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俺は闇、幼馴染みは光の勇者様  作者: 焼き芋(ちーず味)
第三章 セカンドワールド 堕勇と勇者の戦争
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90話 眼帯の男あらわる!

サブタイトルのは…も、もしや…(゜д゜)


俺の夏休みは9/2までなので、あと一話は行けるかもしれません。

爆発の跡は数㍍ほど下に抉られた地面。

そして、崩れていった家……その周りを囲むように高さは5㍍厚さは1㍍ほどもある金属の壁が、その爆発を抑えるように地面から生えていた。

その壁には爆発の影響で凹んでいたり、本来壁の硬さならば刺さるはずの無い金属の破片などが無数に突き刺さっていた。


「…ったく、周りのことも考えて欲しいね。

慌てて展開したのに全然、間に合わなかったじゃないか…」

奈菜が、そんな事を呟いた。

その手には剣を持っており、その剣は地面に突き刺さっていたのだが…剣を地面からゆっくりと抜き始めると、爆発地点を囲んでいた壁が地面へと潜っていく。

奈菜の持った剣が地面から完全に抜けると同時に、さっきまであった壁は完全に地面の中に埋もれて消えた。


剣は光となって消えていく。


「…勇者様」

そこに声をかけられる。

奈菜の後ろには騎士が居た。


「あ~…さっきの爆発は多分、里稲を殺すために周りへの被害を狙ったものじゃなく攻撃力を一点に集めた爆発だから、周りにいた人が食らったのは爆発の後の衝撃波。

だから見た目ほど被害がデカイってわけじゃないから今すぐに瓦礫の下に埋もれてる人を救出して、治療魔法をかければ死にはしないと思うよ…」


「了解しました」

一言だけ騎士は口を開くとすぐさま周りに居る巻き添えを食らわなかった騎士や、それこそ近くの門などに配属されている衛兵達に連絡をしているであろう。


「…予想であって実際にどうかはわからないけどね」

そんな事は気にしていないような奈菜は、爆発の中心地をジッと見ていた。


「今の攻撃…完全に炎くんは死んだかな。体が1つも残らないほどだろうから相当痛いだろうけど…死んでるなら関係ないか。

それにしても、周りを襲った爆風でさえもあんな威力なのに、中心の熱の塊の中に居たはずの里稲は……なんで凌ぎきれるのかなぁ」

その奈菜の視線の先には、一本の大木が生えていた。

その大木は本来の場合、いくつかの木が絡むようにして一本の木となり相当大きいものだっただろう。

だが、その木の大半は焼かれ大木の太いはずの部分は半分ほどしか残っていない。





だが、その根元の部分に里稲は確かに生きて立っていた。

この大木は里稲の足元からいくつかの木が生え、里稲を包み込むようにしながら頭上でひとつに合わさり1つの大木となるつくりである。

本来は里稲を包み込んでいたはずの木は、里稲の目の前まで焼き尽くされ無くなっており、里稲が生きていたことは奇跡ともいえる。

当然、無傷ではないが……。


「くそっ……死ぬ間際まで面倒な」

そんな事をぼやいた里稲の右腕は所々が黒く焦げ、焦げていなくても何かでえぐられ数㌢ほどの袱紗で一部がなくなっていたりした。

それは右腕だけではなかったようで、他にも傷が多々あった。

だが、魔法とは偉大である。相当ひどい傷でも高位の治療魔法と良質の設備があれば数日で治ってしまう。

徹夜の右手だって、治ったのだから(※第一章『(血)祭り』の時の傷)


右肩に突き刺さっていたトンファーは刃の部分だけしか残っておらず元々あったであろう部分は溶けた様になくなっていた。


「…っ」

それを左手で掴み、一気に引き抜いた。

右肩に開いた穴から血が噴出し、元々傷つき血を流して真っ赤に染めていた右手の血に、さらに混ざっていった。


「…衝撃波は木と木の間の少しの隙間からもぐりこんで体を叩きやがったし防御自体の木は耐え切れなくなって前の方が燃え尽きてなくなるし……本当に生きてるのが奇跡としか言えないな」

ペッという定番の感じで血を吐き出す里稲。

口では無事そうなものだが辛そうに荒く息をし、自分が防御に使っていた木へと左肩から寄りかかっていて、その様子は相当ダメージを食らっているのは間違いない。


そこで里稲が周りを確認し、辛そうにしながらも地面にてつくと少しした後に一輪の花が異様な速度で育ったと思えば、咲いた。


「周りに存在も確認できず地下にはそれらしき空洞は存在していない……爆発のせいで体の破片すら残っていないけど死亡は確定、だな」

空に飛んで逃げたとしても、あの衝撃波を生み出す爆発の中で平気で飛べるわけが無い。

だったら地下が怪しいと確認しても、ソレらしきものは存在していない。




結果、炎の死は確定だろう。





 ─  ─



異世界で、そんな事が起こっているのとは別に公園をはしゃぎまわる子供達がいた。

そこにはたまたまおばあさんと通りがかった真くんも、その中に参加しており楽しそうにキャッキャと笑いながら公園を走り回っていた。

そんな真くんを掴んだ人間が一人居た。


「ふへ?」

変な声をあげる真くんに対して、真くんの肩をつかんだ人間…右目に怪我したときなどにつける眼帯を右目に付けている少年だった。


「ゲット」

その少年は真くんを掴みながらニッコリと笑う。

別に真くんが振りほどけないほどの力で掴んでいるわけでもなく強引に引っ張っているわけでもないので、真くんは特に何も思わず自分の事を掴んでる少年を首を傾げながら見つめた。


「なに?」


「いや、別に何か痛い事とか攫ったりとかをするわけじゃないから安心してくれ。俺は唯時って言うんだ…宜しく、真くん」

少年…唯時はただ笑いながら、真くんに喋りかけている。


「ん~? 結局、どんな用?」


「いや、改めてじっくりと見に来ただけ…ほら、デパートで変な光景を見たことあるだろ?」


「…うん」

徹夜の言うデパート事件とかいうヤァ~ツ。


「俺もあの場に居てさ、なんとなく真くんが気になってね」


「むぅ…?」

そこに他の子供達が真くんに「どうしたの~?」という疑問の言葉を出しながら、近寄ってきたが唯時が少し真くんに用事があるだ、と優しい感じで言って真くんを子供達から少し遠くのベンチへと連れて行った。

一応だが、真くんのお世話をしてくれているおばあちゃんは少し離れているが十分見える位置に居て、真くんを心配してか、ジッと真くんたちのほうを見ている。


「はぁ…少し大胆にやりすぎたか。無駄に警戒されちゃったな」


「…?」

唯時の呟きに真くんはさらに首をかしげた。

それになんでもない、という感じに唯時はあらためて真くんのほうに向き直った。


「俺は君のお兄さんと知り合いなんだ」


「テツ兄のこと…? でも、本当のお兄ちゃんってわけじゃないよ?」

一応、真くんは幼くないです。ちゃんと喋れます。


「知ってる。

でもさ、真くんをいつも気遣ってくれるだろ?」


「…うん」


「だったら別に本当かどうかなんて気にしなくていいだろう…本心から気遣ってくれる人は、表面上の形だけで本心からは気遣ってくれない家族よりも大切な存在だからな。

その人にとっての考え方で、本当かどうかなんて関係ないさ」


「むぉう…」

小さく唸っている真くんに対して、唯時はただ笑っている。

そんな感じだったが唯時は何かを思い出したように顔を上げ、ポケットを探り始めた。


「そういえば飴玉持ってたんだ…食べる?」


「いいの?」


「ああ、昼前に後で舐めようとと思って買って一個も舐めてないからまだまだいっぱいあるんだ」

唯時の掌の上には用命な袋に入った紫色の飴玉…おそらくぶどう味だろう。

俺的にはやっぱりぶどうも美味しいけどメロンとかパイナップルとかのほうが好きなんだよね。

ただいつも気になるんだけど缶に入っているドロップスやらにはチョコ味という飴にする必要無いだろ、と思ってしまうような味があるのはどうかと……いや、そんな事どうでもいいけどね。

忘れてくれ。


「ありがとっ」

一言お礼を言った真くんはすぐに飴玉を袋から出し頬張り始めた。

口の中でコロコロと転がしながら美味しそうに笑顔でいる真くんを眺めている唯時。

数秒して、唯時は立ち上がる。


「…そろそろか、なっ」

唯時がいい終わる前に唯時の横っ面に向けて回し蹴りが放たれ、それを唯時が腕を縦にするようにして防御していた。


「……なんであなたがここに居る?」

それは、栞だ。

いきなりの事態に対してマイペースなことに真くんは美味しそうに飴玉を舐める事に集中している。マイペースバンザイ…いや、いきなり『バンザイ』とか言い出す意味が分からんけどもさ。

すみません、忘れてくださいマジで。


「制服で蹴りとか…やめたほうがいいぞ? 見えちゃうぞ? 惜しい事に見えなかったし、誰も見ていたわけじゃなさそうだがな」


「うるさい!」

栞はつい大声でそんな事をいいながら、唯時に向けて拳を放つがそれも軽く避けられてしまった。

ちなみに栞が小細工したらしく周りの人間が栞たちを見ても特に反応せずにスルーしたり、真くんを見守っていたはずのおばあさんは空をボーっと見ている。


「ただ真くんと雑談をしていただけじゃないか。そう怒るのはやめたほうがいいぞ?」


「…なんであなたが真くんと話しているのか、というところが気になるんですけど?」


「なんとなく、じゃないか?」


「…嘘はいい」

栞は唯時を睨み、それに対して唯時は何の反応もすることはなく笑っている。

それを見た栞はとりあえず落ち着くことにし、少し深呼吸した後に改めて唯時をにらみつける。


「…なんで眼帯?」


「眼に浮かぶ模様は能力を発動させたときにしか浮かばないが、あの老人につけられたマークは常時消えることなく残っている。

美咲なら前髪で隠れてるし泰斗も首辺りだから後ろの髪で隠れている…俺は前髪を伸ばす気はないし、視ないと戦えない俺は前髪は無いほうがいい。

だから、この世界じゃ眼帯だよ。大体の事だったら怪我した、で済ませられるしな」


「ふぅん…それで、なんで真くんと話していたの?」


「あいにく御老人に敵側に不利になることや老人の狙いがばれるような余計な会話をしないように言いつけられているでね、話せないんだ。

まぁ、気にしなくてもいい。別に真くんに害のあるような事をしたわけでもないからな」


「それは私が後で調べれば分かる事だから、わざわざ言う必要はない」


「へいへい…まったく俺の親切を無駄にするような…。

しょうがないから、俺は退散しようかね」

無駄にへらへらと楽しそうに笑いながら、唯時はすぐに栞に背を向けて歩き出す。


「じゃな、真くん」


「うん、じゃあね! 飴玉ありがとぉ!」

そこに栞が内心魔法で吹き飛ばしてやろうかと考えると、それさえも見えていたのかすぐさま逃げるように走り出した。


「真くん、あの男と何話してたの?」


「家族がどうのこうのの難しい話!」

まぁ、大体あってる。


「……?」

栞はただ首を傾げるだけである。






 ─  ─



これは四日後の話である。

そこは今、徹夜達が戦うハメになっている世界…だが、徹夜たちがいつも居る『フォルテ』という国の領土の中ではなかった。



「ここが『ジパング』かぁ」

日本に似ている和風な建物がいくつか並んでいて、それを眺めながらつぶやいたのは俺。つまり景山 てちゅ…徹夜である。別に嚙んでない。

わざとだ…わざともわざとで痛いけどな。

自分の名前で嚙むとか終わってんだろ。




頭の後ろで1つに縛っている長い髪の毛は銀色で、太陽の光を反射してキラキラと眩しいほどに輝いていた。

サブタイトルのはただの唯時くんでした…まぁ、大半の人は気づいていたでしょう。

徹夜くんが銀髪ッ!? もしや不良に…





誤字・脱字があればご報告よろしくお願いいたします。

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