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俺は闇、幼馴染みは光の勇者様  作者: 焼き芋(ちーず味)
第三章 セカンドワールド 堕勇と勇者の戦争
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95話 何で来たし

前回の話で「嫌いに整っている顔」となっていたのですが「綺麗に整っている顔」でした。

一応報告です。

「……あなたは、勇者なんですか?」

向かいの牢屋の中から聞こえたその声。

その声に俺は若干苦笑いを浮かべながら、返答した・


「…まぁ、呼ばれたくないけど呼ばれてるよ。

正直恥ずかしいやん」


「……?」


「なんでもない忘れてくれ」

牢屋の中から「わけが分からないよ」というような雰囲気が漂ってきたので即座にそんな事を言う俺。

この世界では「勇者」とか「魔法使い(というよりも魔術師)」は普通だからな。

でも、魔法使いは故郷の世界でもあるよね。

あれでしょ? 30歳まで何かを守り続ければ良いんでしょ? 誰から守るんだっけか。えっと…うんと、青いツナギを着てる阿部さんあたりからだったよね? うぬ、そうだったはずだ。


何ソレ怖い。


「…ここから脱出手段なんてありますか?」


「なくはないが、ありもしない」


「……」


「今脱出したとしても、また堕勇さんの集団にリンチされるだけだし今俺はこの枷で魔力を封じられててさ…俺自身じゃあ、能力は使えないわけよ」

一応、闇は魔力がガソリン代わりでしてね。


「さっきから気になってるんですが…『俺』と言っていますが、あなたの場合『私』ではないんですか?」


「は? 俺見ての通り男だけど?」

あ、髪の毛纏めてないから見た目は……ああ、そういう事か。


「……冗談が上手いですね」


「いや、冗談じゃねぇし。さっきのは失言、こう見えても男だから」

俺は枷をはめられているので両手を頭の後ろにもって行くようにして髪の毛を手で後ろに纏めてみる。

髪の毛を纏める物がほしいです。

向かいの牢屋では驚いたように短い声が響いてきた。


「…これは驚くべき現象です。世界の七不思議に入ります」


「いや、そこまで言わなくても…」

ここまで言われたのは初めてだよ……。


「少し話を戻しますが、もしここから脱出した場合は私も……いえ、他の牢屋に捕まってる方たちも合わせて私達も出してくれますかね?」


「俺が損することはないし、別に良いけど?

そういえば、こんな話を大声でしているけど当然見張りの方もいるわけだが…いいのか?」


「別にかまいません。

自分の家族と自分の命の事を考えて表面上では私たちを監視はしていますが…この方達はこちら側の人間ですので脱出したときに全員気絶させておけば問題はないでしょう」

俺の問いに答える向かいの牢屋の住人(住人と呼んで良いのか?)の言葉を聞いているであろう牢屋を監視している方は特に表情を変えることなく立っている。

こちら側の人間、そして二つあった勢力…つまり俺と話している人や他の牢屋に入れられている人も、敗北した勢力の人間なのだろう。


「私達は後数日で処刑予定なのですが、丁度その時にあなたが来ました。

脱出する手段も持っているようなのでこちらにとってはどうにかあなたに助けてもらい、それからは私達の目的で行動させていただこうと思っています。

かまいませんよね?」


「別にええよ」

俺的には脱出した数が多いほど、俺のほうに来る堕勇やらの数は減るわけだ。

正直、思ってることがひどいと思うが俺も面倒なのはいやなのである。


「そういえばお名前は?」


「俺は景山 徹夜。こっちの言い方で言うとテツヤ カゲヤマかな」


「私はイブキです。

一応、この国に居るある方の護衛をしていた者です」

説明し忘れていたが牢屋のある地下は、あまり明かりが無く影で牢屋の住人……イブキの顔が見えていなかったのだが、イブキが前に出るとその姿が完全に見えた。

声で大体分かっていたが、やはりあまり歳の変わらない女の子のようだ。



そんな感じで話をしていると足音が響いてきて、俺とイブキは黙って歩いて来た人物を見つめた。

それはなんとも懐かしい事か…腰に刀を下げている少年だった。

ちょっと会いたくない人に会った……だって、結構前だけどこの人の事殴り飛ばしちゃったんだもん。


「久しぶりだな…景山 徹夜?」

なんで疑問系だし。

まぁ、この見た目なら仕方が無いんだろうけどさ。


「お、お久しぶりです。泰斗さん」

なんか敬語になっちゃうわ。


「…? なんだ、その喋り方?」


「なんでもない」

ちょっと恥ずかしい。


「おい堕勇! アキ様はどこに居る!?」

その瞬間に大声で叫んだのはイブキである。


イブキって名前かっこいいな…やばい俺もそんな名前がよかった。いや、だってさ『徹夜が徹夜をしました』ていうギャグ受けねぇんだもん(受けるわけが無い)

いや、ギャグにする事もおかしいし親につけてもらった名前を馬鹿にするのはよくない。

もうこんなことは考えないでおこう。


「……あいにく俺が人質としてあの王に言ったわけだが…本来あの命令は無くてな。

勝手なことしかわりに俺ではなくクソメイドに預けられたよ……無駄に面倒な事になった」


「…っ。では、アキ様は今どうしてるのですか?」


「……まぁ、一応メイドだから世話の面では心配しなくても良い。

そんな事はどうでも良い。今回はなんとなくとらわれた誰かさんを見に来ただけだ」


「いや、俺なんかの様子を見に来てくれるだなんで嬉しいね。

丁度良いから、髪をとめるものをくれ」

プリーズ、といわんばかりに両手を差し出す俺に泰斗さんは少し困ったような顔をしたが、ポケットをごそごそとし始め探し出し、八つ目のポケット(凄い量が多い服だった)で何のために使おうとしていたのか分からないが紐を取り出し渡してきたので、それで髪の毛を縛った。


「ちなみに、これは何に使おうとしていた紐?」


「何かに使うわけじゃなくて何かを入れた袋に使っていた紐だな。

別に特別な物ではない」


「ふぅん」

よし、完璧にいつもの俺。


「ま、ただ見るだけだし…もう帰らせていただこう。

本来ならお前は知らないだろうが少しお礼をさせていただきたいものだが、あの老いぼれに手出し無用といわれてる……残念だ」

お礼って何!? マジ怖いわ、この若者は。

ビビッている俺を無視して泰斗さんは勝手にどこかへと消えていく。おい、お前は何でここに来た。


いやマジで何で来たし。





 ─  ─


説明不足で分からないだろうが王都の周りには森がある。

そこには何人もの兵士や騎士達が隠れるように居り、その先頭に奈菜と美月、あとは少し服の雰囲気が違う一人の男が立っていた。

その男はこの国の貴族の一人。

貴族の中でも位は高く、この国に必要不可欠な存在でもある男なのだが……この男、今は敗北した勢力のリーダーであるナツメを一番手助けしていた男でもある。


「今回はお互いに利用し合おうってことで宜しくお願いしますね」


「ああ、宜しく」

奈菜の言葉に男も頷く。

この男の目的は処刑されそうな仲間を助けるのとリーダーであったナツメが大事にしていた妹…そして数年前に死んだある女性の娘であるアキを助け出すというものだった。


ここには『フォルテ』からいくつもの転移魔法陣で転移させられてきた兵士と騎士の他に、その男の私兵でもある者達も混ざっている。

ここは『ジパング』の王都の4つある内の門の1つだが、他の門の前にも勇者と兵士達は待機しており、奈菜達が居る所では貴族の男の私兵が居る分『フォルテ』の兵士達は他と比べれば少ない数だ。


「あと数分の内に開けないとね」


「私があける」

今までずっと黙っていた美月が始めて口を開いた。


「……わかったよ、美月ちゃん。

ボク達の攻撃が他の部隊の攻撃合図でもあるからさ…できるだけ派手に思いっきり音を立ててやっちゃってよ」


「わかった」

美月は短く返し、門の前へと歩き出す。

門の前や王都を守る分厚い壁の上には当然のように兵士が居り、その兵士達は突然森の中から現れた少女を見て少女一人で旅でもしているのかと疑問に思う。

そう疑問に思った兵士は美月に向かって話しかけるが、美月は特に何も答えず剣を抜いた。

それに驚いた表情になった兵士は斬りかかられると思い慌てて自分の剣を抜くが、それでさえも美月は気にしていなかった。


「……『光の剣ライトソード』展開」

美月が剣を振るうとその軌道にそって光の剣が現れ、その剣がいくつもの剣へと分裂し空中に規則正しく、そしてこれまで美月が出現させた量の中で一番多いであろう数の光の剣が並んでいた。

その目の前に広がる光の剣の大群に驚く兵士達。



「行け!!」

美月が短い言葉を発した瞬間にいくつもの光の剣が放たれ、門だけでなく分厚い壁でさえも轟音と共に切り裂いた。

美月さんマジギレ中「千本桜 かげよsi…なんでもないです」



番外編アイディアを活動報告「俺闇番外編予定なんちゃら」にて募集中。

何回でもアイディアを出してくださって構いません。

誤字・脱字があれば御報告宜しくお願いします

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