54話 ルズミナ国立魔法学園
前回のあらすじ
三人と一匹の冒険者は現勇者と出会う
勇者は相当な実力で
10人もの刺客達をいとも簡単に
ねじ伏せる
すべてお見通しのようで
最後に主人のことを頼まれた
むあ~ッ!!
眠い目をこすりながら俺は頑張って起きている
依頼で王都を離れて二日ほどたった
今は馬車に揺られながら
道を進んでいる
カタコトと揺れながら進む馬車は
とても静かで
とても何も無い感じだ
・・・
・・・・・・
正直に言おう
退屈だ
「スゥ・・・スゥ・・・」
こんな感じで
みんなが寝息を立てて眠っている
俺は眠らずに
ず~っと一人じゃんけんをしている
・・・いたい人じゃないですよ。俺は
そ、そんな目で見ないでッ!!
お願いだからァァーーーーーー!!
・・・すみません
少しハイな気分になりました
今もそうですが・・・
誰も俺の心の声なんて見てるわけ無いですもんね
ふぅ・・・とりあえず落ち着こう
「む?徹夜くん起きてたのか」
そんな声が聞こえたのは
ラルドさんが起きた様子だ
「えぇ、いつも通りの時間です」
正直めんどくさいからいつも二度寝をしていたが
これでも元は学生。
早起きするのは習慣である
時々朝早くに家を出て学校まで本屋で時間を潰すと言う事は
何回もあったことだ
それもこれも、美月(のファンクラブ一同)のせいだ
「それでその学校とやらはどんなものなんですか?」
説明をまだ聞いていないので
とりあえず聞いてみることにした
「確か・・・」
ラルドさんがしゃべりだす
「剣士科、魔法科、という二つあり、学生がそれを選ぶんだったね
剣士科と言っても武器などでいくつかの種類に分かれ
魔法科にも治療、攻撃などの二種類にも分かれている
・・・だったけかな」
まだまだ説明は続くようだ
「あとは~、えっと~基本的な訓練を学生は受けてるんだっけかな~
生徒会長が全生徒の中で最強のはず・・・。まぁ実力で言うと
Bランクの上の中あたりかな・・・?
まぁ、それだけの実力でも十分と言えるが、学生でこの実力だ
この先が頼もしいな
あとは、とくにわからないな
学園についてから説明を聞いてくれ」
「ふむふむ、そうですか
む、そういえば、依頼の内容は?」
「それは学園長から説明を聞く」
「ふむ、そうですか・・・
わざわざギルドに依頼するほどなんですから
何か危ない話だと思うんですが・・・」
「それは私も同感だな
というか徹夜くんとチームを組んでから
まともに魔物を討伐した記憶が無いなぁ・・・」
「それは気のせいとは言いません
というか、俺がいない間は魔物討伐はしなかったんですか?」
「いろいろと忙しくてね」
「ふむ、じゃあ俺のせいじゃないでしょ」
「あくまで覚えが無いだけだよ」
じゃあ、俺のせいにしないで欲しい
「悪いね」
・・・俺の心を読まないで欲しい
「いやはや、本当に申し訳ない」
・・・またか
もういいや
これじゃあ、∞ループじゃないか・・・
「とりあえず、私たちは全然仕事をしてないわけだ」
「お金なら小銭があります」
俺はポケットから銅貨を数枚取り出した
当然金貨は出しませんよ
「それはどうしたんだ?」
「ああ、これはですね、俺の役に立ってくれる
親切な黒い精霊さんの稼いだお金です」
「・・・?」
「私の初の依頼の報酬を奪わないで欲しいぞ!!ご主人!!」
「・・・ッ!?」
いきなり現れたクロに驚くラルドさん
クロは俺から金を取り返そうとするが
相手の見た目は年の離れた女の子
手の長さは、リーチの長さ
俺はクロの頭を抑えてこっちにこないようにしていて
クロは取り返そうと手をブンブンと振るが
長さで有利な俺にはその手は届くわけも無く
空を切るばかりである
ちなみにクロは俺が魔力を分けておけば実体化もできるわけで
おれの闇の力も少しばかり使えるようで
闇に報酬をウキウキした顔でしまったのが運の尽き
俺の手の中だ
「盗ら~な~いでぇ~~ッ!!」
口調も子供っぽくなっていくクロ
そして微妙に涙目だ
・・・からかいすぎたか
「冗談だよ、冗談」
そういいながら、お金を渡すと
クロはほっとしたような顔になる
「子供じゃないんだからからかわないで欲しいぞ。ご主人」
「涙目になっていた奴がよく言えるな」
「なッ!?そ、それはその・・・あれだッ!!」
「思いつかないなら言おうとするな」
「・・・この子は誰だい?」
そこで今まで置いてきぼりを食らっていたラルドさんが口を開く
「俺の精霊です、この指輪の」
俺が指にはめている指輪をちょいちょいと指しながら
答える
「ふむ、そうか」
ラルドさんは納得したようである
『学園が見えてきましたよ』
馬車の業者さんの声が聞こえた
言葉通り真正面を見てみれば大きな学園が見えてくる
「着きそうですよ、ラルドさん」
「ああ、学園だな」
そこでなぜかラルドさんが言葉を止める
そしてまた口を開く
「エミリィともこれで一時のお別れになるわけだ」
いきなりのその発言
「・・・え?」
俺はその言葉にまぬけな声をあげていた
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