番外編 二話分
アイディア募集でいただいた二つです。
「……今日、何かだっけ?」
「ラウやエミリィが居る魔法学園の学園長に依頼として呼ばれているんだ」
ライルの言葉にラルドが答える。
ライルとラルドの二人は馬車に乗り、周りに特に何もない一本道を通っている。その場所の中の二人の生活の仕方はそれぞれだ。
ラルドさんは色々と定番ではあるが剣を手入れしていたり……ライルは今はつけていないが仮面を布で拭いていたり、だ。
というか、馬車に乗ってるくせに…用事を聞いちゃうライル。
ちなみに、今はルルという異世界のハーフ魔族の王の一時的な案内または護衛として働いていたラルドとライルである。
ルルと同様に来た異世界の国の王と王子、そして王妃さんやらの三人などが来ていてたのだが…色々な都合上、護衛をつけることができなかったのでラルドなどに奈菜が頼んでおいたのだ。
「ま、初めての異世界だー…と言ってはしゃいでいる夫婦三人の護衛も終わったので、色々と暇になってきてましたし、丁度いいのではないでしょうか。
学園長から聞いた話では、そんな危険のある…という事でもないみたいだし」
「……ほうほう」
「あと、少しで着きますし……ちゃんとした内容は着いてから学園長本人から聞くことになっています。
それに……丁度いいじゃないですか。もともと行くつもりだったので、前日に依頼されたという事は一石二鳥です」
「……ぬ、何の前日?」
「ああ、ライルにはまだ教えていませんでしたね……私たちが到着して仕事をする次の日は学園全体での授業参観です。
貴族のご子息やらがワラワラと居る学園ですので、その時には少しお祭り騒ぎのようなことになるんですよね」
「…ほぅ」
ライルは服をから干し肉を取り出し、かぶりつく。
今更ではあるが徹夜の闇での荷物運びが前はあったので、今現在はライルとラルドさんも最低限の荷物を運ぶのがだるくなっている。
徹夜がパーティーに入る前はこれが普通だったんだ…と考え、頑張って我慢中。
「まあ、とりあえず…エミリィもラウも私の名前で入学してるので……授業参観に参加しても構わないわけです。
徹夜くんは面倒だからという理由で私の名前を書きやがりましたのでね」
「……徹夜らしいっちゃあ、徹夜らしい」
「まあ、そうだろうね」
ライルが新たに取り出して投げた干し肉をラルドさんは受け止め、硬い肉を噛み千切る。干されて水分のなくなった肉は、結構固い。
スープなどのモノに入れるのが、おそらく一番おいしいと思う。
そんなこんなで、うんちょろかんちゃら(意味不明)
ラルドたちは魔法学園に到着し、それを待ち伏せ……じゃなくて、歓迎するかのように? いや、なんというべきなのか…。
まあ、とりあえず人が居たのだ。
「どうも…トールさん」
「お久しぶりです、ラルド殿。今回の名指しの依頼を受けていただいてありがとうございます」
その人はトール・ルクイズ。
魔法学園の長という職業についている男である。
「それで…依頼の方は、何なのですか?」
ラルドがトールへと問う。
ラルドの後ろでは未だにライルがモグモグと口を動かしながら、干し肉をかみ切るために頑張っている。
「依頼は簡単なものなのですが……ちょっとした用心棒です。
今の時代、魔族とも少しばかり取引をした方が結構ためになること多いのですが…実際、魔族をまだ受け入れられない者もいるわけです。
実際、魔族の方よりもウチの貴族のご子息などの生徒なのが問題なのです。無知でプライドだけは高い者もいますので。
なので魔族方に生徒がちょっかいださないように、などのことをしていただきたいのです」
「了解です。私たちのパーティーの者も学園に居るわけですし、お断りするわけには行きませんので」
「ありがとうございます。ちなみに、魔族とはどのような…?」
「私たちの方からは少しばかりの魔法具と魔法具の設計図やらのモノを…魔族の方からは戦艦につかっている魔法具のデータを、ですね。
あちらも、こちらも多少は劣ったものを出すでしょうが…それを活かす事ができるかは魔法学園の力次第でしょう」
「大体理解できました、つまり無駄につっかかるかもしれない生徒をどうにかしてくれ、という事ですね」
「そんな所です。魔族の方は2~3人程度しか来ませんので、私とラルドさん達の三人いれば十分ですし、案内の先生も入れて四人です」
学園長が、そんなことを言うと丁度空に何かが見える。
それは魔族の戦艦である。
これからラルドたちは依頼を完了させるために、ラルドたちはこれから学園長や魔族たちの後ろをついていく事になるだろう。
でも、面倒なので描写はしない。
≪次の日≫
「……ナァ~」
可愛い声で可愛い言葉(?)で、かわいい動き(?)で少女がラルドに何かから逃れるように抱き着いた。
「…ラウは、久しぶりに会ったと思ったらいきなり何なんですか? 私にそんな声を出されながら抱き着かれても意味がわからないのですが」
困惑の顔をなっているラルドの腰にしがみついている小さな犬の獣人の少女、ラウ。
そして、その後ろではこれまたお久しぶりの少女…エミリィが楽しそうに笑いながら、ソレを見ているのだ。
ちなみにライルはラウの頬をつついて可愛い、と呟いている。
「エミリィと戦って、負けて……これを強制されてる」
「そしてラウは私から逃げようとしてるってトコ!!」
楽しそうにカラカラと笑いながら、そんなことを言うエミリィ。
一応、このエミリィという少女は雷属性をあつかうAランク冒険者。一時的に魔法学園の生徒にはなっているが、Aランクになれたほどの実力は持っている。
実際、生徒の中では最強かもしれない。
「ラウもそんなことはやめていいですよ…エミリィはAランクにもなった実力なのですから、勝てないのも無理はありませんしね」
「……でも、結構惜しいところまで行った。エミリィもあと少しで楽勝」
「むっ……それは私が雷属性の魔法を使わないようにハンデをしているからであって、本来の実力というわけじゃないでしょ!」
「私とクオなら、倒せるもん」
ちなみにラウは要などと同じ『獣使い』というモノに入る。要の血を飲ませれば強化させるというのは、あくまで能力なのでラウには無理だが獣と一緒に戦うという種類の先史を獣使いとよぶのだ。
そのクオは今現在はラウの陰に入っていたわけだが、自分の名前を聞いたからかラウを自分の背に乗せるような形で影の中から這い出てきた。
クオは今までよりも少し大きくなっており、徹夜が居た頃はラウ一人が限界という感じだったのだが、現在ではラウに加えてもう一人乗っても問題なさそうだ。
「大きくなりましたね~」
「……私も、乗りたいかも」
そんなことを呟いたライルは新たに取り出した干し肉を空中に向かって投げると。クオはそれを空中で飲み込んだ。
完全に、犬だ! 一応、狼なんだけどもね。一応は陰には入れる希少な闇属性の魔物ですよ、しかもそれなりに頭いい。
結構、軽く扱ってたけど本当はすごいやつ。
そんなクオの頭を撫でているラウ。
クオは気持ちよさそうに目を細めている。徹夜に撫でられて喜んでいたラウさんが……他のをなでている姿を見るとそれなりに時間が経ったなぁ…と思ってしまう。
「…というか、なんで魔族が居るの?」
エミリィの疑問の声は当たり前だのクラッカー(←は忘れてください)
「いやぁ…少し、どんな感じなのかまだ見ていたくて……聖剣のに、監視してもらえればまだ居ていい、って学園長から許可ももらったしね」
そんなことを言ったのは、魔族の少女。
しかも、それなりなえらい感じにいる少女……ミルリアである。ミルリアは、黒いマークの付いている右腕をブンブンと振っている。
「…まだまだ仕事は残っているんですが」
その後ろにはミルリアの部下であるロシアンが立っているわけである。
現在ミルリアは魔界のトップである。本来のトップはリーシなのだが、美月が魔王を倒した後に…と頼んだのはミルリアなので、それを考えミルリアがトップとしているわけだ。
前に堕勇の魔神関係での会議でリーシではなく、ミルリアが椅子に座っていたのはこのためだ。
「…結構、簡単な依頼だと思っていたのですが面倒なことになりました」
徹夜が居なくなってそれほど経っていないが、みんなそれなりに変わっている。
徹夜が居た時、ラウはほぼ戦闘能力など存在していなかったが…現在のラウはそれなりに戦える。
徹夜が怪我を負うせいになったことを考え学園で特訓したラウ…それは徹夜とまた会うという約束をしたので、また会うときに迷惑をかけないためである。
エミリィは…ま、いいんじゃね? どうでも。(面倒になってしまった)
そんなこんなで、こうなっていた時…徹夜は……。
= 話が変わります =
それは本当に些細なことから始まったのだ。
まぁ、俺が些細なことだと思っているだけで相手にとっては意外と重要だったのかもしれない。
そんなことは、友達と学校生活(俺達は学校以外に変な生活送ってますけどね)においてはよくあることだろう。
「…徹夜、お前いい加減に『ちゃん』付けをやめろ」
「んん?」
俺の目の前には、もう我慢できないとでも言わんばかりにこめかみ辺りに青筋を浮かべている瑞穂。
先ほどいつものように数人で話していると、瑞穂がそんなことを言ってきた。
「俺、『ちゃん』付けしたか?」
「ああ」
前からふざけて言うため、自然とついつけてしまう癖があるので、俺自身気づかないでいることも多い。
その度に飛び蹴りを食らわせてた瑞穂だが、今回はなんか違う。
「なんか悪いな、すまん」
「……」
俺にしては珍しく謝った。
謝ったのだが、瑞穂はこちらを不機嫌なまま睨んできている。
「……ない」
「は?」
「許さない、と言ったんだよ!」
それは今までのモノが溜まりにたまってのものなのだろう。
別に謝られたのに許さない変なやつ、というわけではない。
「いつもいつも、やめないで俺がどんなに蹴ってもお前は止めることがない!
…いや、別にお前だけでもないけどなっ」
「え、あ、うん。ああ……」
今日の瑞穂くんはなんか本気みたいです。
…というか周りに居たやつらは、何を楽しそうにこちらを見ながら遠くに逃げてんだ。
「お前も髪の毛といたら、まるっきり女の癖にさ!」
「…はァ?」
言っとくが俺は短気だ!
「言いやがったな、男女」
「んだよ、言って悪いか!」
ちなみにここは異世界に居たので、別に教室にいる訳ではないので野次馬はすごく少ない。
ほぼいつものメンバーだ。
細く説明はおいといて立ち上がった俺は瑞穂と睨み合う。
「よぉし…いいじゃないか。久しぶりに正々堂々と勝負するか」
「おう、やってやろうじゃないか」
俺の言葉に威勢良く返事する瑞穂。
俺も瑞穂も特に何も言わずに歩き出し、美月と和馬以外は疑問の表情になりながらついていく。
─ ─
「なんで徹夜くんの家なの?」
奈菜がそんな疑問を口にするのも無理はない。
皆様の目の前には俺の家。
「徹夜と瑞穂はよく喧嘩したら、よくゲームで何故か勝負するんだよ…。
なんでそうなるのかは、全然理解不能だが…」
和馬が答えました。
「ほら、久々にやるぞ。瑞穂ちゃん」
「ァ?」
挑発する俺に瑞穂は更に怒りを表している。
俺と瑞穂が先にあるいており、他の皆さんは俺たちの前に出ようとしない。
これは好都合だ。
この家の周りには、栞の結界が張られたままなのだ。
それは、悪意やら敵意やらのものに反応し、弾くわけなので今の瑞穂ならば当然弾かれるわけだ。
…グフフ、正々堂々? そんなものは俺には存在しないのだよ。
「じゃ、家にはいってくれ」
俺の後に瑞穂、その後ろに他のメンバーが続く。
さあ、瑞穂よ。
その怒りによって吹き飛ばされ壁にめり込み、その無様な姿を俺にさらしてくれるがいい! クハハハハha…
「ぎゃぴッ!?」
『!?』
突如、俺に衝撃がはしり吹き飛ばされ不意打ちかつ相当威力の高い衝撃により目の前が真っ暗になった。
(視点が変わります)
周りの人間に驚かれ見られている徹夜は、目をグルグルマークにしても可笑しくはない感じで道路の上でのびている。
この場合、徹夜は結界に弾かれた。
徹夜はいっさい考えていなかったが徹夜が脳内で三流悪役のように嘲笑いを浮かべていた……それも悪意などの邪念に入るのではないだろうか。
つまり、簡単にいってしまえば単純に徹夜がバカだったと言うことだ。
「と、とりあえず家のなかに運ぶか……」
そんなことを呟く瑞穂。
突然吹き飛ばされた徹夜のせいで、瑞穂の怒りは吹き飛んでなくなっていた。
次で終わり。
でも、今までみたいに書き溜めがあるわけでもありませんので少し時間がかかるかもしれません。
第三章のキャラ紹介は最後か、それとも最後の一つ前か…どちらがいいですかね?
誤字・脱字があればご報告よろしくお願いします。




