85話 ギリギリやったわ…
サブタイトルのは活動報告『どういう事だってばよ…』を読むとわかります
食パン美味しいよね?
食パンは基本的に食パンを入れている袋を開封したときが一番美味しい。
袋を開封したとき…それは食パンの一枚一枚に十分に水分が含まれており、しっとりとしていてそのままの状態で食べても美味しいであろう。
数日すると水分が飛び、パサパサするようになりやはりこの時点ではそのままでは美味しいとはあまり言えなくなってしまうと俺は思ってるんだ。
やはりその場合はレンジてチィィン!! したり、とか焼いたりとかね。
そういう工夫を加えることで、美味しくなると思うんだ。
そういえば昔、ある番組で古くなりパサパサになった食パンを新しく買ったしっとりした食パンの間に挟むことで挟まれた食パンはしっとりしてる食パンの水分を貰い。
パサパサからしっとりへとグレードアップするそうだ。
俺的には、しっとりさせる必要なんてなく焼いたりすればいいと思うのだが…。
そして食パンには食べ方とかも大事だと思うわけde…
「徹夜、どうしたの?」
「んあ? 特に何も…食パンのことなんて考えてないよ?」
「そっか、食パンのこと考えてたんだ」
食パンについて考えて現実逃避するのも、もう飽きた。
少しだけ言おうとしたことを言うならレンジでチンして牛乳と一緒に食べたりするのは美味しいですよ、という事だ。
そして現実逃避する理由としては、今俺達の状況である。
周りは豪華な装飾の施された異様に広い部屋の中、その中には庶民の俺にとっては無駄と思えるほどの豪華の服装をした(宝石のネックレスをつけているドレスの女性や華やかな服を聞いた男性など)いろいろなお方がオホホ、ウフフ、グヘヘ、ハァハァ…(これは絶対に違う)と上っ面だけは楽しそうに話をしている。
つまりはパーティー…前回からの三日後である。
「…ったく、なんでこんな面倒なものに参加しなくちゃいけないんだよ」
俺の目線の先には威厳のある顔の男と10歳程度の子供、あとはそのお母さんであろう女性。
つまりは俺達が今居る国…『フォルテ』の国王、王子、妃様というところだろう。
実際俺達はあったことは無く、見るのも初めてだ。
「実際、あの国王と面と向かってあったことがあるのはカントクが一緒だったけどボクくらいかな。
瑞穂くんや和馬くんは、通常は王子の護衛として動いているから王子様とも仲はいいはずだけどね」
俺の隣にいた奈菜が俺の目線の先を確認した末、そう言ってきた。
「ふむ…というかさ、奈菜。少し尋ねるが」
「ん〜?」
「何で、パーティー出るのが学校の制服?」
そう、俺達が来ているのは制服。
学ランではなく、ブレザーのほうではあるが何故パーティーに出るのが制服なのか気になったのだ。
「それ私も気になってた」
美月。
「この国で最初に召喚された勇者は制服…当然、そのときの時代だと学ランだったらしいんだけど、その時から制服はそれなりに高評価なんだってさ。
だから時代が経つにつれて、勇者はこの世界の服やドレスなんてただきつくて苦しいだけだからあまり好きじゃないでしょ? それで制服を着る様になって今はブレザーなわけ。
ちなみにウチの学校の制服だよ、それ」
「ウチの学校には制服無かったはずだが?」
「ほら、この制服さ…地味に細かい所まで作ってるじゃない?
ボク達の服って戦っていくうちに攻撃とかでボロボロになっていくし汚れもひどいじゃない? その結果、あまりお金も使えないから私服にしたわけ…フリーな私服の方が制服よりもかかるお金は少ないからね」
ちなみに説明し忘れていたが、戦いでボロボロになった服はこっちんも世界で新しい服と交換か、まだ直せる程度ならば直すようになっている。
時々、服が変わって帰ってくるので母さんに何事かと聞かれて汚してしまったので変えてきたと無理な説明を押し通したことは多い。
「ふぅむ…」
微妙な返事をするね、俺は。
「この制服、もらえないかな〜? 私は結構好きだよ、これ」
美月が自分の着ている制服を触りながら、そんな事を呟く。
制服のデザインは、どうやら美月的に高評価のようだ。俺はあまりそういうのを気にしないのでわからん。
「別に大丈夫じゃない? ボク達はこういうの参加するのは少ないし、こういうパーティーて貴族並に待遇を良くして来るから、これって毎回一着一着つくってくんだよ?
貴族ってお金の事を考えないような人たちばかりだから、そういうパーティーに出席した数のドレスとかを持ってる女性も居るらしいしね」
「うわぁ…金が飛ぶなぁ」
「庶民の私達にとっては、あまり関係ない話しだし関わりたくない話だね」
奈菜の言葉に反応している俺と美月。
「そういえば、こういうのって結構、挨拶しまくるもんじゃないか?」
俺はこういうのは参加した事がないのでわかりません。
というか、参加できる要素がなかったのでわかるわけがありません。
「そういうのはボクは苦手だから、人当たりに良い和馬くんや要ちゃんに任せてるよ。
ちなみに炎くんはいつも貴族のお嬢さんやらに玉砕しに行ってるね。この際だしボク達以外の人を説明するけど瑞穂ちゃn…くんは王子様のすぐ近くで待機していて、里稲ちゃんはいつも通り不参加かな」
「いいな、不参加。俺も不参加になりたいんだけど」
「それなら山積みの書類と一緒に楽しむことになるよ? いつも不参加なかわりに里稲ちゃんはいつも書類と楽しんでるからね」
「それも嫌だね…」
「何で里稲は仕事好きなのだろうか…」
「なんでだろうね、異常なほどに仕事とかに拘ってるよね。里稲ちゃんは」
そんな話を俺達はしていると、後ろでカツカツと足音を立てながら近づいてくる人物が居た。
「我は帰りたいんだがッ!」
いきなりそんな事をいいだしているのは無駄に長い髪のルル。
その後ろにはニィが居た。
その二人の姿は何故か、俺達と同じデザインの制服。
まぁ、理由としてはドレス着るのが嫌だから…という単純なものだろう。
「ちなみに物語に出てくるようにお転婆な貴族のお嬢さんとか居るんだけど…やっぱりドレスとかよりは動きやすいって言う理由で制服を特注で頼む人も居たりするね、ルルみたいに」
やっぱりか。
「こんばんわ、奈菜さんに美月さんに徹夜さん」
礼儀正しく挨拶してくるのはニィ。
それにそれぞれ挨拶し返している俺達…ちなみに時間は夜。
本当は昼にでもやってもらって早めに帰りたかったのだが、何故かこういうのは夜に行われ俺達は仕方なくお泊りすることになっていた。
「まったく、なんで我がこんな面倒なものに…っ」
そんな事をいいながらワインと思われる赤い液体をぐびぐびと飲んでいるルル。
この世界では成人の年齢が違うとは言え、ワインはそんな一気に飲むような飲み物じゃなかったんじゃないかな? まぁ、映画やテレビ番組で見た知識だから、よくわからんけども。
ぷは〜っ! とビールを飲んだおじさんのようなルルである。
「ルル姉さん…一応、人前なんだからちゃんとしてよ」
それにいつも通り叱っている(叱ってると言うのか?)ニィ…これも多分、毎日やってることなんだろうな。
「まぁ、とりあえずいつも通り回ってくるね。ルル姉さん」
「おぅ…頼んだ〜」
ニィは奈菜に、ルル姉さんを頼みますね…と一言言うと歩いてどこかに行ってしまった。
「まったくルルは…ニィちゃんにいつも面倒な事を任せて」
奈菜。
「ん〜? ニィはいつも自分から行ってくれてるが? いつも『姉さんに任せてると貴族相手に失礼なことを言いそうなので任せておけません』と言ってな」
「それはダメだろ…魔王としても姉としても」
「まぁ、自覚はしている」
俺の言葉に楽しそうに笑いながら、そんな事を言ったルル。
自覚しているなら直せよ。
「あまり大声では言えんが、貴族は人間とは別に面倒な種族と認識しても可笑しくは無い者達だしな。正直、我が話したら何が起こるかわからないぞ?」
「確かにルルに任せたら何が起こるかわかりそうにないんだけどね〜。嫌な結果になるであろう事は予想できるけど」
確かに予想はできるな。
少し話が変わるが貴族ってのは観察してると、何かと面白い。
ポーカーフェースが苦手なのか、顔は明らかに嫌そうなものなのに口では賛同していたり、それを見た相手は特に反応することなくそのまま話していたりなどだ。
いやぁ、帰属って言う種族は面白いね。
当然なことだけど、貴族は種族じゃないが…。
「はぁ…帰っていいかな〜」
「もう少し待とうよ、徹夜くん。まだ15分も経ってないよ? 一時間ぐらいは我慢しないと。
ボクだって帰りたいんだから…」
「徹夜、こんな豪華な食べ物があるんだから食べてたら?」
奈菜も美月もできるだけ俺を引きとめようとしている。
奈菜は当然の事、美月もこういうのには参加しており、基本的なことではあるがすぐさま帰っちゃうのは失礼なことだ。
「まぁ、確かに食べ物は魅力的だよな」
周りを見渡すと沢山の食べ物がある。
さまざまな物があり見た目からして豪華な物が沢山あるのだが、その中にはまるでアウェーな雰囲気をかもし出している料理があった。
それは日本食だ。
「なんで日本食?」
「日本食って結構、人気あるんだよ? この世界で」
奈菜のお言葉
「へぇ、何で?」
美月のお言葉。
「うまくは表現はできないが日本食は世界の料理と違う方向性で美味しいからな…この世界での食文化の方向性が違うこともあって相当人気なのだぞ?」
ルルのお言葉。
「まぁ、日本食はともかく他の料理には誘惑されるな。
いくつか食べようかな…」
「私もついていくよ、徹夜」
「おぅ」
美月と俺は、とりあえず歩き出した。
─ カッツ!! ─
「あぁ…今日も玉砕玉砕。人生に望みは無いのかな?」
これは炎である。
たぶん一時間近くはたったのではないだろうか?
「ま、どんまい」
俺は皿いっぱいに料理をのせて、分厚い焼かれた肉をモギュモギュと食べながら炎に一言だけ言ってあげた。
まぁ、食いながらって結局礼儀がなってない気がするけどな。
この世界の料理に一時的ではあるが、ドはまりした。
「なんだよ〜、もう他人事だと思って」
他人事ですやん。
「あぁ、もう疲れた。我は帰るぅ」
酔っぱらった状態のルルはフラフラとしながら歩き出した。
「ルル、ニィちゃんはまだ貴族の人たちとお話ししてるけど良いの?」
「菜奈ぁ、ニィには予定してた通りの宿で先に寝てるから用事が終わったら来るように伝えといてくれぇ」
「…そんなに酔っぱらってて大丈夫なの? ボクが送っていこうか?」
「問題なぁい…我は大人ですもん!」
うわぁ、完全に酔っぱらってるよ。
そんなことを言ったルルは歩き出しており、それはフラフラとした足取りのため慌てて菜奈が支えている。
「とりあえず城を出るまでは送ってくるね。酔ってて貴族に喧嘩うったら、さすがにまずいから」
「オーケー」
「うん、わかった」
俺と美月の返事だ。
「じゃ、そろそろ俺も帰ろうかね。やりたいことも終わったし」
これは炎だ。
「じゃあな、炎」
「じゃあねー」
俺も美月もそれに答える。
どうせ、お泊まりになってしまうので後で会うのだけどもね。
俺たちは一応ニィが戻ってくるまでは待つ方がいいだろう。
さて、また食事を楽しむか。
─ ─
ルルが城を出てから数分しか経っておらず、ルルは一人でフラフラとしながら歩いていた。
やはり周りは夜中なので空は真っ暗。
一応、この都市は発達しており魔法具を使用した電灯のようなモノが設置されていたので真っ暗というわけではない。
「うわぉ…世界が歪んでやがるぅ」
そんなことを呟いたルル。
完全に酔っぱらい、いつも以上にダメな雰囲気をかもし出している。
そんなとき、後ろで足音がし…ルルは酔っぱらっているわりに異様に素早く振り返った。
「ん? お前は…」
ルルのそのあとの言葉は聞こえず、電灯で薄く照らされた真っ黒な夜に混ざり消えていった。
─ ─
「ルルは先に帰っちゃったぞ」
「え? ルル姉さんは先に帰ったんですか?」
ニィが来たので、とりあえず伝えた。
「うん。先に宿に行ってるってさ」
美月がそれに付け加えるようにして言った。
それに対して少し心配そうな顔をするニィ。
ルルは美月も知っているが『呪い』のようなモノでいつも苦しんでいるからニィが心配するのも無理はなi…
「大丈夫かな…いつも泊まってる所だけどルル姉さん迷子になってないかな」
あ、そういう心配ですか。
「ボクが送り出す直前に宿の場所を聞いたらちゃんと答えたし、夜は兵士さんが見回りしてるから大丈夫だと思うよ?」
菜奈が、それに答えニィは少しだけ安心したようなモノへと変わった。
「ルル姉さんの事なので心配なのは変わりませんが、たぶん問題ない…はずです。うん、大丈夫」
自分に暗示をかけてるよね?
「とりあえず、ルル姉さんを追って私も宿に戻りますね。
貴族の方々への挨拶も無事終わりましたし」
「おう、じゃあな」
俺。
「さようなら、みなさん」
ニィ。
「じゃあね、ニィちゃん」
美月。
「ルルによろしくね、ニィちゃん」
菜奈だ。
それを聞いたニィは、ペコリと頭を下げて城を出るために走り出した。
「俺たちも戻ろうか、疲れたし」
「うん。そうしよう」
「ボクもそうしようかな。要ちゃんと和馬くんはまだ大変みたいだけど、ボケはなんにも関係ないということで」
「お前、一応俺たちをまとめてる感じなのに逃げるのか〜?」
「いやいや、これは戦略的撤退で…」
「菜奈ちゃん、それは逃げてるって認めるのと同じじゃない?」
そんな感じでふざけた会話をしながら俺たちは会場から出ていった。
─ ─
「ったく…お偉いさんは華やかなセキでキャッキャウフフしながら城で高い酒飲んでるんだぜぇ! やってられっかボケぇ!」
『フォルテ』の王都を見回りをしている兵士は基本的に二人一組。
今、口を大声で叫んだ者もその内の一人である。
「そんなに飲んで…俺たちまだ勤務中だぞ?」
「はんっ! 飲んでないとやってけねぇや…お偉いさんは楽しんで俺たちみたいな庶民は仕事仕事って…」
「わかったわかった、わかったから少し落ち着け…」
酔っぱらった相棒さんをなだめている兵士さん。
酔っぱらった兵士は今も手に酒の入った瓶を握っており、酔っぱらっているせいでちゃんと支えておらず、もったいないことにドボドボと酒が漏れていた。
二人とも、それなりに長い間見回りを続けている兵士である。
そんな二人だが片方の酔っぱらった兵士の顔が真っ青になら始めた。
「うぇ……気持ち悪い」
「ったく、飲みすぎやがって…お前をお前の奥さんのとこに連れていくのは俺なんだぞ。
もう、酒は飲むんじゃないぞ」
酒を取り上げられた兵士だが気持ちが悪いせいで満足に動けず、酒を取り返すこともできない。
「今日は巡回のルートを近道して少し楽するか…お前がそんな様子じゃ満足にできるわけがないしな」
酔っぱらっていない兵士が酔っぱらった兵士を連れて、近道するために横道へと入っていった。
「「おぶっ!?」」
酔っぱらった兵士をつれていくのに苦労しながら歩いていくと何かに足が引っ掛かり二人とも転んだ。
「な、なんだ?」
酔っぱらっていない兵士が上半身を起こし、何に引っ掛かったのか確認するために周りを見回した。
だが、横道なので明かりはなく確認できず見回りの兵士に配布されている照明用の安い魔法具を取り出し始める。
「なんだぁ、この臭い?」
酔っぱらった兵士がそんなことを呟く。
それで酔っぱらっていない兵士は、そこに立ち込める異様な臭いに気付き、慌てて取り出した照明用の魔法具で辺りを照らした。
そこには体に三つほどの穴をあけ、血を大量に流した死体であろうモノがあり…その死体は血に濡れてほぼ真っ赤だがその間に見える素の肌は真っ白で、その死体の身長を越えるであろう真っ黒な髪が血と同様に周りに広がっていた。
あぁ…ルルさん
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