101話 主人公、少女を拉致る!
今は中心に置かれているラルドさんですがFateのセイバーさんに性格はともかく「エクスカリバー」「女性」「金髪」というとこが同じという『完全、ソレをイメージしただろ』と思われても仕方ないことになっていますが……初めてFateを知ってアニメを見たのは第三章が始まってからだったりします(アニメしか見ておりません)
「つまり、あのクソ老人にラルドさんはライルを逃がして自分は捕まった…と」
ライルから説明され、黄金の剣(なんと忌々しい見た目と力をしている事か…)を眺めながら俺は微妙に眉間にしわをよせながらそんな事を呟いた。
ライルは丁度回復を行える者が居なかったので包帯を巻いていたのだが、今は美月が治療魔法で傷を治している。
俺的には、この世界のある一部を除いた実力者でリーシやラルドさんは勇者とほぼ同じ程度の実力を持っているので俺は最初信じられなかったのだが、相手には刀という武器を持った少女と変な音を出しながら刃が回っているカラクリを振り回す侍女を相手に戦ったと聞いて、さすがにしょうがないと思った。
「ラルドさんも心配だけど…これじゃあ場所の手がかりもないし、上手く先にやられた感があるね」
「…まあな」
美月の言葉に、俺は短く返す。
奈菜は…やはり俺達が知り合いで自分は知り合いじゃないという感じの気まずさがあるのか、じっと黙ってこちらの会話を見ている。
「……たぶん、少しの間は大丈夫」
「…ん? なんでだ?」
ライルの言葉に俺は質問で返した。
結構あった傷の上半身にあったほうを美月は最初に直しており、腕の調子を確かめたりしている。
「……あのうざったい笑みのを浮かべていた老人が言っていたけど、場所以外にも色々とやってもらうことがあるから傷は付けたくない、だから大人しく捕まってくれ…みたいなことを言ってた」
「ふむ…じゃあ、死んでは無いだろうな」
ある意味ホッとしたが、やはり今の状況は安心できるものではないな。
「じゃあ、どうするかだな…」
こういう時にはどうするべきだろうか。
ラルドさんしか場所は場所は知らないらしいし、やはりライルに場所を教えてもらってそこから闇を周りに偵察に出して捜すべきか…。
いや、それだと絶対に間に合わないな。
「…そのラルドっていう女性以外に、その家系の人とか居ないの?」
奈菜が久しぶりに喋った。
この頃…というよりも、この世界にはいってからの奈菜はやはり黙っていて本当に静か。マジで静か過ぎて、俺としてはずっとそのままでは良いのではないかと思う。
その言葉に俺と美月は少し考える。
ラルドさんと一緒に旅はしたものの、ラルドさんに家の事は俺には関係ないと思ったので聞かなかったし、ラルドさん自身あまり話さなかった。
唯一、話した事と言えば……。
「「………あ」」
俺と美月も短い声が出た。
俺が知ってるのはラルドさんから聞いたことなのだが、美月まで知ってるとは思わなかった。
「ラルドさんには妹が居るんだよ」
「元だけど私の仲間なんだ。ラルチっていうんだけどね」
そう、あの俺を睨むことを絶やさないラルチである。
「なんで美月は知ってるんだ?」
「ラルチに家族の事聞いたときに、教えてもらったんだ」
へぇ~(聞いたのはいいものの別に反応に困ったりはしていない)
「あれ? でもさ、ラルチって基本どこに居るんだ?」
「いや、日常での職はサラスムの侍女なんだからサラスム王都の城に居るでしょ…普通に考えて」
「あ、明みたいにメイド服きてなかったから俺忘れてたけど、いつもは侍女なんだっけ?」
「…忘れないでよ」
美月が静かにそんな事を言ったが、とりあえずは行動に移すべきだな。
ここは、それなりにサラスムよりは遠くないはずなので本気のスピードで飛べば問題なくサラスムの城に着くことは可能だと思う。
そしてサラスムは大国という名に恥じないほどの緩い警備だ(ここは恥じるべき)
ラルチを拉致ることは意外と容易い。
「よし、ぱっぱと行こうか」
まだ足の治療が終わっていないライルを背中に乗せるとライルはしっかりと腕でロックして落ちないようにしていた。
ちなみにギルドからは既に撤退していたりする。
……無駄に視線が集まるのでね。
そして、俺の足元から広がった闇が俺と美月、奈菜、そしてライルを包み翼が生えると空高く飛び上がった。
この頃は使わなかったが、この世界に居たときにはめっちゃ使いまくっていた闇で竜などの翼がある生き物を作り、それに乗っての俺だけが苦労する楽な移動方法だ。
─ 道中をカット!(一気に飛びます) ─
そこはサラスムの王城である。
その中には兵士や騎士、侍女やお偉いさんまでが色々な場所で働いており、目的の少女は侍女としての仕事である床の掃除をしていた。
(運のよいことに少女以外誰もいない)
「…何故か見られてる気がするんですよね」
首を傾げながらそんな事を言った少女……つまりラルチであるが、天井にはりついている俺には気づかないだろう(これは完全にホラー)
ふざけてメイクで目を血走らせて、口からヨダレをダラダラと垂らしていればホラー……というよりも前に、俺に向けられる他の人の目に込められるであろう感情が変わるな。
社会的な意味で簡単に死ぬな。
そして、俺も立ち直れないな。
「どこからの視線でしょうか? ……上だったり?」
うおっ!? 危ない。
まさか上を見られるとは思わなかった咄嗟に、どうにか発見されないようにラルチの後ろ側の壁へと飛び着地し、すぐにラルチが元の視線にもどしたので、俺も再び天井に張り付く。
「……(なんで俺は、急がなきゃいけないのにこんな遊びをしているんだ?)」
そんな感じで作戦実行!
「ハロぉ…らルちチャぁぁン」
いきなりラルチの目の前にあらわれ、その肩をガシリと掴む。
「きゃあa…」
悲鳴をあげる間もなく俺がラルチを闇の中へと引きずり込んだ。
闇をとおっていく場所はミツキ達が待機している場所であるので乱心(いきなり変な事されるラルチにとっては仕方が無い)するであろうラルチも美月が落ち着かせてくれるだろう。
あれ? なんか、こんな感じの事しちゃったけど……俺、既にもう終わってね?
サブタイトルは正真正銘の事実でした。
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