81話 ヤフゥ~・・・(´~ω~)
あらすじ
徹夜も美月も到着
イルリヤはよだれをたらし
イリルは竜の姿へと変わる
つかれた・・・
─ 徹夜サイド ─
真っ黒な土地、真っ黒な空
どんよりとした独特な空気
生き物が生きているとは思えないような場所
元の世界でも今の世界でも歩いたことのないような世界
それこそ第三の世界に来たような感覚だ
木は枯れはて、川は死んでいた
こんな所で魔族は生活しているのか?
もしかしたら、ある特定の地域ではどうにかこの環境を改善して
その場所に住んでいるのかもしれない。そう思うほどの空間が広がっている
そして・・・
「ん~、どっちに進めばいいと思う?」
俺の目の前には二つの道。簡単に言うとわかれ道
まぁ、道を無視すればまっすぐ進めるのだが
ここは道に沿っていくべきかな、と思う
多分それが最善だと俺は思いたい、思いたいけど
俺の考えだからあまり信用はできない
だって俺だもの
「私は右だと思うね」
ラルドさんの返事
なにを基準に決めているのだろうか?
少し、そこを聞きたいが、ほとんどが勘だろう
決められる基準がないしね、6割程度は勘だろうな
「ん~、左かな?」
ハクの言葉
どうせお前は10割は勘だろう
「・・・まっすぐ」
ライルの言葉
さすがだね、まさかまさかの道を無視する答えを導き出した
これは無視しておこう
「じゃあ、・・・・どうするんだ?」
これは難問だ
─ 美月サイド ─
「ん~、これは難問だね」
私がついつい呟いてしまう
そして、目の前の難問の事を口に出す
「だって、こんな可愛い魔物、殺せないじゃんッ!!」
その言葉にいつも無口のロミルさえ他の人と同様に溜息をつく
ちなみに、ラルチはなにやら
「美月様のその発言自体がかわいぃぃぃ・・・」てな感じで身悶えている
そして、詳細を説明するが、目の前には道を通せんぼしてる魔物
それは目がくりくりしていて、サッカーボールと同じくらい大きさの魔物
丸い体にふわふわの毛、そして短くてちっちゃい手をかんばって広げて
キュゥ、キュゥ~という鳴き声で、威嚇していたりする
女の子にとったら引き寄せられるであろう事間違いなしの姿のものがいる
「いや、ここはちゃんと気絶でも何でもさせて通りましょうよ」
ロイズのその言葉
とてもひどいことを言うねッ!!ロイズは
「美月様の気持ちがわからないわけでもないですが、無理にでもここは通るべきですよ
私達にも目的があるのですから」
マイルのその言葉
「お姉様の発言ふぁ~・・・くぁわいぃぃ~~」
身悶えているラルチ
なんでこの子は身悶えているのだろうか?
「魔界でも美月は美月だね・・・」
呆れているサイス
「・・・」
無口なロミル
その手は剣の柄にそえられていて、いつでも斬る準備できている、ということだろう
それを私がわたわたと手を振って止めている状態だ
「だって可愛いじゃんッ!!可愛いは心を癒す元なんだよ!!
全ての生き物にとっての宝石を言っていいものだよッ!!」
無駄に力を込めて説得する私
魔界にきてまでこんなことをするとは思わなかった
私って結構、図太いよね
「じゃあ、連れてけば?」
サイスのその発言
他の人たちはその言葉に目を見開き驚き、「やめてくれ」とでも言いたいような目だ
そして私は頭の上に電球でもひかっているように、右手を左手の上にポン・・・と置く
その考えには賛成だ
「よいしょっと・・・」
その可愛い魔物を両手で抱える、あまり重くはなかった
モフモフしてて、きもちいぃ~・・・とてもやわらかい感触だ
そしてその魔物は「キュ?キュゥゥゥ~?」てな感じではてなマークを浮かべている
その、魔物にいつも持ち歩いている(おやつのためだ)ビスケットのようなものを
渡してみることに
すると嬉しそうにカリカリと食べ始める
「よぉし!!モフちゃんも手に入れたし、みんな行こうかッ!!」
そんな感じで名前まで決めて意気揚々と私は歩き出す
その様子に呆れ顔を隠せない勇者以外の勇者御一行であった
─ ─
「ふんッ!!」
戦場にある男がいた
それは徹夜と王が話していたときに後ろに護衛として付き添っていた男
SSランク『糸殺』のトミルズと呼ばれていた男
その男の手からは数本の鋭いワイヤーが伸び
戦艦に巻きついている、戦艦も相当高く飛んでいるはずなのだが
それでも巻き取られ、今はトミルズにひっぱられて急激に降下している
「切り刻まれろ、鉄の塊がッ!!」
その言葉と共にさらに数十本の細いワイヤーが現れ
戦艦を切り刻む
金属をも切り刻む鉄の糸が戦艦をバラバラにした
その破片は鋭い鉄の雨となり魔族へ降り注ぐ
「ふぅ、戦争なんて興味ないのになぁ~・・・」
SSランクの男がぼやいてしまう
ちなみに、こいつが冒険者になった理由は
どこかで不自由なく静かに暮らしたい、というもので
最初はBランクを目指していたのに何故かSSランクまで上がっていたという
なにやらおかしな男である
「ん~、それにしても戦場の戦力はどちらも変わらないか・・・五分五分ってとこだね」
戦場を見渡しながらつぶやく
目の前では黄金の竜が翼の生えた二人の男達を圧倒してる場面や
なにやらギルドファイトという大会で黒の破壊者という少年に魔法ごと砕かれていた
土の鎧というよりゴーレムを着たギリでSランクの男が戦艦の砲撃を食らっていたりする
「あら、トミルズさんこんなとこにいたんですか?」
そんなときに声がした、そちらを振り返る
その方向にはトミーという速さにこだわる男・・・ようするに早さ馬鹿の男がいた
ギルドファイトでは『聖剣』のラルドという相当腕のたつ女性と戦っていたSランクの男だ
異名は『斬風』だった気がする・・・うろ覚えで間違ってるかもしれないが
「ああ、トミーか、久しぶり」
気楽に答える男
「そういえば、トミーと仲の良いトゥルスは?」
男の質問
ギルドファイトで黒の破壊者という少年と戦っていた水属性魔法の得意な男がいない
それに対してトミーは
「トゥルスは水辺で遊んでますよ」
遊んでいるというのはなんか気の抜けた言葉だが
水辺という言葉からしてとても乱暴な遊びをしているのだろう
あの男は水が多くある場所では相当使える奴だ
「へぇ、なかなか面白いね」
ついついニヤニヤと笑ってしまう
「そういえばさっきトゥルスとあったときに
でっかいタコとイカとサメが大きな竜にさばかれていた、とか言ってましたよ」
そして、そんなことを言ってくるトミー
「本当にこれは戦争なのかな・・・?変な場面ばっかり聞いたり見たりするよ、僕は」
ちなみに徹夜が飛んでいったところも見たので
疑問がずっと頭に残っているSSランクの男です
「俺も時々疑いたくなる場面を見るので肯定はできませんよ
あの黄金の竜と戦ってるの堕天使と悪魔らしいですしね・・・」
「あっはっはっは~・・・」
Sランクの早さ馬鹿とSSランクの糸使いの男が楽しそうに笑いあっていた
─ ─
ここは連合軍の後衛
負傷者の手当て、遠距離からのサポートなどを担当している場所だ
「ほれほれ、お主らいっせいに呪文を唱え始めるんじゃ」
腰のひん曲がった老人・・・徹夜がこの世界に来たときから見たときのある老人
グレイブが宮廷魔術師の10名に話しかける
すると、その十名の声が呪文を唱え始め綺麗にハモっている
1人でやると少ない破壊力だが、10人にもなれば相当の破壊力が増すことになる
そして、十分な力がたまると
「ふむ、発射なさい」
そのグレイブの言葉により魔法が発射される
それは戦艦にぶち当たり戦艦を砕くが、まだ墜落までには及んでいない
墜落させるように攻撃してるわけではないので当然である
「・・・さて、次はどこを攻撃すればいいのじゃ?」
老人が目を瞑っている少女に話しかける
すると静かに目を開き、指示を声に出す
「あそこと、あそこに攻撃を仕掛けてください
もうすぐあそこから大規模な攻撃魔法が使われます」
その少女が指差した二つの方向へまた宮廷魔術師が攻撃準備を始める
「カイラ様、大丈夫ですか?」
その少女の後ろに立っていた甲冑の男がしゃべりかけた
その少女の名前はカイラ・ミラージュ。『時の巫女』という予知の能力を持つ少女
その能力は戦場では強力な兵器ともなる、相手の行動がわかるのだから
だが、その分、体力も決して少ない量が奪われてしまう
それを心配してるのがジョイツという騎士だ
「ええ、問題ありません、美月ちゃんも頑張っているでしょうし
それに徹夜だって・・・」
カイラは首にかかってるネックレスをギュッと力を込める
その少女は能力をすでに多量に使っており、すこし辛そうで汗が額に浮かんでいる
そして、また目を閉じる。能力を使用し始めているのだろう
ちなみに、そのときが丁度
徹夜たちは道で悩み、美月が魔物のことで呆れられているときと同時刻なのだが
それをカイラは知らなかった
誤字・脱字があればマジで御報告宜しくお願いします