105話 状況説明は一言で十分
連日投稿、褒めてくれてかまわないですよ?(-ω-`) ……無視してください。
美月と奈菜を飛ばしたそれぞれの魔法陣が消え、ラルチが落ちた穴にはふたたび蓋ができ元々の綺麗な床へと戻っていた。
俺はよくあることではあるが、突然の事過ぎてどうにも反応ができず、少しの間目を見開いて指の先まで固まっていた。
「……」
俺が何か行動に移る前に俺の隣に居る少女の片方の黒い眼が赤へと変わり、ラルチが落ちた穴があった場所が一瞬の内に爆発し、そこに先ほどの穴が現れた。
その穴の先は滑らかな傾斜になっており、上に上がることは難しそうだが真下に落ちたわけではないのでわながない限りラルチは平気だろう。
「……徹夜は先に進んでラルドを助けて…私はラルドの妹を助ける。
……どうせ勇者と新しく加わってた人も心配しなくても良いぐらいには強いんだろうし…ラルドの妹に何かあったらラルドに会うことができなくなる」
「…っと」
そんな事を言ったライルは手に持っていた鞘に収まっている黄金の剣をこちらへと投げ、いきなりだったのでビックリしたが無事にキャッチした俺。
それを確認したライルはすぐさま、その穴へと自ら意思で落ちて行った。
それをつい穴に駆け寄って除いてしまうが、もう既にライルの姿は確認できず真っ暗な一本の道(道というのであっているのであろうか?)が続いている。
「じゃあ、しゃ~ない…行くか」
ライルの行動を無駄にするべきでもないので…なんかライルが死んだみたいな言い方をしてしまっているが、とりあえずライルの意思を無駄にするのは不味いので、歩き出すとしよう。
「道案内が居なくなったし、いつもの方法で行くか」
足元からこの頃良く使っている方法である闇でできたネズミが散っていき、無事に通る事ができ、かつお目当ての道を探し当てようと試みる。
まぁ、ひとつの道に何匹かずつのネズミを通らせてネズミが一匹でもラルドさんの下へと行ければ安全な道と判断して良いだろう。
それに、闇のネズミが一度罠にはまれば、その罠は作動しないだろうしな。
「……それにしても、本当に魔物が居ないな。何故だ?」
闇のネズミで色々と見回っていても、魔物の巣窟であるはずのこのダンジョンには魔物が一匹も存在はしていない。
本当にわからん。
まぁ、元々何かを考えるのはあまり得意ではないので、無駄に魔物が居ないことについて考える必要はないのだろうと俺は自分を納得させておく。
それに、魔物が居ないほうが俺にとっては都合がいい。
「…はぁ、ラルドさんを助けたら何を奢ってもらおうか」
そういえばラルドさんはまだ生きてるのか?
多分、ラルドさんが必要なのは最初の入り口を隠していたヤツと、この明を見たいな道。
つまり、目的の場所についてしまえばあの忌々しい老人にとってのラルドさんの存在価値は消えてしまうのではないだろうか?
「うん、急ごう」
そんな考えがつい思い浮かんでしまったので、俺は急ぐことにした。
「そうえいば、あいつらにも知らせておくか」
アレを思い出してしまったので、一匹の闇の小鳥を今まで自分が通ってきた出口がある方向へと飛ばした。
─ ─
三桁単位の数で、そこには魔物だったモノが存在していた。
その魔剣だったモノが狙っているのは一人の少女。その少女を囲むように存在している魔剣たちだが、その少女に近づこうとしている魔剣に何かがぶつかり、吹き飛ばされた。
「…ホント、油断したぁ~!!」
そんな事をブツブツと呟きながら…面倒なので簡単にぶっちゃけるが、魔剣たちの中心に居る少女は奈菜である。
その両手にはボウガン。
だが、そのボウガンは本来の物とは少し形が変わっており、下に何かを入れている筒状の入れ物があり…そのボウガンからは一瞬の内に何百という矢が飛び出し、魔剣を吹き飛ばしている。
少し話が変わるようだが奈菜は映画に出てくる少し変わった武器が大好きだ。
その奈菜が手に持っているのは『ヴァン・ヘルシ●ング(●を除くだけ名前は正しくなります)』という映画で主人公が使っていたボウガンを見本につくっていたりする。
ただ、それから出てくる矢は小さく魔剣一発では倒せないし魔剣だって避けたり弾いたりもするので…既に撃った矢の数は相手の全体の数よりも多い。
「…く、そっ。蟻んこのようにワラワラと…!!」
奈菜の右手に持っている片方のボウガンの矢が切れた。
その瞬間に飛び出してきた魔剣だったモノをけりで吹き飛ばし、奈菜が引き金ではないボタンを押すと、本来は矢が数百と入っていた筒が勝手に外れた。
その次の瞬間には奈菜のすぐ近くの空中に光と共に、針が満タンに入っている筒が現れる。
そこにむけて奈菜が先程までは筒がついていたボウガンの場所を新しく現れた筒にぶつけると、そのまま勝手に装填された(説明がグジグジウダウダしていてゴメンナサイ)
再び撃ち始める奈菜。
「つあ~ッ!! 腹立つ」
奈菜が広範囲への高い威力の攻撃を放たないのは、ここがそれなりに古い建物の内部で…しかも、古い建物のせいで奈菜の攻撃に耐えられるほど丈夫ではないからだ。
奈菜が現在放っている矢程度なら、壁に突き刺さったりする程度なので問題はないだろう。
そんな奈菜へ後ろから迫っている者が居た。
それに反応して奈菜がボウガンを後ろへと即座に向け、引き金を引く…直前で指を止めた。
「楓…今、何しようとしてた?」
それは楓。
楓は眉間に矢が飛び出してくる場所…つまり銃口を突きつけられ、固まっているが表情はにこやかで、両手は大きく広げスキップでもしていたのか変な感じに足が止まっている。
ちなみに、その間も片方に持ったボウガンからは矢が放たれ魔剣たちを近づけないようにしている。
「は、ハグやけど? あと奈菜ちゃんが驚いていて気づかないであろう隙に頬にキスを……」
「……」
「…ぎょわァ!!?」
次の瞬間には引き金が引かれ、慌ててそれを回避した楓はぐるっ…と体を空中で捻った。
見事にかわせた楓。
そして、かわされた矢はちょうど楓を襲おうとしていた魔剣だったモノに突き刺さり、その反動で吹き飛ばされた。
─ これからの画面変わりは文章は少ないです ─
ラルチの目の前には30匹の魔剣だったモノがいた。
その魔剣だったモノはまだラルチには目を止めておらず、その30匹はラルチが覚えている限りではSランクほどの力を持つ魔物によってたかって襲い掛かっており、その魔物はソレに耐える事ができず今にも死にそうになっていた。
「……これが、このダンジョンに魔物が少ない現状をつくっている理由ですか」
ボソリと呟いたラルチだが、その顔には焦りが浮かんでいる。
ラルチは勇者御一行として旅にでた実力は持っているが、実際チームの中では一番弱かった…しかも、今の相手は30匹も居り、数で押していたとは言えSランクを倒すほどの実力の集団を相手にすれば勝てるはずがないのだ。
「…出口、は」
周りに出口がないかを捜すが、先ほど自分が落ちてきた天井の穴以外に見つけることはできない。
魔物を30匹全員が集中してズタズタにしていた魔剣たちだが…ラルチを一匹が見つめた。
「……っ!!」
クナイを構えたラルチだが、次の瞬間には魔剣だったモノが迫り、その片方の手に生えている剣がラルチへと迫る。
「ふっ!!」
その剣をクナイで弾く。
その剣にどんな能力が分からない状況での戦いなので、ラルチは刃に触れないようにうまく側面を叩いて上に弾きあげたのだが、その剣を弾いたクナイが真っ二つに切断された。
そして、魔剣だったモノは上に弾きあげられた剣を(腕に生えているので弾かれて遠くに飛ぶことはないよ)そのまま振り下げた。
「ッ!!?」
クナイを新しく取り出しながらラルチは慌てて後ろへ下がる。
だが、次の瞬間にラルチの肩から血が飛び散った…その肩には鋭い切り傷がいつのまにか出来ていた。
徹夜などになると無駄に強力な能力で押し通せるが、普通の人にとっては魔剣相手に能力を知らないだけでも相当不利な状況へと追いやられる。
それに驚き、それでもクナイを構えるラルチだが…それに向けて魔剣だったモノの剣が迫る。
「…ギリ、ギリだった!!」
その瞬間に、魔剣だったモノの上にある天井の穴から飛び降りてきたライルの蹴りが脳天を貫くように繰り出され、魔剣だったモノを大きく吹き飛ばした。
─ ─
「あ~…着いた着いた。
でも、これはなかなか面倒な状況になってるんじゃね?」
俺は1つの広い部屋へと到着していた。
そのだだ広い部屋の床には魔法陣が描かれているが、その魔法陣を構成する線には魔力も何も感じない…完全に機能していない状態なわけだ。
そして、その魔法陣の中心には一本の剣が刺さっている。
その剣はある人間の手によって、重さを感じられないすんなりとした動作で抜かれていった。
「本当にダルイかも…というか、コレはない。定番ではあるけどさ、この展開は俺にとって絶対にあってはならないもので、本当にやめて欲しかった」
その剣を抜いた人物は、金髪で整っていて綺麗な顔…そして今は無表情で何も感情のつかめない瞳をしているが、普段ならば凛としてカッコイイであろう雰囲気を纏っていた人物。
そして、俺にとって…この世界での一番の天敵。
「ラルドさん相手にするとかマジないわぁ…」
この一言で状況を説明するのには十分である。
美月ちゃんだけ、出ていないッ!!?
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