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俺は闇、幼馴染みは光の勇者様  作者: 焼き芋(ちーず味)
第一章 魔王編 物語の始まり
53/270

53話 三人と一匹の冒険者(3)

前回のあらすじ

三人と一匹は依頼をこなし

さいごにお菓子でも買いに行こう

ということで歩き出す

そして曲がり角である女性とぶつかった


「私は美月みつき。ミツキ ナイトウだよ♪」

その女性は現勇者だった

「「「「おいしぃ~♪」」」」

そんな声をあげながら

ほっぺに手をやって顔を左右に振ってる人たちが

四人いる


「ガウ・・・{・・・ケッ}」

そしてそれをただ見ているだけしかできないふてくされた狼が

一匹、四人の近くに寝そべっている

その姿は完全に犬だ


「それにしてもミツキさんは精霊と契約してるんだね」

クロがそんなことを言う

その言葉に美月はすこし驚いた様子をするが

すぐにいつもの笑顔に戻る


「わかるんだね、クロちゃんは。なかなかわかる人なんていないのになぁ~」


「まぁ、似たような存在ならわかるよ」


「かん」「たん」「「だよ♪」」


「似たような存在ってことは、やっぱり君達も精霊かぁ~

どおりで違和感があったわけだ」

美月はニコニコしながら話している


「どんな人が主人なの?」


「「「私達を忘れる人」」」


「・・・それはひどいな。こんな可愛い子達を忘れるなんて

私だったらありえないなぁ~・・・♪」

そんなことを言いながらニコニコとクロを抱きしめている


「むぐぅ・・・ッ!?窒息死するッ!!」


「あ、ごめんごめん」

クロの言葉を聞くとすぐに離れる美月


「ミツキさんは王都で何してたんです?」


「人探しかな」


「人探し?」


「そうッ!ある男の人でねッ!!

結構前にほとんど話さなかったんだけど何回か会ってね!

しかも、なぜか逃げて行っちゃうんだよね・・・まったく・・・もう・・・

でもやっぱり会いたくていろいろと情報網をはっといたら

このサラスム王都に戻ってきてるって聞いたのッ!!

だから仕事も一段落したし、捜しに来て見たのッ!!!」

そのときの美月の顔は

とてもキラキラと輝いていて、楽しそうな感じだった


「「「・・・(主人の事だ)」」」

ちなみにこの精霊達は徹夜がいつも持っていた

ということは外の様子も常に把握しているわけであり

当然美月のことも知っていた

正直な所最初は忘れてたのだが途中で思い出した


「ん?どうしたのクロちゃん達、まるで心当たりがある、みたいな顔だよ?」


「「「そんなわけ無いよ」」」


「そうだよね♪」

正直な所罪悪感が三人にはあったらしい

主人がなぜ避けてるのかわからないが

とりあえず主人の意思を尊重してみることに決めたのだ


「とりあえず、その人を探し出すのっ!!」


「ミツキさんはその人が好きなの?」


「ふぇっ!?い、いやぁ、そうとも言うし言えなくもないし

なんと言っても、あの人は私の幼馴染だし・・・」

美月はとても慌てた様子である


「・・・「言うし言えなくもないし」って肯定してるよ?ミツキさん」


「確かに」「めちゃくちゃ」「「肯定してる」」


「年上をからかわないでぇ~ッ!!」


「どちらかと言えば存在している時間は私達のほうが上だけど・・・」

精霊には寿命は無いといっていい

当然のこと美月の何倍もの時を生きているのだ


「え?でも、精神は子供だよね」


「よし、それは私への挑戦と受け取った」


「それは」「とっても」「「失礼だ!」」

三人とも美月に向けて指を指して講義して来る


「でも、若い方が何事にもいい気がする」

美月のそんな一言


「「「それは否定しない!」」」

まだ指差しながらも同意してしまう三人


「じゃあ、そろそろ違う店に行こうか」


「「「オケー♪」」」

美月は子供の扱いはうまいのだった




               ─    ─

というわけで、違う店に行くために歩いてる美月とクロ達一行だったのだが

なぜかゴツイ男達10人に囲まれている

そいつらは顔を隠していて、変な模様の仮面をつけている


「・・・お前だな」

ある男がそんなことを言った

その言葉には殺意が込められている

そしてその言葉と同時に男達は懐から武器を取り出す

剣、モーニングスター、斧、槍などとさまざまなものが揃ってる


「これはなにかな・・・?ミツキさん?」


「いや~、この頃闇ギルドに狙われててね~・・・。

いろいろと魔族側がこっちの闇ギルドと接触してるらしくて

命を狙ってくる闇ギルドも多いんだ、・・・今回で12回目かな?

それにしても、仮面の模様を見る限りあまり大きな闇ギルドじゃないなぁ」

のんきにそんなことを言っている美月の手には

折れてしまうかと思うような細い刃の剣が握られている

その剣の刃は鋭く光り、その様子には敵を恐怖させるものがあった

世界の五本指にも入る名剣『古きオールドソード』である


「少し下がってて、私のケンカだから」

この状況をケンカごときで表せるのは美月や徹夜などの少数の人間ぐらいだろう


「大丈夫なの?」

心配するクロ


「ええ、こんなの・・・──」

その言葉が終る前に三人の男達が飛びかかるようにして襲う

そして武器が美月の体をズタズタにしようと迫る


「──・・・余裕余裕♪」

この美月の声が聞こえると同時に飛びかかろうとしていた三人の男達が吹っ飛んでいく

美月はさっきと同じ所で剣を振り終えた後の姿だ

それは一振りだ。一振りでゴツイ男達を吹き飛ばしたのだ

その姿には傷一つ無く、こんな状況でも完璧なほどに綺麗だ


「さて、誰にケンカ売ったかわかってるかな?君達

徹夜ほどじゃないけど無事で帰れると思わないでね・・・♪」

この状況でもとても綺麗な笑顔

だが、この状況では逆に恐怖を覚える

そんな表情だ

そしてゆっくりと、しかし確実に男達に迫ってくる

  



             ─  ─


「ふぅ・・・終った終った」

美月は手をパンパンと叩いて埃を落とすようにしている

そしてそのまわりでは男達が倒れている


「何回やっても殺さずに倒すってのは難しいね、やっぱり♪」

美月のその言葉通り

周りに倒れている男達は気絶しているだけだ

少し斬られて傷がある者もいるが、致命傷ではなく

長い時間がたっても死ぬ様子は無い

そして美月の体にはどこにも血はついていない

一滴もついていない・・・返り血でさえもついていない


「まぁ、この人たちにやられてたら勇者なんて務まらないし

何個も闇ギルド潰しながらこの王都についたんだし、

これぐらいじゃあ、私を潰す事なんてできないよ」

そんなことを言う美月


「苦労の多い人生ですね。ミツキさん」


「あっはっは。大人っぽいこというねクロちゃん、子供なのに」


「・・・」

子供、というのはよけいである


「まぁ、善人は悪人を憎むし、悪人は善人を憎む。

いい事ばっかりしてたとしても憎まれるのは変わらないよ」

美月は剣を鞘に収めながらそんなこと言った


「徹夜も誰かにはもう憎まれてるね♪」

その声とともに剣を鞘に収め終わり、チンッ…という金属音が響く


「その憎しみを潰してまわらないとなぁ~・・・」

そんなことを言う美月。とても物騒である


「どうやら、私のかわりにドラゲイルで頑張ってくれたようだしね」

美月の情報網、恐るべし


「じゃあ、そろそろ私は行くね、私の仲間も捜してると思うし。

クロちゃんに、フレくんに、イムちゃんに、クオちゃん♪」

美月はそれぞれ頭を撫でるようにして三人と一匹に近づいて

そして、後ろを向き、違う方向へ歩いていく

数歩進んだ所でなぜかこちらに向き直り

その後、一言こちらに向けて言った




「徹夜を宜しくね♪」

全て見抜かれていたようだ



そして、三人と一匹の自由な冒険者生活は幕を閉じた





             ─  ─


「へっくちっ!!」

ある男がくしゃみをした


「どうしたんだい?徹夜くん風邪かい?」

背中に黄金の剣を背負っている女性が口を開いた


「いや、誰かにでも噂をされたかな?」


「徹夜くんならあるかもね。主に呪詛の言葉で」


「怖いことを言うのはやめてください。ラルドさん

俺も否定はできないので余計に嫌なんですけど

・・・・・・はぁ~、それで

ラルドさん次の依頼が決まったんでしたっけ?」


「ああ、次は・・・──」

ラルドさんが無駄に間を空ける

この人の言葉はいろいろと怖いからなんか嫌だ


「次は君は先生をやるぞ」


「・・・俺が先生?」

こんな俺が先生?

記憶力、人に教える能力、人に好かれる能力が

全てにおいて皆無な俺が・・・?


「ああ、依頼先は『ルズミナ国立魔法学園』だ」

なん・・・だと・・・ッ!?



誤字・脱字があればマジで御報告宜しくお願いします

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