきから気にしていたのだが・・・それ面白そうじゃないか?
私にもやらせろ」
「・・・」
なにこの人、なんでこんなに上から目線なの?
可笑しいよ、絶対におかしいよ!!
「ふむ、どれどれ」
俺がそんな事を考えてるうちにリーシが俺の前にわりこんできて
焼き始めた
「んん・・・形が崩れるな・・・」
悪戦苦闘のリーシ
「もっと焼いてからひっくり返せよ・・・」
軽く液体状態のたこ焼きをひっくり返すリーシさんにそれを指摘すると
納得したのか少し時間を置いてからひっくり返す
さっきまでドロドロベチャベチャだったのが、
俺の言葉どおりにして、きれいな球体になる
「ほほぉ・・・」
リーシさんがそんなことを言いながら夢中になっている
今まで一人でやってたのである意味楽になった
パックとかに入れるのも自分でやっていたので
手が少ないと思ってたとこだ
なのでパックに入れてソースなどをかける作業に移る
「五パックくださいな♪」
そんな声が聞こえた
そっちを見てみると美月がいる
「テツヤ、ひさしぶり~♪」
そんな声、美月の横にはルミがいた
白竜の竜人の少女だ
「おっす、ルミ」
それに返答する俺
「そういえば徹夜、私達にイリル様が用があるんだって~」
美月がそんなことを言ってきた
「ん?そうなのか・・・?でも少し離れられないし・・・
あ、そうだ。ミルリア、お前、リーシの手伝いしとけ」
「え~・・・」
「一人で仕事ができる妹を見たら、リヤナさんも大喜びだな」
ちょっとしたエサをまいてみる
「・・・やってあげるよ、しょうがないなぁ、まったくぅ~」
釣れた!!・・・ということで俺は離れることに
そして歩き、イリルさんは人気の少ない所にいた
というかなぜルミはついてきてるんだ?
嬉しそうに笑いながら俺の近くにいるのは何故だ?
「来ましたね、お二人とも」
イリルさんがこっちを見て言う
「それで、用とは?」
「いや、ただの質問なんですけどね。二人は旅をしていたようですから
なにか噂でも聞いてないかな、と」
「???」
「堕天使のことなにか聞いてませんか?」
イリルさんのその質問
堕天使・・・?
「あれ、それはイリルさんが倒したのでは?」
美月の返答・・・というか問い
あ、思い出した。戦争中びイリルさんにケンカ売って
『竜の息吹』で吹き飛ばされたらしいやつだ
「それがですね、もう一人いた悪魔を盾にして生き残っているみたいなのですよ
海中に隠れられて見つけることができませんでした。いくら私でも
なにかを捜す能力を持ってるわけじゃないですから」
「ふむ・・・めんどくさそうですけど、一応旅の途中で噂とか
集めておきますよ、または捜しておきます」
「ありがとうございます・・・あ、ちょうどいいので
ヒドラも捜しといてくれませんか?」
「ヒドラ?」
美月の質問
「ええ、何百年か前になんかワクワクしたから旅に出る、ていう理由で出て行った
馬鹿な子がいるわけで・・・その子が帰ってこないわけです
多分迷子になりましたね」
なんという・・・
「余裕があったら捜しときます」
「お願いしますね」
「よし・・・話も終ったみたいだし、たこ焼きを食べよう!!テツヤ」
ルミがいきなり大声で言ってくる
それが目的!?・・・俺、バイトなんだけどッ!!
まぁ、そんな感じで話が進み
たこ焼きを焼くのに夢中なリーシ
大食い勝負をするルミとイルリヤ、
・・・などいろいろと珍しいものが見れたわけである
結構楽しかった
誤字・脱字があればマジで御報告宜しくお願いします