59話 そして・・・
前回のあらすじ
二代目勇者のリシの記憶
とても恋愛ドラマだった
無
無の空間
まるでテレビの電源を切ったときのように
映像が途切れた後の真っ黒の空間
・・・そこにはなにもない
「どうやって戻るんだ?」
そんな俺の疑問の声
そんな言葉には誰にも返答を求めた質問ではない
「まだ帰れないさ、古い本の魔法はもう終っている。この私が引き継いだのだから」
そんな返答
俺の後ろ側からした
「誰・・・?」
そんな声とともに俺は後ろを振り返る
30代の男性
その顔の人とは話したことも、現実であった事もない。
ただ、その顔を見たときがあった
さっきの日記の記憶に出ていた男
魔王だ
「お前が魔王ですか・・・」
「私が魔王だ」
これが美月の敵ですか・・・
「さっきの記憶の最後を見る限り
あんなものを食らって生きているって・・・化け物か」
あの魔法はかるく上級を超えていたと思う
まぁ、上級魔法は命なんて削らないから
命を削った魔法なのだから強力に決まってるのだが
上級魔法がS級と考えるのならさっきのはSS級といったところだろう
「ああ、あれは本当にまずかった。今までの三人の勇者の中で
私に一番ダメージをくらわせたのはリシだけだよ
正直、あぶなかった」
「・・・」
なんなんだこれは、一応俺は敵(?)だと思うんだが・・・
「あぁ、お前には本名の自己紹介をしていなかったな
クルズ・ミリアルズ・サイト・マラサイト。魔王をやっている」
「本名あったのか・・・」
「私は千年以上も魔王をやっているが、最初はただの魔族として生まれたのだ
名前ぐらいあって当然だ」
「俺とただ話しているだけでいいのか・・・?」
「ここでは戦闘禁止だ。私が引き継いだとて、あくまでここは
リシの日記の世界。いくら私でも介入する事が精一杯
攻撃する力までは持ち合わせてはいない」
「ふぅん・・・」
なんて反応すればいいんだ・・・?
「勇者は偉大だ」
魔王がそんな事いっていいんですか・・・?
「私を今まで何回も追い詰めてくれる。そのせいで何回
長い間力を貯めるために動かずにいたことか」
めっちゃ勇者を褒めちぎってますね
魔王さんは
「だからこそ、勇者を殺すのは面白い」
魔王はニヤリと笑いながらそんなことを言った
・・・自信満々ですな
「それにしても、会えて嬉しいぞ」
「俺はうれしくない」
「そう言うな。お前は私の娘なのだから」
「・・・は?」
「もう一回言おうか?お前は私の娘だ。」
嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!
ていう、スターウォーズのお決まりの展開の前に・・・
ツッコミ所が一つ
「俺は男だぞ、娘はおかしいと思うが・・・」
俺は男です
それは俺への挑発ですか? あ゛ぁんッ?
「いや、娘であっている」
魔王のそんな言葉
よし、絶対殺そう
「お前は我が娘リヤナの生まれ変わりなのだから」
「・・・は?」
俺はその言葉の意味がわからなかった
「お前の使う闇、魔力、そして魂。どれもがリヤナと似ている
というか、リヤナそのままだ。
お前は記憶も無いだろうが、お前はリヤナだ。間違いない」
「・・・は?」
ちなみに俺はいまだ追いついていけず・・・
「人間が闇を使えること自体がおかしいとは思わないのか?
いくらお前が異常な存在だとしてもありえないだろう」
「・・・は?」
しつこいようですが追いついていけません
「ハァ・・・消化不良を起こしているお前の事はほっておくとしよう
私にはお見通しだぞ、リヤナ。わずかにだがその男の魂のほかに
毛色の違う魂が残っている事はわかっている」
そんな魔王の言葉
すると俺の足もとから闇が勝手に出てきて
一箇所に集まる
「ふん・・・一生会いたくない顔に会ったわ」
その闇が次の瞬間には魔族の女性・・・リヤナの姿へと変わっている
「・・・は?」
この現象にも着いていけません
「いい加減まともに戻りなさい、徹夜。私の本体のくせに
固まっていないで欲しいわ」
「・・・え?あ、はい。わかりました」
「・・・まだ心配だけど、とりあえず良いとして
何の用かな?お父様。わざわざ娘の顔を見に来たって訳じゃないでしょう」
「そんなつまらん理由では来ない」
「・・・つまらない理由ですか」
リヤナの呟きは誰にも聞こえなかった
「お前が魔界の軍に戻ってこないか、という事を言いにきた」
「また軍ですか。私が生きていた頃も軍、支配、殺し
全てそれだけでしたね、普段私を見ようとしなかったのに
私に才能があることがわかれば、軍で利用していく
あなたはとことん駄目な親ですね。家族という意味を知らないのかしら」
「家族なんてどうでも良い
私は今も昔も変わらない・・・」
ちょっと待ってくれません?
俺を置いていかないでくれませんか?
「それに今は離れていますが、私はリシの元からは絶対に離れません」
「え?リシ・・・?」
俺がやっと声に出せた、質問の言葉
「ええ、リシも生まれ変わってます。美月ちゃんにね」
「えぇ・・・!?」
「魔族と人間のカップルは相当神様のお気にめされたようでしてね
リシの最後の「生まれ変わっても」という言葉を現実にした、というところです
と言っても、リシは私とは違い少しも残りませんでしたので
「リシ」ではなく「美月」という魂ですけどね」
「そ、そうなんですか・・・・」
「あぁ!!あの可愛くてやさしいリシはいなくなったけど
美月も男の「徹夜」としてはとても最高です!!ああああ!!また会いたい!!
早く会いに行きなさいよ!!」
「何勝手にトリップしてるんですか・・・」
「・・・お気になさらず。
とりあえず、お父様にはお引取りをしていただきます」
「答えはNOか」
「答える必要もありません。ここはリシの記憶
あなたみたいなものが入ってくること自体が間違いです
さようなら」
リヤナが手を振ると同時に
魔王の体が薄れていく
「ふん・・・昔の勇者のリシが現勇者になり、リヤナがその幼馴染か・・・
とても面白い組み合わせだ、とても良い絆でつながってる事だろう
・・・楽しみだよ
その絆を壊す事がな・・・」
そんな言葉を残して消えていった
・・・どうやってそこまで情報を引き出したのですか?
幼馴染とか俺言ってませんよ?
「とりあえず徹夜。頑張ってね
死なないようにしてね、リシ・・・美月ちゃんと一緒にいなさい、いつまでも
私もあなたも鈍すぎますから」
リヤナがニコリと笑っている
「私はまた奥に閉じこもります。私の力ではこれが精一杯ですから
あ、あと私が出てきたせいで私の記憶があなたに流れ込みますので
本当に申し訳ありませんね
徹夜は徹夜です。私の記憶が流れ込んでもそれは変わりませんから」
その言葉と同時にリヤナの姿は消えていく
「記憶が流れ込んでくる・・・?」
俺が疑問を言葉にした瞬間に頭がズキリと痛んだ
あの大会で闇に飲み込まれたときと同じように
ただ、あのときの一瞬の記憶ではなく
十数年という記憶が一気に
「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!
めちゃくちゃ頭が痛いぃぃッ!!!」
流れ込んでくる
ある一面が浮かぶ
『お父様、一緒に食事をしませんか?』
『私は忙しいんだ、無理に決まってる』
『・・・そうですか』
そして消える
また浮かび
『お父様!私は軍事の成績でSをとりましたッ!!』
『じゃあ、すぐに訓練をして殺すことを覚えなくてはな』
『え・・・?』
そしてまた消える
そんな物が十年以上のものが
頭に浮かんでくる
これがずっと続く
全てがつらく、魔王の冷たい態度
人を殺し、どこかの国の騎士を相手に戦い、また殺す
そんな物が続いていく
それはとても暗く、つらく、寂しい記憶
そんな物が続いていく
そして最後に
『お、おれはリシ ヤマモトっていうんだ。君の名前は?』
『・・・リヤナ』
『よろしく』
そんな記憶が見えて
最後にはとても楽しそうで、幸せそうな感情が記憶されていた
─ ─
「うだ~、頭がズキズキする・・・」
やっとの事で生還
リシの恋愛ドラマを見ているよりも
辛いような痛みが頭に残っている
「う~ん、なんかダルいぞ・・・熱か?」
最初にある方々に一言
申し訳ございません!
前の話を投稿した後に俺が恐れていたことがおきました。
「義妹が勇者になりました。」に似すぎています。という感想です。
その方にも送ったのですが自分は考える力がありません。このもともとの設定は「義妹が~」など「黒い剣~」など他にもたくさんの小説を読ませていただき書かせていただいた小説でございます。
(例に出した二つはどちらもトップ20に入ってますね)
当然、できるだけ違うように書いているのですが無意識の内に似させてしまう場合が多いと言っていいでしょう。
自分でも、あまり良い事とは思えません。
直したいとは思ってもここまで書いた話数などを考えると自分には無理ですし、変えて言ってしまったらただでさえガタガタな設定の小説なのに、もっとガタガタになってしまう可能性があります。
本当に申し訳ないです
この小説は似てしまってる作品が多いと思います
そこは劣化品と思って見逃していただけないでしょうか・・・?
と、まぁこんな感じの言い訳です
あとがきで書いてもあまり意味無いんですけどね
本当に申し訳ない、とは思っていますが
この場合、自分は何をしたらいいのかわかりません(汗
誤字・脱字があればマジで御報告宜しくお願いします