28話 何で俺は護衛対象と戦ってんだ?
前回のあらすじ
ロイルという名の竜人と戦い、かるくぶっとばしてやったぜ
ああ、なんでこんなにもめんどくさいのだろうか
ちなみにロイルという名の竜人をぶっ飛ばした次の日である
昨日のイリル王女様の言葉を俺が断ろうとすると
「いや、俺は仕事する気は・・・」
「ん~、じゃあ一つか二つあなたの欲しいものをただであげちゃいます」
「謹んでお受けします。陛下」
即答だった
正直、もので釣られる俺って・・・小学生のころの心が抜けきってないな
「それにルミもあなたの事を気に入ってるようですし」
まぁ、助けてくれた人に対してキライといわれたら
俺はもうショックで立て直せないと思う
「別にこの仕事が終ってからというわけではないので途中で私に言ってください」
ふむふむ
じゃあ今はめんどくさいから
あとでお願いしてみようかな~
てな感じだったわけだ
むぁ~ッ!!護衛の任につけられたけど
正直言ってやることがないというのは変わらない
身の回りのことは召使さんがやっているらしいし
それに、ルミを注意してる人は昨日の護衛の二人だった
俺が、そういうのはできませんよ?といったら
「では、丁度いいから護衛の二人をつけましょう」
といってきた
えぇ~ッ!?おれ戦う意味ありました?
そのあとロイルさんが
「さっきはすまなかった、つい自分のプライドが出てしまい・・・」
と頭を下げてきた
ルミやイリルさん(明らかに年下の姿の人に”さん”ってつけるのってなんかやりづらい)
聞いたのだがロイルさんは根はいい人だ
そしたらつい俺も
「いえいえ、こっちが悪かったんですよ。」
何が悪かったのかわからなかったがつい謝ってしまう
そしたら
「いやいや」
「いえいえ」
「いやいや」
ペコペコとそれを十分ぐらい続けていた
途中でルミが俺にとび蹴りを繰り出していなければ一時間は続いていただろう
「ふふ~ん、私は竜の中でも上の上には入る位強いんだよォ~!」
いきなりルミがそんな事を(無い)胸を張って言い出した
俺がなんとなくロイルさんともう一人の女性
を見てみるとコクコクとうなずいている
「じゃあ、護衛っていらないんじゃ?」
俺は思ったことを言ってしまう口だ
「いえ、護衛はほとんど建前でルミ様の行動を制御するためのものなんです」
マイアさんがそんなことをいっていた
当然、護衛としての任もあるのですが、とロイルさんが言っていた
ああ~・・・
ルミは相当アホな行動を繰り返していたんだろうな
だから、こんな任務があるんだろう
「テツヤ。あなた相当強かったけど、私ともやってみる~?」
ええ~、めんどくさいなぁ~・・・
俺がそれを表情に表していると
「怖いのォ~?」
正直イラッと来る言い方だが
ロイルさんの竜バージョンと戦ったときの感想を今ここで思ってみよう
怖かったです
炎が迫ってきたり200年とか生えてる木よりも太い尻尾が迫ってきたりする
それが怖い以外の表現ができるはずが無い
ちなみにロイルさんは黒竜人
マイアさんは赤竜人だそうだ
むぅ、いろいろ色があって面白そうだ
そしてルミの挑発(レベルは低いが)それに対して
「おぉう!やってやんよ!!」
乗ってしまう俺
俺も十分レベルが低い
という事で昨日と同じ闘技場に行った
「まぁ、とりあえず私も本気で」
そういうと一瞬の内に白い竜へと姿が変わっていた
昨日の黒い竜はコツい感じでかっこいいと表せるが
白いのはスラリとしていてなんか美しいと言えるだろう
「ふっふっふぅ~・・・図体がでかいから強いと思うことは昨日見てわかっただろう
そして俺は図体がでかいからこそ効きやすい魔法があるのだ~」
俺は軽く余裕があるように見せ付ける
相手が反応する前に
「『重力操作』!!!」
魔法を発動させる
10倍でいいと思う、ルミといっても一応は竜だから
『にょぉッ!?いきなり体が重く!!!???』
それでも立っていられるルミ
さすが竜バージョン
『むおぉッ!?小さくなればッ!!』
そう言うと竜化をときまた少女の姿に戻っていた
そして一気にこっちに跳んでくる
面積が小さくなった分圧力が減ったみたいだ
どっちにしても十倍なはずなのにおかしいなぁ・・・
そんな事を思ってる間にもう俺はルミの戦闘範囲内にはいっていた
繰り出してくるのはただのパンチだ
手をクロスして受け止める
「竜人の握力で吹っ飛ばないのだからすごいよねテツヤって・・・」
確かに人間と比べれば強いだろうが
まだまだ俺の許容範囲です
すると、ルミが後ろに跳び空中で口のとこに手を持って行った
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅッッ!!」
なんか言葉で表せばそんな感じのなんでもない声だけど
俺にとったらとても大変な事に
口から炎がバァァァァァ…!!!と出てきた
人間の姿だからその分小さいが立派な息吹だ
「チィッ・・・!!」
つい舌打ちしてしまう俺だがとりあえずジャンプして避ける
「ちくしょう!なんてかっこいいんだッッ!!週間少年ジャ◎プでやってる
NAR◎TOの忍術を思い出しちまったッ!!」
ちなみに俺が気にしてるのここだ
「何言ってるのかわかんないけど、とりあえず行くよッ!!」
もう着地していたのかルミは空中の俺に向かって拳を構えながら突っ込んでくる
空中だから受け止めても踏ん張りどころの無い俺は攻撃に徹するしかない
次の瞬間にはゴキィィィィ・・・ッ!!!という音を立てながら
俺の拳とルミの拳がぶつかり合っている
おれとルミは一㍍程度後ろに吹っ飛ばされながらも普通に着地
「空中で力のいれどころが無いのに私の一撃と同じってテツヤは本当に人間・・・?」
失礼な奴ですなッ!!
「おれはバリバリ人間ですッッッ!!!!」
そういいながら、俺は地面に向けて拳を振り下ろす
すると爆発にも似た音をたて、そこは大きいクレーターとなった
「むぁわッ!!?」
そのクレーターで一瞬足元がなくなり驚くルミ
ふふっ、その隙が負けへとつながるんだ!!
俺が一瞬でルミの前へと移動
「え?あわわわわッ!?」
めちゃくちゃ慌ててるルミ
だが、もう遅い!!くらえぇぇぇぇ!!
次に響いた音はちょっと聞き覚えのあるものだった
ドッパァァァァァァァン・・・ッ!!
次の瞬間にはルミのおでこに俺のデコピンが炸裂していた
「いや~、正直(敵じゃない)女の子を殴るっていうのも・・・
だからなんとなくデコピンにしました
もう負けでいいでしょ、ルミ~?」
俺がそんな事を言ってみた
だけどルミは俺の言葉を聞いていなかった様だ
俺の目の前のルミは
「みゅアあああああッ!!おでこが、い、いたいィィィィィィィィィィ!!」
おでこをおさえていて
めちゃくちゃ痛がっていた
・・・力加減間違えたかな・・・・?
まぁ、いいか(笑)
─ 所変わって。徹夜達がドラゲイルに着く前に寄った町の自衛団の留置所 ─
そこには四人の男性達がいる
徹夜たちを襲って軽く返り討ちにあった男達だ。
牢屋の周りには誰もおらず只中にその四人がいるだけだった
五人から四人になっているが、もう一人はクオ(哲也たちと一緒にいる黒い狼だ)の
お腹の中にいるだろう。生きているかは言わないでおこう
「うぅ・・・」
「コロ・・・スゥ~・・・」
「あの野郎・・・」
うなだれる四人うち一人はただ無言なだけだ
こいつらは一人殺されたからといって恨むも何もない
裏に生きるものはそんな事は気にしない
ただある一人の男のせいで捕まり、それに対しての言葉だった
「仕事を達成する事ができず、しかも捕まるとは・・・」
彼らが入ってる牢屋の前には一人の少年がたっていた
18歳ぐらいの顔立ちの少年だ
それに対して四人達は目を見開き驚いている
うちの一人が口を開いた
「3人の幹部の内の一人が何故・・・」
少年はこの言葉通り
闇ギルド『黒の十字架』の三人の幹部の内の一人
その少年は完全に美形な顔立ちをしている
裏に生きる者としてはおかしいぐらいだ
「それは折角の重要な協定を結ぶための条件だった『仕事』を、お前達が失敗したからだ」
それは幹部の少年が言った言葉ではない
いきなり誰もいないところから霧が晴れるようにして姿が現れていた
黒いような赤いような髪に黒い目、そして黒い肌
・・・つまり、魔族だ
「ジールク・ライ・・・別にくる必要ないのだが・・・」
幹部の少年はそれを見て
苦い顔をしながらつぶやいていた
「我らの第一プランがこれでダメになったんだ。丁度いいから協定の条件に出したのが失敗だった・・・。これは俺が出てきたほうがいいだろう?クロウラス・ロイドロウ。
これで、人質作戦は没、第二プランに変更だ」
ジールクがお返しといわんばかりに相手の名前を言っている
「では、とりあえず仕事に移ろう・・・」
クロウラスはアイアンクローの要領で
一人の男の頭をガシッと鷲づかみにし
呪文のようなものを口ずさんでいる
表面的にはなにもされていないが男は苦しみ始めた
男は悲鳴をあげることすらできていない
そして10秒ほどそれが続き、手を離す
「・・・一体何が」
今まで鷲づかみにされていた男は何をされていたかわからない
「黒い服を着ている、黒髪をへそまで伸ばし後ろで縛り、黒い目の人間の男
が邪魔をしたようだ、どうやら偶然の結果のようだな。阻止するために送り込まれたわけではなさそうだ」
クロウラスは別に四人の男達から話を聞いたわけではない
さっきの鷲づかみは魔法を使い記憶を引き出していたらしい
「ふぅん・・・、黒髪、黒い目の人間の男ねぇ・・・」
ジールクがニヤニヤと笑っている
それをみてクロウラスは
「知っているのか?」
「いや、直で見たわけではない、ただ同僚の話を聞いた」
「同僚というと同じ『魔界六柱』の魔族か・・・?」
「あぁ、そうだ。まぁそれ以上は言わないがな」
「フン・・・。とりあえず最後の仕事を済ますぞ」
「ここは俺がやらせてもらおう」
勝手にしろ。というクロウラスの言葉を聞いて
「では、・・・」
ジールクは指をパチンとはじき
何事も無かったように二人の姿は消えていく
次の瞬間
牢屋の中がいきなり爆発した
なかの人間の生死は言わなくともわかるだろう
「『魔界六柱』がNo,5、『死炎』のジールク・ライが竜の国『ドラゲイル』をおとそうじゃないか」
クックック・・・という笑い声が響く
最後にはその笑い声も消えていった
日間ランキングでは11位、週間ランキングでは16位になっていました。
凄い上なのか?と思うかもしれませんが、ランキングなんて俺のが入るわけねぇーって思っていた俺にとって、とっても嬉しいことでした。
ありがとうございます。
この話は予約投稿によるものなのでこれが投稿されてる時にはランキングから消えてるかもしれませんが・・・
誤字・脱字があればご報告宜しくお願いします