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俺は闇、幼馴染みは光の勇者様  作者: 焼き芋(ちーず味)
第三章 セカンドワールド 堕勇と勇者の戦争
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最終話 俺闇本編終了

やってやったで!12月になる前に本編終わらせてやったで!

菜奈と美月、そして里稲が戦い…徹夜が真くんの方に集中している。

そんな場所。


「んん…?」

不思議そうに声をあげたグレモアの目の前で、世界が切り裂かれていく。

それは、ある少女の能力によるものだ。


「……葵か」


「遅れて申し訳ありません、グレモア様」


「お主も無傷ではないの…」

グレモアの前に立つ葵。

葵は服もボロボロで無傷な場所がないが、一番目立つのは…手に持たれている刀は半ばから折れ、持っていない方の腕は骨が折れているのか青白く腫れ、力なく下へと垂れている。


そして…葵にとって左側の片目が潰れ、血が流れ出していた。


「瑞穂も相討ち狙いで攻撃してくるもので、なかなか手強く苦戦しました。

ですが、グレモア様の持っている魔法具から発せられた信号を優先したので、殺すまでは無理でしたが行動不能にはしましたので追ってくることはあり得ません」

グレモアの手には、何かスイッチのついた魔法具が握られている。


「そうか…」


「では、とりあえず逃げましょうか」

葵さんってグレモア相手にだと口調変わるよね。


「うむ」

葵は、なくなっていない方のグレモアの腕を自らの肩にかける形で立てないグレモアを立たせた。

葵は再び折れた刀で世界を切断する。


「……お前だけは着いてくるんじゃな〜」

グレモアは里稲や炎関連の話の最中に視線を感じていた。

それは遠くからだが…老人を見定め、その次の徹夜を値踏みするような意思を持った視線…それが誰なのかはわかっており、その視線がなくなると視線の元であった人物は歩き去って行った。


「何を落ち込んでいるんですか? らしくない。

それに…私は、あなたについていくことしかできないんですよ? 私は…糞な家族ではありましたが、全員殺してもいるんですから。

なので、無駄に落ち込んでこっちに変な雰囲気を送り込まないでください」


「…最後は何か違う気がするが、まあいいじゃろ。とりあえず逃げよう」


「はい」

葵は片腕が折れていながらも、器用に刀を持ち、グレモアを抱え苦もない様子で歩き出す。

そして自らが刀で切り開いたモノへと入っていく。


「せっかくの世界滅亡計画みたいなものも失敗しましたし、次は何をしましょうか?」


「むぅ、今度はあっちの世界で化学と魔法を合わせた面白人形へいきでも作ってみるかのぉ……」

そんなことをしゃべりながら二人は消えた。


─ ─


都市のある場所。

そこには墜落したジパングの飛行船があり、その目の前に瑞穂が『ギャーッ!!』と言わんばかりの表情で座っていた。

ふへぇ〜…と座り込んでいたら、目の前に飛行艇が落ちてきたら誰でもそうなるだろう。


「どぉんりゃぁ〜ッ、生き残れたぞ…こんチクショォー!!」

そして、その飛行艇の操縦席がある場所のボロボロの窓を突き破って出てきた和馬はボロボロだが元気に腕を空へと突き上げていた。


「お、瑞穂じゃん」


「お、おう。豪快な登場の仕方だな、和馬」


「だろ? 俺も好きでこんな登場したわけではないけどな」

軽い会話をしている二人。


和馬もボロボロだが、座り込んでいる瑞穂は立てない理由が存在していた。

瑞穂はやはり無傷なところがあるわけではないが、それでも酷いのが肩の刺し傷と足の切り傷。

そして、瑞穂が使っていた剣は戦っていた葵の刀と同様、途中で切断されている(葵の場合は折られたわけだが)


「…葵に綺麗に足の筋肉を斬られちまって立てないんだ。手伝ってくれないか?」


「おう、良いぞ」


「このままやってたら確実に死んでただろうが…ちょうどいいタイミングで何かをしなくちゃいけなくなったみたいでな。

ギリギリで生き残れたよ…和馬はどうだった?」


「いや〜…俺も相手に上手くやられたって感じかな」


「正直、落ち込むわ」


「同感だ」


そんな感じの二人である。


─ ─


「「ッ!!」」


「ハハハハハ…ッ!!」

剣を振りぬいた奈菜と美月の二人に対して、里稲は笑いしながら軽く避ける。

それに対して一瞬のうちに美月は里稲の後ろへと移動して剣を振るったが、それは簡単に避けられる。

唯時でさえも避けられなかった早さ以上の攻撃を簡単に、だ。


「その身体能力……その後ろの大木に秘密があるね」


「ふふふ…私の能力は植物を生やし、その植物は魔力吸う。世界には魔力が満ちている…だったらそれを吸い取り、私に送るという機能を持っているのがこれ。

私はこれが立ち続けている限り…魔力切れは起こさない。その魔力を使って身体強化をしているから、美月の動きにもついていける」


「じゃあ、最初にその木を切断しないとね…ッ!!」


「させるわけが、ないッ!!」

美月の行き先を邪魔した里稲は、美月の剣を受け止め…美月に意識がそれている間に木へと近づこうとした奈菜へとツタを放つ。

それを奈菜が刀で切り裂くと、それが砂のように崩れて消えた。

それは切断された場所からどんどんと広がっていく。


「っ!?」

それに驚いて里稲はツタを切り離すと同時に切り離されたツタは砂となって崩れ落ちた。


「この刀は『絶刀』。

人の死を無効にする人形と同レベルの魔法具。人の死を無効にする人形は『時空』属性であり、こっちは世界の理に干渉することのできる『創造』の属性。

強力すぎて美咲との戦いには出せなかった、ボクの中で最強の武器。斬られたモノは何かを無とされる」

奈菜は、禍々しいオーラをまとった刀を持ちながら里稲へと向けて迫る。


「これの干渉対象は自分で決められるけど、言葉遊びと同じで少し面倒なんだ。これで斬って相手を無力化するために『意識をなくす』のと『意識を無くす』のでは全然違うんだ。

片方はただ気絶するだけ、もう片方は意識が完全になくなり一生起きることがない…まあ、魔力のように回復するものならば、おそらく大丈夫なんだけど…ねッ!!」

奈菜の振るった刀を里稲は無駄のないように動きながら、刀の切っ先に触れられないように避け続ける。


「つまり、当たらなければ問題ない!」

避けていた里稲は、避けて体が不安定な体勢で蹴りを放ち、それを奈菜は後ろに体をそらして避けたが…その額には蹴りでつけられたと思われる切り傷が入った。


普段なら軽く避けられる攻撃。だが、完全には避けられない。

それほどまでに奈菜は体が弱ってきている。戦いを続けて行っている奈菜や美月なので、仕方がないとしか言えない。


「奈菜ちゃんだけじゃ…無いからね!!」

後ろから斬りかかっていた美月の腹に里稲の蹴りがめり込み、吹き飛ばした。


「敵を…殺す相手を忘れるわけがないだろう?」


「ッ〜!!」

空中でくるりと回転し、綺麗に着地する美月。

そして次の瞬間には、大木からのびた大量のツタが美月と奈菜を上から雨のように降り注ぎ、二人を襲う。


「「ッ!!?」」

驚きながらも二人回避行動に移る。

美月はただ単純に避け、奈菜は刀で切断しながらも動き避けていく。奈菜に切断されたツタはすぐさま伸びている元である大木から切り離される。

それでも二人は避けきれずに体のところどころをツタが抉っていく。それに危機感を感じた二人は大きく後ろに跳び、攻撃範囲から逃れた。


「本当に、あれが邪魔だね…」


「美月ちゃん、あれ吹き飛ばせないの? ちなみにボクは絶刀コレを使いながら、他の魔法具を使うという余裕はありません。

相当、燃費が悪いんだよコレ」


「私も、これ着てる限りは無理かな〜……私のも燃費悪いし、これ着てから私剣での攻撃しかしてないんだよ?

全身にやってみると魔力とか片足のダメージが気にならない速さなんだけど、消費がね〜」

徹夜の奥の手と同様に燃費が悪い二人の奥の手。

それに対して里稲の奥の手である大木は、なんとも便利なものなのだろうか。


というか愚痴るんじゃない、二人とも。


奈菜と美月の二人、それに対して里稲は楽しそうにしながら攻撃の準備をしている。

愚痴っている二人に、嬉々とした表情で相手を殺す方法を考えている一人の目の前で…エネルギーの塊が大木を貫いた。


「えっ?」

声に出したのは美月だけだが、驚いたのは他の二人も同様だ。

そんな三人の目の前で大木は煙をあげて、傾いていく。その大木はたった一撃で復活は不可能だと思えるぐらいのダメージを負っていた。


「くそっ…あそこか、死にぞこないめ」

三人のうち一人…里稲だけが、それの犯人をしっかりと見つめて、そんなことを呟いた。


─ ─


奈菜と美月、そして里稲からそれなりに距離が離れている場所に一人の少女が立っていた。


「…『始まりの一撃ファースト・ドラゴン・ブレス』」

ポツリとそんなことを呟いた少女は…当然のことではあるが楓だ。

その楓の姿はひどいもので、背中から生えていた翼は片方は折れ、片方は無理やり引きちぎられていた。

口からは血が大量に垂れ、体にはいくつかの穴が開いている。


「……『支配』の魔法を使われて、ろくに動けもせずに負けたままでいられるか…ボケぇ」

力のない声でそんなことを呟いた楓。


楓は里稲と戦った。

だが、里稲はルルの時に呪いを使いろくに動けないルルを殺したわけであり……それはグレモアが呪いの使い方を教えていたからだ。

そして、それはグレモアが堕勇につけていた『支配』の魔法も適用する。


その目の前で大木からいくつものツタが楓と放たれていた。

それは大木に残された最後の力…それに対して楓は力が尽き、膝をつきボ〜とした様子でそれを見つめていた。


「…目が、かすむ」

そんなことを呟いた楓へ鋭く人を貫くツタが降り注ぐ。

だが、それは何も貫いていない……そのツタが降り注いだ場所から、少し離れた空中に楓を乗せた無駄に大きな狼が居た。


「おおぅ…美咲か」


「無理すんな……あれを避ける程度の力も無いくせに」

そう呟いた美咲……というか、気絶から復活するの早いね。


「こんな人外な力を手に入れ、姿が変わって…普通の人と接するのがどうにも苦手になってきてるんだけども、美咲のこの毛並を触ってると安心するわぁ」


「それは俺も人外な姿をしてるからだろ」


「………それでも安心できるだけマシ、かな」

無駄に触っていていい気分になる美咲の毛並を満喫していた楓は…疲れたのか、そのまま動かずにずっと毛並を満喫し続けている。


─ ─


「くそ犬め…邪魔しやがって。

…だが、大木を壊されても今まで貯めた魔力で十分大丈夫だろう。絶対にあとで殺す」

そんなことを呟いている里稲であるが…


「…こっちも気にした方がいいよ。里稲ちゃん」


「ッ!!」

次の瞬間には美月の剣と里稲の蹴りが激突していた。

…その里稲の手からはトゲがいくつもついているツタが伸び、それを鞭のように扱う。


「休ませるわけないよ…里稲ちゃん」

それを避けた美月と交代するように奈菜が突っ込んできてツタを切断する。

それは今まで同じですべてが消える前に捨て、次の瞬間には里稲の手には木の剣が握られており、それが奈菜へと向けて振られる。


それを避けた奈菜。

…その剣は木製のはずなのに瓦礫をいとも容易く切り裂いた。


その後ろから美月が剣を振り下ろそうと構えていた。

だが、次の瞬間には美月の持っていた剣を異様な速度で振り向いた里稲の木製の剣の一撃が弾き飛ばした。


「じゃあ、死ね」


「……ッ」

里稲がそれを呟く前に美月は後ろへと退こうとしたが、その足にはツタが絡みついていた。

一瞬のうちに切り裂かれ、力が抜け倒れ始める美月。


その反対側から奈菜が刀を振り下ろした。

だが里稲が体を横にずらし避けていた。避けて最後に下に振りぬかれた剣に合わせるように里稲は木剣を振りぬき、次の瞬間には刀の刃が半ばから折れ、空を飛んでいた。


「……あ」

短く声を漏らした奈菜の腹に木剣が深く突き刺さる。

奈菜の口から血が吐き出された。


「これで…終わりだな。楽しかったよ」

里稲は笑いながらそんなことを言うのに対して奈菜は里稲を見つめていた。


「さっきのボクの刀にはね……魔法具のコアとなる部分は刃の先に仕込まれているんだ」

奈菜がそう呟いた瞬間に里稲の背中に激痛が走る。

そちらを振り向くと折れた刀の刃が自分に刺さらないように丁寧に持ちながら、力強く里稲の背中へと美月が突き刺していた。

それは死に至るほど深くない…だが、それで十分だった。


「なくなるのは魔力。

魔力は回復するものだから一時的なものではあるけど、魔力の枯渇は最低でも動けなくなる…ひどい場合でも気絶。

つまり、終わりだね。里稲ちゃん」

奈菜が笑いながら、それを言うと同時、里稲は全身から力が抜け…倒れた。


─ ─


心の中で…ある馬鹿野郎が叫んでいた。


≪うおおおおおおッ!!? これ私が貯めた600年程度の魔力の比じゃないよ!!

二倍? いや三倍かな? 徹夜くんに魔力を使わせて、魔力を再びため込む。その結果元よりも格段に多い魔力を手に入れたんだよ! いやはや、これはうれしいのう。

…嬉しいのう!≫

そんな叫びを俺は無視することにした。


その目の前ではじょじょに放出される魔力は減っていった。

そして勢いも衰えていく。

俺の姿は魔力を吸収している間にも体は闇のせいでボロボロになっていき全身血だらけで、体がフワフワしてなんかマジでやばい気がしてきた。


≪徹夜くん、ラストスパートだ!≫

無駄にテンションの高いリヤナさんの声どおり、さらに魔力を食らっていく。

魔力を吸うのは俺の役目で、吸った後の魔力をうまくコントロールするのはリヤナさん。以前に魔神の一撃を吸収したら、俺は異様なほどのダメージを食らった。

なので、それを防ぐためにリヤナさんに協力してもらってるわけだ。


「…これで終わり、だな」

そう俺が呟いた瞬間。

その瞬間に空高く昇っていた紫色の柱が砕け散り、真くんがゆっくりと降りてくる。俺は動きはのろいが、闇から布を取り出した。


今のまま受け止めると、真くんを俺の血で汚してしまいそうだ。

広げた布へと真くんが降りてきて…俺はゆっくりと受け止めた。真くんは……スヤスヤと綺麗に寝息を立てている。


「…疲れたな、マジで」

でも、これで終わりだ。


そのあとは…少なくとも俺にとっては楽だった。

元々一番苦労するやつらと戦っていたのは俺たちなので、特に何かしてほしいと言われることもない。

雑魚バージョンの堕勇は要とタベによって綺麗に駆逐され、ジパングの兵士などは何故か来た魔族達がどうにかしたらしい。

ジパングの王はニィが一瞬の内に三桁を越えるほどの斬撃を食らわした瞬間に砂になって消えた。

死の恐怖すらない状態で死ねたのだから、まぁラッキーじゃないでしょうかね。


ちなみに里稲は気絶してる間に魔力封じの枷を改良した魔法具である腕輪がはめられ能力はもちろん魔法も使えない。

当然、取り外しは不可能にしてある。突然いなくなるのも怪しいので学校には出席するようだ。


泰斗はどこかに消え、それを追うために数十人の騎士達が駆り出された。


明は要が報告し、喫茶店に行ってみるとケロッとした様子で仕事をしていたので、同じく腕輪をはめる。

腕輪をはめ続ければ、普通通りに自由に生活していいということでやったらしい。


堕勇たちは支配の魔法をかかっていたものは一応精神的な診断したあと普通に暮らせるらしい。

支配の魔法なんてない者は、基本少しは狂ってるのでどうにかするらしい…方法はしらん。


グレモアと葵は全然、わからない。


そして…

俺たちは普通の人間と共に、普通の様子で授業を受けていた。

だが、完全に可笑しい。

これは堕勇との戦いから三日後であるのだが…要は普通で、腕輪をつけている里稲は不機嫌そうにしているのだが…


菜奈はくんでいる自分の両腕に顔を埋める形で、美月は姿勢良く座ってはいるが顔はコクコクと一定のリズムで動いている。

和馬は自分の手の上に頬をのせ目をつむっており、瑞穂は頭が後ろへと傾き見上げる形でいびきをかいている。

そして、俺は持参の枕に顔を沈めていた。

不機嫌そうな里稲も含め色々な姿勢で寝ている面々の体には包帯が巻かれており、瑞穂は松葉杖まで机に立て掛けてある。

今は忙しい状態であり、ほとんどが魔力が残っていなかったので治療ができなかったのだ。


それを見た普通の生徒は、ただ不思議そうに……そして、興味ありげに見つめることしかできなかった。

それを気にするような面々ではないのは、当然のことだろう。

当然俺もである…気にするようでは、枕など持参しない。


そんなことは置いといて落ちが見つからない……ま、最後までこんな感じだ。


もう色々と疲れた。

次は番外編です。あと少しの短い間宜しくお願いします。



誤字・脱字があればご報告よろしくお願いします。

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