115話 サブタイトル思いつかん
やっと、最終決戦
「……」
城のある一部の通路を通りながら、奈菜が城の窓から外を見た。
「そろそろ、いいかな…ああ、恥ずかしい一人で何変なこと呟いてるんだろ」
奈菜が一人でそんな事をブツブツといいながら、ポケットから封筒から文字が書かれた紙……つまり手紙のようなモノを取り出すと、それを折りたたみ始める。
最終的には誰もが知っているであろう紙飛行機。
奈菜はテキトーな鼻歌を歌いながら掌を開くと光と共に何かが現れた。
まあ何か、と書いたのはどう表せば良いのかわかrないし、名称があるのかもわからないので何かとしか言いようがないのだが。
奈菜はとりあえずソレで紙飛行機の紙の胴体を挟む。
窓を開けて、それを外へと軽い力加減で投げると、その何か…小さな魔法具が風を発生させ、紙飛行機を空高く舞い上げる。
「…ま、これでいいでしょ。さて、やる事やらなきゃね」
─ ─
これはカントクと話をした後。
ケータイにかけてきた栞さんの半紙を聞くに真くんは風などの普通のモノで熱が出ているわけではなく、このままでは治らない。
魔法での対処が必要だが、少し用意しなければならない…ということでカントクにお願いしてみました。
そんな対処が必要な状況になっている子供が俺の家に何故居るのか、などと聞かれてしまったのだが俺自身わからないので答えることは出来なかった。
「…つまり、どういうこと?」
「真くんの体は異常はなくて…魔力に似た変なエネルギーみたいなものが体にたまっていって…体に異常がでてるっていう事。
そのエネルギーっていうのが、私にもよくわからないんだけどね」
「ふへぇ~」
何ソレ、どういう事?
「…なんで、そんなモノが真くんに集まってきているんだ?」
「……わからないけど」
俺の質問に栞は少し黙りながら答える。
ちなみに俺と栞は移動中…周りには案内のための神官が一人と騎士が二人。
俺はいつも通りだが、栞は杖(伸ばした状態)を持ち俺の横にしっかりと平行するように歩いているわけである。
「真くんのは私の魔法じゃ、無理だけど…魔法具を特定の魔法陣に決められた配置で設置しておけば、たぶん大丈夫なはず。
…で、私はどこで何をすれば良いの?」
「治療だってさ」
「治療?」
案内され1つの部屋へと辿り着き、神官が扉を開けると……光るラインで書かれた魔法陣とその周りでブツブツと呪文らしきものを呟きながら神官たちが立っており、その神官と魔法陣の中心には祭壇のような場所に乗せられ、苦しんでいる要が居た。
要は唇を自分で噛み切り血が流れるほど、歯を食いしばり…辛そうに息を吐きながら、こちらをチラリと見るが、次の瞬間にはセキとともに口から血を吐き、何もいう事ができず激痛に耐えている。
「彼女は…この都市に充満しているというモノを吸い込んだんですか?」
「その源となった場所に確認するために行ったので…おそらくは」
「…じゃあ、『魔力虫』ですね」
栞の質問に答えた神官。
その言葉を聞くと、すぐに栞は『なんとかサイト』とかいきなり言い出した。
「…あんだって?」
「魔力の虫と書いてマナ・パラサイトです。
おそらく彼女と『蟲女』とかいうヤツとよく戦っていたはずよね…ならば、産み付けられていたとしても可笑しくはありません。
彼女は一応、このときのために本来は勇者全員に植え付けるのが目的だったんですが…彼女はそれほど強くなかったので失敗ばかりでしたね」
言っておくが、栞は栞自身と老人の魔法によって自分の言っていいことは制限されています。
「…これは普通の治療魔法じゃ、治すことは出来ませんね」
栞が杖の先を床にこすると、そこに新たに光のラインが引かれていき今まで光っていた魔法陣を書き換えていく。
「こうやって…こうで、これだよね…うん、大丈夫」
今まで惹かれていた魔法陣をブツブツと呟きながら完成させた。
「これに魔力を流していれば、とりあえず激痛はなくなるけど体はだるいまま……この人を苦しめているヤツは元々魔力の塊でできた虫で彼女の魔力を食べながら体の中を動き、苦しめているわけです。
これを消すには虫の持っている魔力の数倍の魔力で消す必要があるので…おそらく私でしか消すことは出来ないでしょう」
栞の指示に神官たちは、ただ頷くことしかできない。
俺もただ頷く事しかできない。
…いや、俺は特にやることはないんだけどね。
というか、つまりは要の体の中で魔力で出来た虫が動き回っているという事だよね……うわぁ、痛そう、マジで想像しちゃだめだ、これは。
「…できたら、真くんのほうにも色々準備して欲しいんだけど」
「俺がカントクにお願いしとくからメモでもなんでも書いてくれれば、俺がやっとくよ」
「わかった」
そんなこんなで、こんなそんな(省略)
とりあえずは俺はその場から離れ一旦カントクの元に戻り、メモを見せるとすぐに用意してくれて俺が一人で闇で運び、真くんが寝ている部屋…城の部屋の1つにメモを見ながら、色々と作業していく。
なんかつくり方を見ながら、ベッドとか作ったりしている気分だ。
闇の中から色々と取り出して設置していたのだが、その時に混ざって誰だかわからない少女から渡された(強引)本が闇から取り出された。
「…ぬぅ、テツ兄?」
「ういっす、真くん…疲れているんだったら、そのまま寝てなさいな」
うっすらと目を開けた真くんが、こちらを見ている…と思う。
…うっすらとしか目を開けていないので正直、わからない。
「ここ、どこ?」
「さぁ?」
隠す必要はない、なんとなくだ。
そんな事をいいながら俺は栞にもらったメモどおりに完璧に魔法陣の上での魔法具の配置も全て完成した。
さすが俺だ…という自画自賛は忘れない。
「テツ兄」
「ん~?」
「…ゲーム、したい」
「我慢な」
体は疲れてダル~ンとしている真くんは、そんな状況でもゲームなんて言ってるので俺は一言で一蹴した。
ホント、ゲームに耐性無い方は…。
そんなこんなで俺は真くんを寝かせようとしているとパチン…という音が聞こえ、そちらが気になり、振り向くと今まで開かないように魔法でロックされていた本が開いている。
ふむ…暇潰しにゃあ、丁度いいな。
まあ、厚くはないし…すぐに読み終わることは可能だな。
─ ─
徹夜は真くんの世話をしているので、ちゃんとした仕事をしているわけではないが…他のメンバーはキッチリカッチリ仕事をしていた。
治療されて動けるようになった兵士や貴族、もともと感染していなかった者達は感染しないように魔法をかけられ、慌しく動いていた。
そして、その都市の周りを覆う壁は扉が閉まり、防御魔法が完璧な状態にされていた。
いくつかあるその扉…その内、三つの扉の前に、それぞれ一人ずつの人影が存在していた。
その人影は懐から1つのナイフを取り出す。
……それは誰かが、自分の義理の妹関連で老人に渡した特別なナイフだったりもする。
そのナイフを扉へと向けて突き出す。
本来ただのナイフならば扉自体の硬さ、そして魔法により弾かれていたはずだ…だが、そのナイフはすんなりと扉、そして防御魔法を貫いた。
すると、すぐさま三人全員がナイフに魔力を流し上へと振り抜くと…いくつもの防御魔法が混ざり、全てを弾くと言われている半球状の結界のようなものが切り裂かれ、消え去った。
扉の前にいる三人の内の一人…美咲の後ろに老人が一人、いつの間にか立っている。
「…さて、行くぞ。壁を砕け、美咲」
「…」
老人の命令で、次の瞬間には狼の姿になった美咲。
その空気を震わす叫びが広範囲によって都市を覆っていた壁が吹き飛び、粉々に砕け散った。
それと共に、都市の周りにはさまざまな場所に光と共に、空にはいくつもの飛行艇…そして地面の上にはジパングの大量の兵士達が立っていた。
雑魚バージョンの者も含め堕勇は強大な魔力を持っている…それにより、一斉に大勢の兵士や兵器を送り込んできた。
「さて、準備も整った。邪魔な結界も消し去った……では、始まるのぉ」
老人がニヤリと笑った瞬間に、都市の真ん中に存在している城の一部が吹き飛び、そこから紫色の光の柱が雲を貫くほどの高さまで昇っていった。
「あそこへ向かえ」
老人が一回跳んで狼の上に乗ると、狼は老人を睨みながらもすぐに命令通りに光の柱が立っている場所へと向けて、走り出した。
─ そして、場所は戻り… ─
「……」
俺は呆然として何も喋らずに、その光景を見ていた。
俺の体の上に乗っていた瓦礫をどかし……目の前の光の柱を俺は、ただジッと見つめているのだ。
「……なんだ、何が起こった?」
俺は誰にも反応されるわけが無いのに、そんな事を呟いてしまったが目の前の状況で本を流し読みで(つまらなかったので流し読み)読んでいたのだが、いきなり光ったと思ったら爆発がすぐ近くで起こったのだ。
「……なんで、真くん光ってるんですか?」
紫色の光の柱を生み出していたのは真くんだった。
なんか最後は決まって大人数の戦争スタイル。
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