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俺は闇、幼馴染みは光の勇者様  作者: 焼き芋(ちーず味)
第三章 セカンドワールド 堕勇と勇者の戦争
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番外編 徹夜の過去

ちなみに、これは81話の時に書いた番外編なので、徹夜くんとか栞ちゃんが包帯だらけになったのは反映されていません。

この話の後に包帯だらけの徹夜くんとか出るでしょうけど、気にせずにお願いします。

「真くん」


「ぬ?」

俺の言葉に真くんは首をかしげながら、こちらを見上げてきた。


「その目の下の隈、どした…?」


「夜中にやろうって言われてゲームした」

眠たそうに目を擦りながら、俺に向かって真くんはそんなことを言った。


「誰に誘われたんだ?」

真くんの安らかな眠りを妨げるやつは誰だ。

マジで文句いってやる! 何故、俺も起こさなかった!?

後半は冗談だから、忘れてくれ。


「誰って……テツ兄にだよ?」

なん…だと……ッ!?

真実は常に一つ、犯人は俺だ!


いきなり何言ってんだろ…俺(あくまで思考なので言ってはないです)


「詳しく言うと元テツ兄であったであろう、黒い肌の女性に」


「……」

あのヒトかぁ。


この頃、リヤナさんが夜中に俺の体を気づかない間に乗っ取っていることが多い気がするんだ。

まぁ、この頃リヤナさんにお世話になってるし別に迷惑をかけない程度ならいいと思っている。

だけど、さすがに真くんに隈を作るほどまでになるとやはり注意しておかなければいけないだろう。


…というか、今は関係ないのだがリヤナさんに最初に体を乗っ取られたはいつの事なのだろうか?

リヤナさんの事だから、小さい頃に俺が分からないのをいいことに、俺が気づかない程度に乗っ取ってそうで怖い。



─ ということで Go!! ─


それは何年も前の事。

そこには一人の少年と、その家族である夫婦が居た。

その家の少年…ぶっちゃけ徹夜の歳は五歳。

小学校に入学以前の話なので、徹夜が以前言った通り伸ばしまくった髪を一つに縛ってはおらず。

女のような顔を隠そうとして、顔の大半が髪の毛で隠れ気味な少年だった頃。


今の徹夜の髪型になるまで、あともう少しのところである。


この頃よりも以前から徹夜は寝る時間が半端ではない。

それはリヤナの生まれ変わったせいで体に似合わない力が存在し、それをリヤナが常時おさえている状態なので普通の人間よりも無意識の内に徹夜は疲れており、寝る時間が多いのだ。

この事を考えると、ずっと昔から徹夜はリヤナにお世話をしてもらっていたわけである。


ちなみに…。

美月の元となったリシは、リヤナのように魂が残ってるわけではなく完全に美月の魂だからか。

ある歳を越えるまで、そこまで身体能力の向上は無かった。


徹夜が追われるようになった中学は、元々優秀だった美月の枷が外れ異様なほどになると同時。

徹夜は体が十分なほど成長し、やっとリヤナが楽をできる様になった時期でもある。

徹夜の睡眠時間が減ったのは、この事も理由の一つとなっている。


そんな事はさておいて、五歳の徹夜の話だったはずだ。

…うん、そうだったよな。


「……」


「ん? 徹夜くん、どうしたの?」

ボーッと見上げるようにしている徹夜くん(五才)

髪の毛は長く縛ってないので顔が隠れている。

そんな男の子に質問をしているのは若き頃の徹夜の母だ。


「……」

その問いかけに徹夜は答えることなく黙っており、その反応に母は静かに徹夜の髪の毛を分け、表情を確認する。


「あ、寝てる」

表情ではなくでは目蓋で閉じている瞳なのだが。

そんな徹夜に母は優しく声をかけ徹夜を起こし、朝食を食べるように指示した。


徹夜はもう少しで小学校だが、その頃は当然幼稚園に行っており、もう少しで迎えのはバスが来るのに食事中に寝るという変なことをしていた。

まぁ、今の徹夜とそう変わりはない。


そんなこんなで朝食を食べ終え、幼稚園に行く身支度を母のもと早々と終わらせていった。

そして、家の近くの指定場所にバスが来て、それに乗り込むのだ。


「…いってきます」


「いってらっしゃい!」

未だに眠いのか、目を擦りながら口を開いた徹夜に、元気よく母は返答した。



そして徹夜が帰ってくると、今は真くんのお世話をしてくれる優しい近所のおばあちゃんが迎えてくれた。

母はそのときから当然、小学校に教師として勤めており徹夜と時間が会わないことはよくあった。


「てつやくん、おかえり」


「ただいま!」

優しく微笑みながら迎えてくれた近所のおばあちゃんの言葉に、ただ普通に返答した。


「どうだった、今日の幼稚園は?」


「ん、お昼に食べる弁当についてくるゼリーの味が『納豆ドリアン』で絶望した 」

幼稚園では毎日、幼稚園側で弁当を用意されており(コンビニで買うようなものと同じだ)、その弁当は毎回おかずが違うが毎回必ずゼリーがついている。

そのゼリーはランダムで味が違っているのだ。


「おやおや、まあまあ」

ただ近所のおばあちゃんは、微笑むだけである。


徹夜の人生には何回、納豆ドリアンというゲテモノが登場するのだろうか。

徹夜自身覚えてなかったみたいだが、どうやら徹夜の人生には納豆ドリアンが昔から付きまとっているようだ。


……南無。




─ ─


そんなこんなで、そんなこんな(意味不明)

幼稚園に通っている子供がいるので周りの教師が気を使い早く帰れている徹夜の母さんが家に帰る前に近所のおばあちゃんの家により、徹夜を回収してから二人で一緒にならんで歩き、家に入った。

家に入った徹夜はドタドタと走って飛び込んでいく。


「徹夜くん、今日どうだった?」


「ゲテモノゼリーくらったぁ」


「無駄じゃないものまで省いてるから、お母さんわからないやー」

冷蔵庫からアイスを取りだし食べている徹夜とニコニコしながら徹夜の言葉に返事している母さん。


「家を出たのが7:30、幼稚園についたのが8:00、8:00~8:20までは出席簿にチェック後友達と遊ぶ、8:20~9:00は……えっと」


「わかったわかった、そこまで詳しく教えてくれなくて良いよ」

そんな感じで答えている徹夜の母さんは食事の準備をしに、歩いていった。


「ぬう」

やることがなかったのか、それとも最後まで言わせてくれなかったのに不満があったのかトタトタと母のもとまで歩いていく。


「今日のご飯はなんでしょうか?」

そんな徹夜に母は話題を変えるように質問をした。

それは成功し、徹夜は考えるように唸り始めた。


「うぅぬ……がり」


「なんでここで『がり』なのか、母さんわからないや」


「じゃあ…納豆ドリアン」


「なにそれ?」

誰もわかるはずはない。


「ゲテモノだよ」


「あ〜…」

さすがの母もなんも言えることはないだろう。


「で、冗談はおいといてホントはなんだと思う?」

母の言葉に徹夜は母が出している食材や料理に使う道具を眺め唸る。


「ぬぅ…メインとして考えてるのはにくじゃが、かな?」


「ん、正解」

ちゃんとした徹夜の答えにニッコリと笑いながら楽しそうに答える徹夜の母。


今日も徹夜と徹夜の母は楽しそうである。



─ ─


そんなこんなで21:00頃、母は徹夜を寝かせ、今は22:30ぐらいの時間に夫である武とテキトーに話ながらテレビをみていた。


「いつも思うけど、徹夜は少し大人しすぎるかな? ほとんど寝てるし」


「確かに他の子よりは寝てるだろうな

休日だと一日の大半はベットにこもってるし、なんだ? もう引きこもり見習いか?」


「あの歳でそれは笑えないわ」

少し笑い気味の武の言葉に母は苦笑いで答えていた(目は完全に笑っていない)


「ま、その時は俺達が徹夜を連れて外につれていけば良いだけだ。

今度、遊園地でも行くか? こうジェットコースターで遊べば」


「それはあなたが行きたいだけでしょ……私は、とても良い案だとは思うけど。

でも、ジェットコースターは身長または年齢でアウトだから徹夜は無理でしょ」


「くっ…自分の子供とのジェットコースターに一緒に乗る夢はまだ無理なのか」


「もう少し待てば必ず叶うでしょ」

そんな会話を母と武がしているときに、階段の方で微かに音がして、それに母が気づいた。


「徹夜くんかな? ちょっと見てくる」


「了解」

母の言葉に返事した武。

それを聞いた母は立ち上がり、部屋を出て、すぐ近くの階段の方へと歩いていくと、そこには徹夜が立っていた。


「どうしたの? 徹夜くん。トイレ?」

その母の質問に徹夜は黙って顔を横に振った。


「じゃあ、一体どうしたの?」

それを不思議に思った母は髪に隠れた徹夜の目を見るため髪をどけると、そこには普段とは明らかに違う静かに母を見つめている瞳があった。


「……」


「………」

どちらも、なにも言わずに見つめあって数秒間。

その次の瞬間に、母が徹夜(?)の頭をくしゃくしゃと撫でた。


「どうした、そんなに心配そうな目で見てきてぇ。

甘えて良いんだぞ、私はあなた(・・・)の母親なんだから!」

嬉しそうに笑う徹夜の母は、おもいっきり強く徹夜にハグをすると、徹夜の顔は一瞬だけ嬉しそうに笑うとすぐに寝息をたてはじめた。


「…いやぁ、私は子供に恵まれてるなぁ。

なんか知らないけど、こんな可愛い()まで居て…神様に感謝しなきゃね」


そんなことをいった母は、徹夜をそのまま抱えて元のベットの上に戻すため階段を登り始めた。

その顔はニコニコとしていて、ととも嬉しそうだった。


「もしかしたら私の夢の『自分の娘をお着替え人形にする』がかなうかも!」

キラキラとした目の徹夜母の事は、気にしないでおくことが吉だ。



─ 元へと戻ります ─


「んん? 皆さんは何見てるん?」

俺がお風呂から上がり、ちゃんと自分の髪をドライヤーで乾かしきちんと、しっかりとパパッと髪を後ろにひとつに縛ったあと、リビングにいった俺は何かをジッと見ている真くん、母、栞の三人を見つけた。


「アルバムだよ」

栞は一言言って、すぐにそのアルバムとやらに目線を戻す。


「いつのアルバムなんだ?」

アルバムと言えば、存在するのは俺と母と父の三人でどこかにいったときの写真などしかないはずだ。

それは俺が何歳から何歳までという基準で分けられたはずである。


「……いつ、というより誰かな」

母が少し苦笑いぎみに答えた。

俺は当然、何故母が苦笑いしているのか気になるわけだ。

俺が来てからそんな表情になると言うことは、俺に見せたくなかったのだろう。


「んー?」

そんな呻き声的なものをあげながらも、そのアルバムを引ったくり中身を見た。


「はァッ!? なんだよ、コレ!!」

そのアルバムにつけられたタイトルは『徹夜(?)の着せ替え集』

小さい頃の俺が静かにたっているのだが、女の子のものの服を着せられており完全に女の子にしか見えない。


「いや、だってねッ!!

徹夜がいつもと違う目をしているときさ、髪の毛を女の子っぽくいじっても騒がないしさ!

最初は一回だけ、と思って着せたんだよ!

でも一回やったらやめられなかなってきて…それにいつも通りの徹夜の時はこのときのことを覚えてなかったし、丁度良かったと言うか……」


「ふざけんなァーー!」

慌てて言い訳を言う母に、当然俺は怒るわけだ。


「……テツ兄、可愛いね」


「うわあああああああああああああああああああああああああああああ!!」

栞のそんな呟きに、俺はつい泣き崩れてしまった。


徹夜くんが寝るのが多かったという設定には理由が…

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