75話 ねぇ…なってるよね?まじめな話に…
前回のあらすじ
この頃まじめになってきてるのはなぜだろうか
そんな疑問を持ちながらも
徹夜は歩く
これは
主人公の徹夜、でもなく勇者の美月でもない
これは違う人の、違う場所
川に流された末の話
「・・・ん・・・う?」
私は良くわからない所で目覚めた
わからない天井、わからないベットの上
「いつっ・・・」
頭がズキンと痛む
周りを見てみると知らない部屋だった
「あ、起きた!おきたよ、母さん!!」
そっちから声が聞こえた
そちらを見てみると、黒い肌の少年がいる
10歳ぐらいの少年がいた
「・・・(魔族の少年?)」
そんな疑問が頭に浮かぶ
「ねぇ、だいじょうぶ?」
少年が近づいてきて私に問いかけてくる
正直どんな反応をしていいのかわからず黙ってしまう
「トオル、迷惑してるでしょ。やめなさい」
そちらを見てみるとドアを開けてある女性が入ってきた
その女性は人間だ
「でも、母さん!!心配じゃんっ!!」
トオルと呼ばれた少年が大声で言っている
「・・・(母さん…ということは魔族のハーフかな?)」
少年は魔族と人間のハーフだと思った
「大丈夫ですか?立てます?私はチルと言います、こっちのはトオル
あなたの名前は?」
軽く質問攻めだ
「・・・大丈夫です。私はミルリアと言います」
少しふらつくけど、どうにか立つ事はできる
すると、少年がニコニコしながら私の手を引っ張っていく
正直な所、立つ事も辛いのにおもいっきり引っ張られるのは辛い
そしてドアから出るともう一つ部屋があり、そこに男性がいた
「おお、起きたんですか。大丈夫ですか?」
その男性が口を開く
その男性は魔族のようだ
「大丈夫です・・・」
自分の右腕を見てみると、やはりそこには水晶は無く
ただ、なぜか黒い肌に目立つほどの黒で
変なマークが書かれている。それを手でこすってみても消える事はない
「それは何なんですか?トオルがあなたが倒れている所を見つけたのですが
助けたときからそのマークがありますよ?」
男性が質問してきた
「・・・私にもわかりません」
確かお姉様に闇で水晶を取り出されていたはず
そのときになにかの副作用でなったのだろうか・・・?
今度どうにかしてお姉様に会って聞いてみるしかない
そして、今気づいたのだが魔力がほとんど無い
どうやら水晶の暴走のときに根こそぎ奪われていたようだ
「私はどのぐらい寝てましたか・・・?」
「私達が見つけて4日ですよ」
4日・・・4日も経っているのにほとんどの魔力が無いとはどういうことだ・・・
そこまで水晶のせいで衰弱していたのか・・・?
よくわからないけど、これは絶対に回復するだろう
「助けてくださり、ありがとうございます」
いまさらだが礼を言っておく事に
それに笑って答えてくれる
女性と男性
そして、なぜか私の手を持っている少年のトオルは私をニコニコと見続けている
なぜだろうか・・・?
その時、私のお腹が「くぅ~…」という間の抜けた可愛い音を出した
「・・・ッ!!」
とても恥ずかしかった
それを見た女性・・・チルさんがニコッと笑いながら
「もうお昼の時間なので食事にしましょうか
ほら、トオルとダイも手伝って」
と言った。あの男性はダイというらしい
トオルとダイさんは軽く返事をして食事の準備をしている
「ミルリアちゃんは好き嫌いとかあるぅ~?」
チルさんの声が響いてきた
どうやら私も食べるらしい。正直ありがたい
「とくにないです・・・悪いので私も手伝います」
「ありがとう、ミルリアちゃん」
そういって手伝いをする事に
はっきり言って、『魔界六柱』として生活していた私にとって
これはほとんど無経験の事ばかり
皿を落としそうになり、一応これでも戦闘のプロ、結構自身のある反射神経で
足などを使いバランスよく皿が割れないように受け取る
それに対して、トオルは楽しそうに手をパチパチと鳴らし
チルさんとダイさんは感嘆の声を出す
「・・・(こういうのも悪くない・・・というか良すぎる)」
ちなみに私の感想はこれだ
そして、すぐに食事が始まる
正直な所、こういうふうに他の人と食事をするという事も初めてだ
仕事の同僚とはあまり仲がいいとはいえなかったし、お父様は私を見てくれない
こんな事をするのは初めてで、とても嬉しい
「この村はいいところがいっぱいあるんだぞ!」
ダイさんが自慢げに話している
村ということは、他にもいっぱい人がいる、ということだ
「私、魔族ですけど迷惑にならないですかね・・・?」
私の疑問
これは人間のほうでは絶対に問題になる事だ
当然、ダイさんも魔族だがそれは認められていることだろう
いきなりのよそ者を認めてくれる所なんてあるわけがないので、一応聞いてみた
「ああ、そのことなら大丈夫だ
この村はな、魔族と人間で作られた村だからな。心配する事なんて無いぞ
ときどき旅人がビックリするときもあるが最後には笑顔で村を出て行く位のいい所だ」
ダイさんが答えてくれる
どおりで自然に生活できているわけだ
「ミルリアお姉ちゃん、昼ごはん終ったら一緒に遊びに行こう?」
トオルが質問してくる
「違う、私はいもうto・・・いや、なんでもない、一緒に遊びにいく」
妹って言いそうになったが、ここでは関係なかったんだ・・・ッ!!
トオルは私が言いそうになった事に疑問の顔を浮かべたが
遊びに行く、と聞くと嬉しそうな顔をしてくれる
なんだろうか、こういう無垢な笑顔を見てると癒される
今まで無駄に「軍」の上層部にいたから、余計にこういうのに弱いのだろうか・・・?
・・・「軍」といえば、ロシアンはどこにいるのだろうか
気になる
「私を助けたとき、ほかに少年はいませんでしたか・・・?」
「いや、見なかったな・・・トオルは見たか?」
「ん~、見なかったよ」
すかさず返してくれる
むぅ~、私は見捨てられたのだろうか・・・?すこし悲しい
「どうしたの、ミルリアちゃん?」
「いえ、なんでもないです」
チルさんが聞いてきたので、言う必要もなさそうなのでとりあえずこう答えておく
まぁ、彼には彼の道があるだろう
もう私は「軍」には関係ないのだから、気にしてもしょうがない
・・・気にしてもしょうがないのだ
「・・・ム~」
「どうしたんだい、なんか不機嫌になってるけど・・・」
「私の料理は口に合わなかった・・・?」
「え?いや、違います。料理はとても美味しいですよ
ちょっと考え事してて・・・」
つい不機嫌になってしまったが
訳のわからない人から見れば軽く変態だ。気をつけよう
「ん~・・・好きな人とかぁ?」
チルさんがニヤリとしながら茶化してくる
「違います、そんなんじゃありません」
軽く一蹴する私
すると「むぅ、からかいがいがないなぁ~・・・」てな感じにむくれているチルさん
大人に見えないですよ~、子供みたいですよチルさん
そして食事が終る
食事をしたおかげか、短時間ながらも少しずつ魔力が戻り始めている
空腹のせいだったのかな・・・?
「じゃあ、行こう、ミルリアお姉ちゃん」
「ちが・・・なんでもない。うん、行こう」
また妹、と言いそうになった・・・
「気をつけてきてね~」
というチルさんの言葉を聞き
家を出て行く
そして、トオルに引っ張られていく
足もだいぶフラフラしなくなり、ついていける
「みんなぁ~!!」
トオルはどうやら友達の所に向かっていたようだ
「・・・(友達かぁ~・・・)」
正直羨ましい・・・いやいやいや子供に向かってこれはないと思う
6人ぐらいの子供がいた
「その人だれぇ?」
「あ~、綺麗なお姉さん」
「いや、可愛いでしょ」
「ねぇ、あそぼっ!!」
「お姉さん、どこから来たの~?」
「萌え~・・・ハァハァ」
なにやら危ない発言をしている子が一人と
なんか大人びている発言をしているのが二人いた
軽くドン引きです
「僕が助けたのぉ~」
エッヘンてな感じで胸を張っているトオル
それに対して子供は信じられない、という反応から
すごいね、と褒めている子供もいる
「私はミルリア、宜しくね」
私がにこりと笑いながらみんなに言ってみる事に
すると、六人がいっせいに答えてくれる
「「「「「「よろしく~」」」」」」
なんというハモリ
完璧だ、個々まで統率がとれてるなんて・・・
・・・てな感じの感想はともかく
その後は私とトオルを入れた、八人で遊ぶ事に
とても楽しかった
初代勇者が伝えたという
「かんけり」や「けいどろ」という遊びをしたりした
ちなみに私はつい本気を出してしまい、
「けいどろ」では、私を捕まえる事ができずに男の子達が音を上げていた。
そして裏山に行くという事で、行く事になった
私達は山道でとなりが斜面になっている道を通っている
ちなみに斜面側に行けば、私達が下なので落ちる、とかではなく登る、になるだろう
「それにしても、あのお姉ちゃんすごいね」
「あれは反則だっ!!」
「あはは~、捕まえる事ができずに転んじゃったからって文句は言わないの~」
「なにぃっ!!」
てな感じで子供達が話をしている
私はそれを見ているだけだ
「お姉ちゃん、危ないッ!!」
そんな声が聞こえ、子供達から目をそらし山の斜面のほうを見てみると
斜面の上から大きな岩が転がってくる
「・・・この程度なら今の私の魔力でも」
私に右手に魔力を集めるとバチバチと電撃の音が鳴る
これで気づいたのだが、微弱な魔力なのだが右手のマークあたりを通ると
何故か何倍にも膨れ上がっている
どうやら、闇の分解での副作用はマイナスではなくプラスになるらしい
膨れ上がってるといっても微弱なもので強い魔族や人間を相手にはできないだろうが・・・
「ミルリア様ッ!!」
そんな声が聞こえて私と岩の間に、一つの影が割り込む
その影は少年、私の優秀な部下のロシアン
そのロシアンが片手に持った剣で岩を切り裂いた
「わぁ!」
「すごいッ!!」
「お姉さんだいじょうぶ?」
などなどと子供達の声が聞こえる
私の目の前にはロシアンがいる、どうやら見捨てたわけではなかったらしい
少し嬉しい・・・
しかし、ロシアンは傷だらけだ・・・なぜ?
「君たちッ!!今すぐ村に逃げなさいッ!!」
ロシアンが子供達に大声で叫ぶ
その声に意味がわからないようで反応ができていない子供達
次の瞬間にはナイフが数本飛んできて
それをロシアンが剣で全てはじく
そちらを見てみると三人の魔族がいた
それを見た子供達はそれぞれ悲鳴を上げて逃げていってしまう
「・・・私を始末しに来たの?」
「そうです・・・魔王の手のものです」
ロシアンが答えてくれる
その間にも三人の魔族はジリジリと武器を構え近づいてくる
今の私にはあれを退ける力は残ってないと思う
あまりにも魔力がなさ過ぎる
そしてロシアンは私を守りながら・・・しかも、戦闘をさっきまでしていたようで
体には傷が多数ある
これでは負けるのは確定だろう
「ロシアン・・・ここは逃げましょう」
「それが一番ですね。私はミルリア様が生きていればいいだけですので
それに反論はありません」
そこで二人で逃げる準備をしようとするが
「ミルリアお姉ちゃんッ!!」
少しはなれたほうからトオルの声が聞こえた
「・・・なッ!?」
ついそちらを見てしまう私とロシアン
その隙を見逃さず襲い掛かってくる刺客
ッ!!・・・やらかした・・・ッ!!
と、次の瞬間三人の魔族の刺客たちを
光がなぎ払った
「・・・徹夜の言うとおり、刺客がいたね・・・」
光の発信源であろう方向に
ある少女がいた、それは勇者と呼ばれる少女
「私、勇者をやってるミツキです♪ミルリアちゃんに話があるんだ」
その勇者は私にそんなことを言ってきた
─ ─
「私は魔王を倒した後に、人間と魔族が争わないようにしたいんだ」
いきなりそんな発言から始まった会話
家の周りでは勇者を一目見れるように、と集まっている人もいる
この部屋には私と勇者だけ、
この部屋を出ればロシアンとトオルとその家族もいるだろう
「そう、なんですか・・・」
私の発言
正直、できるか、できないかで言うとできない確率のほうが高い。
魔族は魔王という絶大な力に依存していると言っていい
その魔王が戦争をし、全世界を支配しようとしていれば
それが正しいと思い込んでしまう魔族がほとんどだ
「私はね、そのときに魔王がいなくなった魔族をまとめる人を捜してるんだ」
「それが私ということですか?」
「うん、そんなところ」
ニコリと笑いながら答える
「ですが、私よりも適任がいるのでは?」
「もともと上層部で偉い人だったらみんな知ってるだろうから
偉い人にやってもらったほうが効率的なんだよねぇ~」
手をくるくると回しながら答えてくる
「・・・No,1かNo,2がいるじゃないですか」
「その二人はこの考えに賛成すると思う・・・?」
「正直な所、反対すると思います
No,1は魔王主義の女です。それと同様No,2も女と同じくらいの
魔王主義の男ですから・・・・」
「じゃあ、あなたで決定ね・・・♪」
またもやニッコリと笑う勇者
「でも、人を殺してきた私にそれは不適任かと・・・」
「でも、徹夜から聞いたんだけど、ゴブリンに襲われていた村を救った、って聞いたよ?
ゴブリンについていた焼き傷はあなたの電撃をまとった剣によるものでしょう?」
「・・・それはなんとなく気が向いたからです」
「それだけのでいいんだよ、一回だけでかまわないの
それをやった、というだけで他の魔族とは違うんだから
・・・だから、あなたにしたの♪」
「・・・私にできるかどうかわかりませんよ?」
正直な所、そんな私にできるとは思えない
あまり自信もない
「やらなきゃわからないよ、そんなことは。・・・だからやって」
最後まで押し通されそうだ・・・
これじゃあ、何言っても意味無いと思う・・・
「わかりました・・・」
ここは受けるしかないだろう・・・
「じゃあ、戦争の結果が良い方向になったら
そっちも動いてね、準備だけでもしといて」
そう言って勇者は席を立ち、ドアに向かって歩き出す
「ああ、そうだ。一つ質問があるんだった」
そう言って振り向いてくる勇者
「・・・なんですか?」
首を傾げる私
「徹夜があなたに抱きついたって ホ ン ト・・・?」
…その勇者の眼は怖かった
あと、みなさんありがとうございます
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本当にありがとうございます
完結が見えてきている今更ですが、一応続きますので宜しくお願いします
誤字・脱字があればマジで御報告宜しくお願いします