番外編 ん~・・・
なぅ
─ 美月視点 ─
今はあの馬車のときから3日程度たった
「うふふ~♪」
今は朝早く
今いるのは三つの大国の内一つ『ミラゲイル』という国
今まではレーゲンとサラスムしか行った事がなかったのでここは初めてだ
その王都の宿に泊まっている
キョクトウに行く途中ではこの今いる国とドラゲイルを通っていかなければいけない
なので、ドラゲイルに行くときにはイリルさん達のとこにも寄っていくらしい
ちなみに、私は隣の一人専用の部屋に向かっている
簡単に言うと徹夜が泊まってる部屋だ
私が予想するにまだ寝ていること間違いなし
だから、起こしに行くのだ
ノックを二回程度したあと、返事がないのでドアを開ける
そして中に入り
ベットのほうに行く
そこにはやはり寝ているようで頭までかぶって顔は見えないが
黒い髪の毛が見える
「てつや~♪朝だよ~」
ということで、ガバッと毛布をはぐことに
「むぅ~、さむぃ~・・・」
そんな声
「・・・なッ!?」
私の驚きの声
その驚きは必然だろう、徹夜の泊まってる部屋
徹夜が眠ってるはずのベットの上
その場所には知らない人・・・というより魔族が眠っていた
「魔族の女性が何故徹夜がいるはずのベットの上にッ!!?」
魔族の女性の黒い髪は長く、へそ辺りまで伸びている
大人びてるような顔は整っていて、美人といえる
「むぁ?美月ちゃぁん?」
その魔族の女性がしゃべった
「私はこの人を知らないのに、この人は私を知っているだとぅッ!!?」
驚愕をあらわにする私の声
・・・そんな朝だった
─ リヤナ視点 ─
ふっかふかのベット
寒いようで暖かい感触、なんとも抱きやすい感触
布団をとられて寒かったのだが
代わりに私を暖めるもの、徹夜がいた世界で言うホッカイロがわりのものを手に入れ
いまはとても暖かい
「んふふ~♪」
すこし寝ぼけながらも笑顔の私
「はぅあああああああッッ!!!???何この状態ッ!?」
そして私にホッカイロがわりにされて混乱している美月ちゃん
「んふ♪リシだ、リシ♪」
つい声に出してしまうあの人の名前
私のように少しでも魂が残ってれば良かったのだが
完全に生まれ変わってしまってるのでもう居ないと言えるのかもしれない
でも、リシから生まれ変わった美月ちゃんは私にとったら宝物同然だ
「へ?リシ?」
私の言葉に疑問の言葉をあげる美月ちゃん
そういえば、美月ちゃんは徹夜の記憶を別ルートで手に入れてたっけかな・・・?
こっちを振り返って見上げるようにして見てくる
・・・
・・・・・・・
「美月ちゃんかわいぃぃぃぃッ!!」
さらに力が込められる腕
「ひぃああああッ!!メキメキ言ってるッ!!私の体がメキメキ言ってるよぉぉ!!」
おっと力を込めすぎた
徹夜の体だから馬鹿力だったんだ
「ふむ、徹夜は起きるのが嫌だから私に押し付けたと見える」
私の言葉
「・・・り、リヤナさんとやら・・・?」
美月ちゃんの言葉、なにやら言葉遣いが可笑しくなってる
いつも徹夜が振り回されてる感じだけど
相手が変わるとこうも変わるのかな?
「うん、そだよ~」
ニコリと笑いながら答える私
「それは・・・徹夜の体?でも黒い・・・」
「自動的に黒くしてるんだよ、徹夜の体をね」
「・・・ということは徹夜に抱きつかれてる状態なのではッ!!?」
「・・・さぁ?」
「そこはキチッと答えて欲しいかもッ!!」
「ふむ、体を使えるうちにやりたいことをやろうじゃないか・・・」
私は立ち上がる
服は闇をつかってワンピース風に変える
徹夜の体は女性でも嫉妬するようなスラリとした感じなので疑われる余地がない
よくこの体であの馬鹿力が使えるものだと疑問に思う
「やりたいこと・・・?」
「うむッ!!美月ちゃんを連れまわす!!」
─ ということでぇ♪ ─
「まぐ、べぐるべべぼぼ(美月ちゃんは、どこ行きたい?」
口の中にはなんとかウルフのお肉が入っており
変な言葉しか話せない
美月ちゃんもそれは同様で
口の周りについている、たれを拭いてあげる
「んむ~、べべるべっとぼぼるだ(ん~、特に知ってるわけじゃないからわからない」
これで通じるのだから凄いと思う
そこで私は肉を食べ終わり、少しの間う~んと唸りながら考える
「いつも思うんだけど、オシャレをもっとすれば徹夜もちゃんと意識すると思うの
徹夜自身気づいてないけど、美月ちゃんのこと好きなんだから」
「ふぇッ!?」
おっと、口が滑った(ニヤッ
別にわざとやったわけじゃないから徹夜には謝っておこうかな
ごめんね~、徹夜(ニヤッ
本当に、わざとだよ・・・じゃなくてわざとじゃないよぉ~
「そ、そそそそそれってホントッ!?」
「さぁ?」
「ちゃんと言ってほしいなッ!!」
「それよりもオシャレな物を買いに行こう
徹夜くんを落とそう作戦♪」
「え?あ、はい、ん?うまく話をそらされた?」
ということでLet's GO!!
「ん~、やっぱりこの世界だと化粧の道具ってのは貴族のものだからね~・・・
結構高いんだよね~、確か美月ちゃんと徹夜のギルドランクSだっけかな?」
「はい、Sです」
無駄に硬くなってる・・・
そんなに硬くならなくていいのに~、私傷ついちゃうよ
「じゃあ、余裕だね。まぁここは私のおごりでしょ」
徹夜のお金だけどね
ん~、これとかかな~
やっぱり元の世界のお化粧道具ってのは万能だよな~
この世界のだとすべてがダメなものに見える~・・・
まぁ、そんなのが続いちゃったりして
楽しくお話もしたし、食事もしたし
なんか相手は違うけど生きてた頃の楽しさが思い出せた感じで
とても楽しかった
そして時間はそんなんで進んで行き
すぐ夕方になり、宿に帰った
美月ちゃんは嬉しそうな顔で寝ちゃった
私が相当連れまわしたから疲れたのだろう
「ふぅん・・・まったく徹夜はなんでこう自分からアタックしないのか~?」
私の疑問
《そんな恥ずかしい事したくないし、するつもりもない》
私の頭に徹夜の声が響いた
「まったく、恥ずかしがりやなんだから~」
《うっせぇ!!》
そんな感じの会話
《それで・・・今日はどうだったわけさ、体の主をほっといた一日は》
「とても楽しかったよ、わざわざ私の事も考えるなんてお優しいね~」
今は自分の部屋に移り、ベットに座って足をパタパタを振っている
《ふん・・・》
「で、気づいてる?」
《ああ、俺達がこの王都に入ってから、ずっと見張られている》
この王都に入ったのは二日前なのだが
そのときから数人の男たちが付きまとっている
私(・・・徹夜と言ったほうが正しいだろうが)と美月の名前を聞いて
兵士が変な反応したのだが、それを無視して王都に入り
その結果が尾行だ
《多分、美月も気づいていただろうがリヤナさんが気をそらしたおかげで
悩む事もなく今はグッスリだ》
「ふふん、お姉さんは偉いでしょ?ということでまた今度体を貸しなさい」
《断る》
「さて、どうする?徹夜は体に戻る?それとも私がやる?」
《ん~、リヤナさんだと女でそのままだと気づかないし、肌が黒いから魔族と勘違いされている。やはりここは俺が戻ったほうがいいだろう》
「マジで今度私に体を貸しなさいな」
《だから断る、と言った筈だ》
「・・・もう」
そんな会話をした後にはもう肌が白くなり
髪の毛を縛りなおす
「・・・一日貸してやっただけでも感謝しろ」
もう徹夜の声に戻っていた
《・・・私は寝るから、いろいろと頑張りなさいな》
「・・・人事ですな~」
《だって人事だもん》
「なんて最悪な奴ッ!!」
《じゃ、おやす~》
ああ、逃げやがったよ、コンチクショウ
俺はベランダに出ると屋根に乗り移る
少しの間屋根の上を跳んで進み
俺が泊まっていた宿から離れたら止まる
「さて、何者なのかな、あんたたちは?」
その言葉を言うと周りでタッ・・・という足音がいくつも響いた
10人ぐらいの男たちが数人
顔は隠していて確実に怪しい人たちだ
「ん~、この国で訓練された兵士達っぽいけど・・・俺に何か用かな?」
「別に危害を加えるわけではない」
そのうちの男かしゃべった
その男だけが浮いている
別におかしなところは外見にはない
ただ、強さというかそのオーラっぽいのが周りの男達と比べると違うものだ
その男が顔を見せる
「私はザアク・オルライト、この国『ミラゲイル』の誇り高き騎士の一人だ」
「ザアク・オルライト・・・大国ミラゲイルで一番の騎士と有名人じゃないか」
結構な大物じゃないか
「で、俺達に何か用ですか?」
「我が主である国王がここにはいないお嬢さんも含め、お二人に興味がおありでね
ここになにしにきたか、なども含めて見ていたわけだ」
「別に直で聞きにくればいいじゃないか?」
「そんなことしたら君たちが無駄に騒がれてしまうだろうから
一応、気遣いというものだよ・・・」
ふぅん・・・気遣いか・・・
「では、俺たちがそちらにお伺いしますか?」
めんどうなのは嫌いでね
それに、国王とやらが何故俺達を気にするのか知りたいし
「ふむ、それはありがたい
明日の朝に迎えをおくろう」
「ふむ、次はコソコソするのではなくちゃんと会って
腹の探りあいでもしますかね、まぁ俺は頭が悪いから無理ですけど」
「私も考えるのはあまり好きではないさ、君の提案にはとても感謝してるよ
では、明日」
ザアクという男はそういって建物を飛び降りる
そちらに行って下を見てみるがもうどこにも人はいない
部下らしき男達も同様にいなくなる
「なんかめんどくさそぅ・・・」
俺のうんざりとした声が回りに響くだけだ
誤字・脱字があればマジで御報告宜しくお願いします