108話 ふひひ
サブタイトルは特に意味なし。
一日交互に書き溜めと、この小説を一話ずつ書いてるのでマジ疲れ気味。
しかも風邪気味なのも混ざってます。
「ほぉ…始まったの」
「…なにがですか?」
老いぼれの言葉に明が質問で返した。
それに相当ウザイことに老人はニヤニヤとしながら、明を見る。明は明でそれに特に何も反応しないので、余計に調子に乗る老いぼれだ。
ときどき『老いぼれ』か『老人』か統一したほうがいい気もするが……まぁ、良いだろ。
「ワシはあの魔剣を利用したいわけだが…アレが持っている自我はワシにとって都合の良いものではない」
「はぁ…」
じいさん(新しい呼び方)の言葉に明がテキトーな返事をしているが、老人はあまり気にせずにドヤ顔のまま話をしている。
ちなみに、ここはどこかはわからないが1つの部屋で、水晶に徹夜が居る部屋を映し出し、見ている……その水晶映る映像は老人が使う人形が映し出しているわけだ。
老人の後ろには、明がおり、そしてそこには葵も居るわけだ。
葵の後ろには元々は自分で勝手に動いていたであろう魔剣が転がっているが、剣に戻った姿の魔剣は見事に真っ二つに切り裂かれ、使い物にはならないものへと変わっていた。
「だが、自我を壊そうにもワシが簡単に壊せるようなものではないことは、あの資料を一通り見た時に気づいていたのでな。
だから、あの女の光属性の魔力を利用することにしたんじゃ…魔剣はアレを操れば、あの女の魔力を吸収する可能性もあったのでな」
「ほうほう」
本当にテキトーだ。
「…テキトーじゃな、明」
「いえ、そんなことはありません」
「まあ、いい…説明に戻るぞ?」
お爺さん戦わないから、ただのクソうざい説明役になっちゃってるよ。
「どうぞ、お続けください」
「むぅ…あの魔剣は光を苦手とする魔族の王が作ったものだ。
しかもこの世界の魔族の王は神の力にも匹敵するらしいからの…さすがにワシの魔法でも自我を殺しきることは不可能だろう。
ならば、あの女の持っている光属性の魔力とワシの魔法をあわせ…相手の気づかぬ間に自我を壊しにかかっていたわけじゃ」
「あ~、そうですか」
「この頃、葵以外のメンバーにキツク当たられている気がする……まぁ、そのメンバーでも明はまだしてこなかったのに、この頃ひどいのぉ」
「私が反対したのに、元の世界で暴れたからです」
「……すみません」
この老人の立ち位置が、本当に弱くなっている木がするのは気のせいだろうか? いや、これは気のせいではないだろう。
自分の部下であるはずの人間に謝罪の言葉を言っている時点で、色々と終わっているのは誰でもわかることである。
─ ─
「フッ!!」
「ちょ、やめッ!!? 奈菜ちゃん、ウチはちょっと抱きついただけやん!」
「タイミングが最悪なときにね! ボクが魔剣の掃除をしていて時にね……おかげで、ボクの前髪少し切れたんだけど? 切られたせいで髪の毛がパッツンパッツンなんだけど?」
キレ気味の奈菜の前髪は、本来の物とはちがく横に一線に切りそろえられている。
本来の髪形に合わした前髪がパッツンパッツンになっているせいで、やはりどこか不恰好で徹夜が見たら同情すると共に少し笑って…いや、大爆笑していたであろう。
少しメタが混じるが…たぶん徹夜は、この小説の中では一番髪型を気にしていると思う。髪の毛を解くか解かないかでのコンプレックス上の問題で、髪形を気にしない日はほぼ無い。
「あははははははッ!! 避けないで楓…楓の髪の毛をちゃんとこの槍で穴だらけにしてあげるからさァ!!」
ちなみに、使ってる武器は奈菜が持っているモノでもトップの破壊力に入る十字の形をした槍であったりする。
魔剣相手には建物の心配をしていたのに、楓相手には心配をしないこの矛盾。
「穴だらけは嫌! 本当に嫌!」
エセ関西弁少女…エセ関西弁、忘れる!
「死ねェェ!!」
「結構、マジな一撃きたッ!?」
奈菜の叫び声と共に放たれた光の一撃を、相当の量の魔力を溜め込んだ両手で受け止めるが吹き飛ばされた楓。
吹き飛ばされ壁に背中から激突した楓はこめかみ辺りに青筋が浮かぶと共に、手を振る。
「くらえ、ボケェェ!!」
「っ!!」
その瞬間に、一瞬で出した『重の大剣』で防御した奈菜が、見えない何かに吹き飛ばされた。
立ち上がり奈菜を見ている楓と、吹き飛ばされたが魔法具を使い勢いを殺し、壁に激突する前に完全に静止した。
「……」
「……」
完全に黙って、静かに睨みあう二人。
「…逆ギレかな、楓?」
「いいじゃん…じゃなくて、ええやん! ちゃんとウチがきっちり切り直して上げるからさ! ちゃんと直しとけば問題ないやろ!」
エセ関西弁と普通の言葉が混ざってます。
「ボクは……今、ここで、絶対に、楓の髪の毛をズタボロにしたいんだッ!!」
「めっちゃ根に持っておられる!」
そんなこんなで再び攻撃のために楓は自分の手に、菜奈は自分が持つ槍に魔力を込め急接近する。
お互いの攻撃がぶつかり合う瞬間、二人とも驚きの表情へと変わった。
楓と菜奈の相当な威力であろう攻撃を、一人の幼い女の子が二人の攻撃をそれぞれ片手ずつで受け止めていたからだ。
「やはり、兄様ではありませんでしたか…あの愚弟に任せなくてよかった」
その幼女ことイリルが、それを呟く前に菜奈も楓も距離をとった。
改めて武器を構え直す菜奈と再び魔力を手に込める楓。
二人にとっていつのまにか現れた女の子の言っていることは分からないが、攻撃を楽々と受け止めた時点でただの女の子ではないことは確定だ。
「ああ、待ってください…二人とも警戒しなくても良いですよ。
私はただ、確認しに来ただけですから」
「「……」」
「むう…言って信じるものではありませんかね?」
頭をポリポリと書きながら、そんなことを言うイリルさん。
それにたいして、菜奈は徹夜から聞いた話を必死に思い出そうとしている。
たしか、この世界には異様なほど強い竜がおり、それが人の姿に変化すると幼い女の子ではなかったか。
そして、その女の子にはバカで阿呆な弟がおり、女の子自身その弟を愚弟と読んでいるのではなかったか…等だ。
「…竜王女さんとやら?」
「おろ? 私を知っているんですか? まあ、名前だけは大きく知られてますが、あなたは一度も私の視界に写ったことはないと思うのですが…」
視界に写った顔は全部覚えているのか、この幼女は!?
「…いや、徹夜くんから特徴だけ聞きました」
「ほお、徹夜くんですか。
元気にしてますかね? あれ、というか徹夜くんは帰ったはずですよね? なんで…」
「ウチがついていけてない!!」
イリルの言葉を遮って、楓が叫んだ。
「ああ、そうでした。私もちゃんとした目的があってきたんでした。
…徹夜くんの話はまたあとにおいといて、あなたに会いに来たんです」
「え……ウチ?」
「ええ、力の質とか色々なことが懐かしい…それは私の兄の力です。
何故あなたがそれを使えるのか、わかりませんが…人が得て喜ぶような力でもありません」
強力な力を得て喜ぶような人間も居るには居るが、楓はそうではない。
それを知っていないイリルは、楓に向けて深く頭を下げた。
「申し訳ありません。
…私たちが去ったあとの兄の体の事などを考えもせずにいってしまい、迷惑をかけたでしょう」
「…いやいや、あなたにとっては基本関係ないことでしょ。
そんな頭を下げなくても…まあ、この力を得て喜んだことは一切ないけど、実際あって損したことはないし逆に得はしまくったけど……」
損はしてないんです。
だが、楓にもっての問題は人に近くない力を得てしまったことだ。
というか、エセ関西弁は忘れられてるね。
「私も一応、何年も生きている身…」
「何年生きてる…んや?」
エセ関西弁を思い出した楓。
菜奈の近くにより、そんなことを菜奈に向けて訪ねた。
「徹夜くんも正確には知ってなかったみたいだし、たぶんの話だったけど何千年とかじゃなかったかな? というか、楓がいた世界から来た人たちみたいだし楓の方が歳とかはわかるんじゃ?」
「知らん」
イリルがなんか話している間の菜奈と楓のコソコソ話。
「一時は魔法を学んでみたりし、色々な物を知りました。
その中には私がフルに魔力を使っても数日かかるほどの消費ですが細胞レベルでなにかを別れさせるモノもありましたが……何故か知りませんが、あなたは完全に兄のモノと融合している状態。
たぶん、私がどれだけやっても無意味でしょうね…」
完全に融合しているのは、楓の本来の能力のせいだ。
融合できなければ死ぬ…楓の命を守った能力は、同時に楓を元には戻せなくしたのだ。
「……細胞レベルでなにかを別れさせる魔法、ね」
そして、菜奈は近くにいる楓にも聞こえないほどの声でそんなことを呟いた。
このラルドさんを中心にした物語…あるお方の小説の一部を参考にさせてもらってます。
一応ごめんなさい、と謝っておきます。
誤字・脱字があればご報告ください。
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