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俺は闇、幼馴染みは光の勇者様  作者: 焼き芋(ちーず味)
第三章 セカンドワールド 堕勇と勇者の戦争
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89話 『火竜』vs『世界樹』

前回の話で説明し忘れたことがありますが、ちゃんと設定を覚えておくと説明しなくてもわかります。(第三章の『火竜』という話です)

今回の本編でも説明しましたので見る必要はないです。

炎が天井を突き破り、逃亡のために飛び出していったあとである。


「神沢 炎が逃げましたが追わなくてよろしいのですか? 勇者の方々」

話しかけてきたのは騎士と思われる青年。

口調はできるだけ丁寧に、しかし目は完全に『追え』とでも言うようなモノだった。

こっち見んな。


「めんどいからパス。

というか、俺はあまり理解できてないんだが魔力をなくしてる枷があるのに何故炎は魔法が使えたんだ?」

それを気にする必要は一切存在していないので当然、パス。


「私もパス。いい加減にここまでこき使われるのは嫌…睡眠時間が削られてて相当眠い。

徹夜、炎君は自分の作る人形に精霊を入れてるんだよ」

そのあとに美月が続いて、そんなことを言った。

俺たちが寝てるときに炎が逃げ出したら大変、ということで交換制で起こされていたので少し眠いのだ。


「それで?」


「しかも精霊を入れてる器には魔力もためられてその分だけ動かせる。

だから頭に常に魔力をため続けた器が存在してるから炎君が魔力を流さなくても精霊に合図を送ったら勝手に動くということだよ」


「ふむふむ、大体理解した」

美月さん、説明ありです(前回の話で説明し忘れたことは内緒)


「まぁ、少し話を戻すが俺もそろそろちゃんと寝たいな」

瑞穂の言葉。同感です。


「俺、夢で瑞穂にキスされるって言うときに起こされたのがとても悔しくて…」

和馬…お前はどんな夢を見てるんだ。瑞穂は男だぞ?

まぁ、当然瑞穂に蹴られて吹き飛んでいたのは言う必要はあるまい。


「私は明日アイドルの仕事があるからいい加減に帰りたいわね」

これは要だ。ご苦労様です。


そんな感じで瑞穂、和馬、要の三人も追う気はないらしく焦ってもいない様子で居た。



「…私が行くからなにもしなくて良い」

そんな時に里稲が一言そんなことを言うと、丁寧なことに綺麗に壁を壊して出ていった。


「一応、ボクも遠くから見学させてもらおうかな。

君たちは来る必要ないから、家に帰っても良いし好きなことしてていいからね」

それに続いて奈菜が飛び出していった。


「ま、俺たちが行かなくても結局はあの二人が行くのはほぼお決まりだからな」


「確かにそうだよね」

俺の言葉に美月が同意の言葉を漏らした。

ああ、やっと俺は眠ることができるのですね…ここまで本当に長かった。

もう、疲れたよ…パトラッ《ピーッ!!(NG音です》シュ。

いや、NG音役に立ってねえけどさ。


そんな感じの俺たちを、騎士様はどんな思いで見ていたのかは正直興味ない。




 ─  ─


炎は竜にのって空を飛んでいた。


「サラ…あそこに下りてくれ」

それに竜の外見にはあまり似合わない女性の声で『わかりました』と聞こえると、竜は高度を下げて特になにもない広場へと下りた。


「確か、ここ辺りだったかな?」

そんなことを呟きながら地面を掘り始める炎と周りを気にしてキョロキョロしているサラだ。


数㌢掘っただけで現れたのは一つの箱だった。

炎は特になにも反応せずにその箱を地面の中から取りだしふたを開けた。

そのなかには可愛いとは決して言えない不気味な人形とトンファーという鈍器が入っていた。


「トンファーとか使ったことがないんだけど…どれだけテキトーに武器を選んだんだよ。

俺的には鈍器じゃなくて斬る系の方がよかったんだが…」

そんなことを呟いた炎。

その次の瞬間にトンファーの殴るための長い部分(名前わかりません)が溶け操作され、刃のような鋭いモノへと変わった。

よし、と何が良いのわからないがそんなことを呟いた炎は再びサラに乗り、空へと飛び立った。


そしてズボンのポッケに人形を強引に押し込むかたちでしまった。


『炎がノロノロしているから追っ手が来ましたよ…騎士のようなので問題ないでしょうが』


「あ~…悪い、サラ」

急いで竜に乗り空をとんだ炎の後ろでは騎士たちが数人、異様な速度で建物を跳び移りながら追ってきていた。

たぶん、魔法具を利用して相当体を強化しているのだろう。


「とりあえずふりきるよう頑張ってくれ」

炎の言葉に従いサラはさらに速度をあげ、騎士たちから離れていく。


だが、先回りするように騎士たちも居たようで突然炎の前へと飛び出してきた。

数は十数人程度だろう。


「……サラ」

炎がサラの名を呟くように呼ぶのと同時に、サラは炎の言葉を待たずにいくつもの火の玉を放った。

火の玉にぶつかり吹き飛ばされていく騎士たち。

威力よりも数を優先したせいか、騎士たちは死ぬことはなく気絶するまでにとどまった。


だが、さすがにうち漏らしは存在しており数人の騎士たちが炎へと迫った。


「ふっ」

それに合わせて炎は右手に持ったトンファー…形を変形させて刃のようなものではなく、短い方で殴ると鎧にヒビが入り吹き飛んだ。

二人目は、一人目のあとに間髪入れずに襲いかかったのだが、すぐさま手首で捻りトンファーを思いきり回転させ、すぐさま切り裂かれた。


「次だ…!!」

使っていなかった左手。

そちらで持っていたトンファーでの再び刃てはない方で鎧を砕いた。


だが、先程とは違った。

砕いた鎧の間からなにか緑色のものを炎が視認した。

それと同時に緑色のものが一瞬のうちに飛び出した…炎を貫くような勢いで。



「…ぐぅッ!?」

それをギリギリで反応し身を捻ってかわそうとした炎だが、最後のなにかを避けきれずに横腹に突き刺さった。


『炎!?』

竜から驚くような声が漏れる次の瞬間には竜がその騎士を熱線で焼き払った。

鎧以外なにも残らない、まるでそこに生き物なんていなかったように。


焼き払われたのは騎士の鎧を身に纏った何かなので、炎を貫いたなにかは残っている。

そのなにかは植物の蔦だった。

その蔦は次の瞬間には、炎が燃やし灰になり細かくなって宙を舞った。


「くそっ…里稲か」

そんなことを呟いた炎の目の前の竜の背にタイミングを見計らったように里稲が着地した。


「お前はここで殺す…神沢 炎」


「やれるものならやってみろ…その前に俺がお前を殺してやる。

ずっとお前のことを殺したかったんだ、丁度良いだろう?」


「偶然だな…私もお前を殺したかったんだ」

その瞬間に炎のトンファーと里稲の蹴りがぶつかり合いお互いに吹き飛ばされた。

炎も里稲も完全に吹き飛ばされた勢いを無くす前に、炎は竜に火の玉を放たせ里稲は植物の蔦を放った。

炎の放った火の玉に蔦が刺さると爆発し結果的に相殺された。

ここでやっと建物の上に二人とも着地する。


「死ねっ!!」

炎は腹の傷から血が決して少なくない量が流れており、相当ツラいだろう。

だが、それでも炎は里稲を殺そうと迫る。

それに続くかたちでサラも動いている。


「…『木人形(ウッドゴーレム)』」

里稲の周りに木が生え、それが人形になり動く。

その人形たちはサラに飛び付き、体を燃やしながらも炎から離れさせる形となった。


「ふっ」

短い掛け声と共に炎がトンファーを振るう。

それを後ろにとんで避けた里稲はすぐに前に飛び出し数回の蹴りを放つ。

炎はトンファーで受けるが受けるたびに勢いよく横腹から血が吹き出し、それに炎は辛そうな顔をした。


『炎!!』

その女性の言葉と主に数発の火の玉が里稲に向かって飛んできて、それを大きく後ろに跳んで里稲はよけた。

先程までの木人形は既に燃え尽きていた。


「…ありがと、サラ」


『…その体では無理でしょう。ここはおとなしく逃げた方が』


「いや、あいつだけでもここで殺していく。

あいつは今殺しておかないと絶対に後で後悔するはめになる」


『……そうですか』

それ以上、サラはなにも言わず。

ただ炎のサポートをするためにのっしりとした竜の体で立っている。


「…本当に私を殺せると思ってるの?」

逃げようとしない炎を見て里稲が呟くような声で訪ねた。


「当然。

それにもう周りは騎士たちが囲んでるだろう…お前と騎士たちに追われるのはキツいが騎士たちだけなら問題ないしな」


「……ふぅん」

そんな会話をしたあと、少しだけ黙った二人。


「「ッ!!」」

同時に走り出す。


それからは互いに攻防が繰り返され…(戦闘描写をどう書けば良いのかわからなくて短縮した訳じゃないんだからねっ)

炎が振るったトンファーを上に跳んでかわしながら後ろにまわり蹴りを里稲は放ち、それを防御しながら攻撃する炎など…。

短い間に何十もの攻撃を放ち、何十も防御またはかわすのを繰り返した。

それはサラや里稲の植物などの攻撃もあり、騎士たちは割り込めずにただ見てるしかなかった。

そのなかには奈菜も居たが、割り込むことは可能なのに割り込む気はなく、ただじっと観察するように眺めていた。

本人の言うように見学とかわりはない。


二人とも至近距離で格闘を繰り返している。

そこで…


「っ!?」

力が抜けたのか膝がカクッと曲がり炎の動きが鈍った。

今まで横腹に穴を開けられながらずっと戦っていた炎。

それは長く激しく動き回るような事は本来出来るはずもなく、今までずっと耐えていたのが、ここで耐えられなくなった。


そして、その隙を見逃すような里稲でもない。


「がッ!?」

炎の背中に何本もの植物の蔦が突き刺さる。

体をのけぞらせ、口から血をはいた炎。


『炎!!』

サラがつい大声で炎を呼ぶが炎は返事をできない。


「……」

黙ったままの里稲の顔は完全に笑っていた。

それを見た炎は背中に走った痛みに苦しんでいる顔だったのだが、今まで以上の速度で右手に持っていたトンファーの刃を里稲の右肩に突き刺した。


「…ッ!?」

驚く里稲にたいして、炎は簡単には抜けないようにさらに深く突き刺した。

ドロリと口から溢れる血を気にしていないかのように炎が声をはっした。


「お前は殺すと言ったはずだ……。

サラ、悪い。さすがにアレはサラも痛いだろうが使わせてもらう」

それを聞いたサラはなにも言うことなく、その竜の体がボロボロと砕く散ってなくなった。



だが、竜が崩れるのと交差するように炎の足元が変化し形を作っていく。

それは今までみたいな竜ではなく、髪の長い女性だった。

それも等身大というわけではなく、上半身しか出ていないのに3㍍はありそうだ。


『別に構いませんよ、炎。私はあなたのパートナーですから』

その巨大な女性の口からサラの声が聞こえた。

そして、その女性はだんだんと赤くなり…周りが明るく、そして熱くなっていく。


「ッ!?」

なおも驚く里稲。


「さて、一旦死のうか…」

それに対して意地の悪い様子で炎は笑い…




その次の瞬間には雲にもとどくほどの火の柱を産み出し、30㍍の範囲に入る周りの家を粉々に吹き飛ばす程の爆発が起こった。

裏切り者の悪い人なのに、いい人みたいな終わり方をした炎君。

夏休みが終わる前にあと一話いけるかな?




誤字・脱字があればご報告よろしくお願いいたします。

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