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俺は闇、幼馴染みは光の勇者様  作者: 焼き芋(ちーず味)
第三章 セカンドワールド 堕勇と勇者の戦争
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番外編 景山(義妹)と内藤(弟)

これを書くの辛そうだから、前の話で予約投稿に余裕を持たせたんですよ。

終了まで、この話を入れないで…あと二話程度です。

頑張ります。

これは戦争終了の5日後だ。


「……何を騒いでるんですか、あなたたちは」

体に包帯の巻かれている栞が一つの部屋に入る。

その部屋は色々と荒れており、なんだ何があったんだ? と思われるような感じで荒れているのだ。とりあえず荒れているのだ、それしか言えない。


「お~…? えっとぉ、誰やったっけ?」


「私は仮面をかぶっていたので、仕方がない事ですが…その反応はやめてください、『魔道書』こと景山かげやま しおりです。

今回はあなた方への差し入れです」

楓が首を傾げながら質問したのに対して、栞が応える。

栞はもともとずっと仮面をつけていた……一緒に戦っていた堕勇にも堕勇を抜ける前に栞の顔を見た者は少ない。


「おお、聞こえる声は同じやしな……かわええのぅ」


「なんかエセ関西弁というよりも、ただのオヤジですよ……楓さん」


「呼び方も同じやし……ウチが栞ちゃんを『魔道書』本人だと認めてあげよう!」


「…なんであなたに認められなければならないのかがわかりませんが」

ちなみにそんな楓と栞の話している部屋は、そこらにある病院の一室とほぼ同じだ。

そこにはいくつかのベットが置かれており…楓、美咲、唯時の3人用の部屋であり、この3人は学校ずっと休んでたので、そのまま少し休み。

完璧に傷が治ったら、復帰させるつもりだ。老人が倒された時点で支配の魔法は消えている。



ちなみに学校を休んだ理由は…カントクがテキトーに作ったそうな。

親の用事で遠くに一時的に行った、ということにしていたらしい。


「んで、何の差し入れ?」


「シュークリームです」

実際、美月にボコスカにやられた大した傷を負っていない唯時が栞に尋ねる。

唯時は、完全にさぼりみたいなもんだ。まあ、さぼりとは言ったが元々やることもないので、さぼりというわけではない。


ちなみに栞さんは……シュークリームが大好きである。

その頬には来る前にも食べたのか微妙にクリームがついていたりするが、それを見ているはずの楓は特に何も言わず『可愛いなぁ…』と思いながら異様にニコニコと笑っている。


栞は手に持っている2つの荷物のうち、片方をテーブルへと起き…その中の紙の箱から一つだけシュークリームを出した栞は再び幸せそうに頬張り始めている。

何故ここで食べるのか…それは徹夜や真くんに見つからないためである。




ちなみに……楓などの3人とは別に、完璧にさぼりの奈菜がいたりもする。

奈菜は少し仕事が多いのだ。


「……差し入れ、ありがとうございます。もう一つの荷物はなんなんだ?」

なんだか異様にぺこぺこしている美咲さんだ。

美咲さんはけっこう、人とのコミュニケーション能力がない……というか、無さすぎる。


「これは私が葵に斬られたときに手当てをしてくれた女性のための差し入れです。その女性の同僚の神官の数もギリで調達できたので抜かりはないです」


そんなことを言いながら、ムシャムッシャとシュークリームを食べている。

ちなみに差し入れには1箱6個入りというモノなので奈菜の分もあったりする……まあ、偶然ではあるのだが。


「ボク、甘いの結構好きなんだよね~」

さっそく、といった様子でシュークリームを取り出した菜奈は、それを口一杯に頬張る。

とても美味しそうな顔をしてる菜奈に続き、他の三人も同様に手を伸ばす。


「では、私はいきますね。女性の神官の方へ渡さなくてないけません。

あ、そういえば…その中には1つ、カラシ入りのもありますので、気を付けてください」


「「「ッ!!??」」」


「シュークリームうまぁ」

栞の言葉に驚く三人と、甘さを堪能している菜奈。

それをほっといて栞は部屋から出た。



 ─  ─


「「……あっ」」

栞は帰り道に会った。


「奇遇ですね…内藤ないとう 冬日ふゆかさん」


「本当に奇遇だね、栞ちゃん」

少し嫌そうな表情になる栞に対して、冬日は栞とは逆の嬉しそうな表情で栞の言葉に対して返していた。


「まあ、これから景山さんには行くつもりだったんだけどね」


「……どうして、ですか?」


「いや……ちょっとねぇ」

冬日は栞の姿……ところどころ包帯が巻かれており、頬には斬り傷を塞ぐために張られている絆創膏を見た。

それに栞は「…?」というような反応を起こしているが、冬日はそれを気にせず何もしゃべらずに歩き続ける。


「なんなんですか?」


「……テツ兄に最初に聞くからいい」


「む?」

冬日の反応に首を傾げながらも、前を歩いている冬日の後をついていく。結局、向かう先は同じなのでついていくのは当たり前だ。


そんなこんなで、家に着きましたとさ。


「お…フユじゃん。なんか久しぶりだな~」


「久しぶり、テツ兄……さっそくだけど、おじゃまします」


「お邪魔されまーす」


「テツ兄……お母さんは?」


「なんか用事があるらしくて、外出ちゅ~」

冬日と栞が徹夜を呼ぶときは…というか真くんもなのだが「テツ兄」なので少し区別がつきにくいよね。

わかるよ、その気持ち。


「……ふぅん、テツ兄。突然で悪いし、僕がテツ兄の所にきた理由なんだけどね…テツ兄、栞ちゃん、そして美月姉は…なんで、そんなにボロボロなの?

包帯を巻くほどに…」


「「……む?」」

冬日の言葉を聞いて徹夜は栞を、栞は徹夜の姿を改めて確認して。二人とも「ああ…」というように納得した。

徹夜も栞も体に包帯などが巻かれているのだ。

栞は実際、もう治療魔法を使えるのだが…栞は何となく魔力が全回復するまで治療はせずにいようと思っていた。

栞は和馬の能力を例外と考えれば、勇者の中ではトップの魔力貯蔵量を誇る。その魔力は全回復するには数日かかるのだ。


「…俺、少し眠いから寝るんで栞に聞いといてくれ」


「えっ!?」

すべて丸投げした徹夜と驚く栞である。

徹夜は栞と冬日に手を軽く振りながら、階段を上がっていく。


「あ、俺の部屋に入るなよ~…今、部屋あまり綺麗じゃないんだ。昔のゲームとか色々と出してたら散らかしちゃってな」

そんな事を言いながら徹夜は二階に上がっていった。


「逃げられた、完全に逃げられた」


「……私に押し付けないでほしいんだけど」

そんな二人の呟くのを完全に無視して徹夜はそのまま二階へと消えていった。




「………」


「…それで、何でなの?」

場所を移動して、リビングで机を挟みながら栞と冬日は向かい合っている。


「なんで、あなたに教える必要があるのですか?」


「僕は美月姉の弟だから、かな」


「理由になってませんが…」


「美月姉に聞いても教えてくれないし……それに今日ここに来てわかったんだけども、テツ兄も美月姉と同様にボロボロだし。

栞ちゃんも、ね…」


「……」

冬日の言葉に対して栞はただ冬日を見つめる。

栞が黙って見てくるのに対して冬日はしっかりとした意思をもって、真っ直ぐと栞を見つめ返している。


「……美月さんもテツ兄もあなたに教えないのは、それなりな理由があるからです。私も同様にあなたに教えるつもりはありませんし、教える必要性も見つかりません。

今後、無駄なモノを気にせずにいたほうが…いいと思いますよ?」


「…っ」

栞の言葉に冬日は息をのみ込むような音と共に微かにだが驚いたように目を見開いた。

というか何故、栞や徹夜、美月たち三人は…冬日が納得できるような嘘をつくという事を思いつかないのか。


「……疲れてるので、私も自分の部屋で寝ます。なので、帰ってください」


「…っ!! 栞ちゃん待ちなよ!」

冬日が止まるように大声で言っても、栞は止まることなく特に何も言わず部屋を出ていこうとする……それに冬日は焦りを覚えたのか。

冬日は思わずと言った様子で、動いた。


「…は?」

次の瞬間には栞が驚いた。

本来、人の普通の能力の何倍もいい身体能力をもつ栞なのだが……油断していたとはいえ、反応できずに足をかけられ倒されていたからだ。

倒された栞は硬い床に頭をぶつけるような形で転倒したのだが、頭の下には冬日の手が置かれており、それがクッションになったので栞は痛みを感じていない。

栞の目の前には、真剣な表情で栞を見つめる冬日の顔がある。


「身内のことだから教えてほしいんだ、栞ちゃん。

……今まで隠し事なんてほとんどしなかった美月姉と、テツ兄も栞ちゃんも僕に何か隠す。

養子にとられた栞ちゃんはともかく…僕は美月姉はもちろんテツ兄とも長い間一緒にいるはずなのに、包帯を巻くほどの何かを隠されるのは……嫌だと思わない?」


「……」

冬日に対して静かに栞は見つめている。


「これはあなたのような人に対しては言い過ぎだとは思いますが……世の中には普通の人には信じられないモノや現象が存在するのですよ? そんなモノにあなたは首を突っ込みたいのですか?

まあ、二人は首を突っ込ませないという事ではなく…信じないだろうから言わない、だけでしょうが」


「信じられないとかはどうでもいいんだよ、大切な家族と家族ソレに近い人たちが関わっている危険な何かで大切な人たちを失いたくないんだ。

だから、僕は知りたいんだよ」


「……」

栞の目をしっかりと見つめ返しながら、そんなことを言う冬日に対して栞はただ黙る事しかできなかった。


そんなときに……


「そういえば、見たい番組があるんだっ…たァ?」

徹夜がそんなことを言いながらリビングの扉をあけ、入ってきた。

言葉の途中で変な発音になったのは目の前の状況を見たからだ。


冬日は栞が出ていこうとするのに対して、足をかけ転ばせ上から押さえて逃げられないようにする形で今話しているのだ。

まあ、詳しく説明するのが面倒なので簡単にぶっちゃけるが……冬日は栞を押し倒し、顔が超近い状態で黙って見つめ合ってるように見えるのだ。


「「………あっ」」

それに二人が気付いたのは、徹夜が絶望的な顔になるのと同時だった。



「…お邪魔しましたッ!!」

少しうるさい音を立てて閉まる扉……冬日は、その時点で慌てて栞の上からどいた。


「待ってテツ兄!! これは誤解なんだ! 僕は栞ちゃんに話を聞こうとしただけで……テツ兄が想像したようなことじゃないから!」


「か弱い少女を押し倒すなんて、最低ですね。冬日さんは、本当に……なんというカスで愚図でクソなのでしょうか」


「やめて、そんなことを言わないで栞ちゃん! 本当のことみたいになっちゃうからさ!

というか、最後のはただ単純に僕に悪口を言いたかっただけだよね!?」

慌てている冬日は顔を真っ赤にしているが、それをからかっている栞も顔は真っ赤になっている。

見た目上冷静を装っているが、押し倒されていたという状況と…それを徹夜に見られたという事実が恥ずかしかったのだろう。


「ああああ……テツ兄が美月姉に言いそうで怖い! 姉にニヤニヤされながら茶化されるっていうのは弟にはキツい事なんだから!」


「あの人なら、茶化しまくるでしょうね……私も含めて」

慌てまくってる冬日と意外と冷静な栞だが……


……徹夜は三日間ぐらい気まずそうに栞から目をそらし続けるという、栞にとってもなんだかツラい状況になったのは言うまでもない。

徹夜は相変わらず、こういう事に耐性はないのである。

ちなみに冬日は想像通り美月に茶化されたとか…栞も含めて、だが。

栞と冬日の組み合わせ。この話のアイディアは美月の弟を出した時点で決まっていたり…。

というか、徹夜くんって恋愛ドラマを見るだけで顔真っ赤にしそうですね。



誤字・脱字があればご報告よろしくお願いします。

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