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俺は闇、幼馴染みは光の勇者様  作者: 焼き芋(ちーず味)
第三章 セカンドワールド 堕勇と勇者の戦争
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83話 ネズミーランド「ハハッ!」

やっとデパート事件オワタ。


少し補足ですが徹夜くんにトラウマを埋め込む近所のおばさんと真くんを世話してくれる近所のおばあさんは別です。

判別し辛いので説明しときました。

そこはデパートを覆っている青い壁の外側。

そんな所に奈菜、瑞穂、和馬、最後に要が地面の上に立っていた。

デパートの周りには人はいない。

今日は休日であり、その光景は異様と言えた。おそらく、青い壁の効果のひとつである人を寄せ付けない魔法がかかっているのであろうと思われる。


「来たのはいいものの、どうやら壊すのは無理みたいだね」

奈菜の手には剣が握られており、その目の前の地面は青い壁に向かって焦げ跡がついており何か炎系の攻撃を行ったであろう事がわかった。

そんな奈菜の足元のコンクリートが溶け、炎が顔だけ飛び出してきた。


「チッ…スカートじゃないのか」


「うるさいよ、炎くん。

それより、どうだったの? 地面の中」


「だめ、やっぱり無理だったよ。

というか、当然この地面の中にもいろいろとあったの溶かしちゃったんだけど、どうしようかな? カントクがどうにかしてくれるかな?」

炎がそんな事をいっていると、要が口を開いた。


「カントクならどうにかしてくれるんじゃない? カントクは今までだって、こっちの世界でこういう事が起きないかどうか心配してたし」

それを聞いてホッとしているのを他所に、奈菜は青い壁をどうしようか考えている。

和馬や瑞穂などの他の人もどうするか考えてジッと青い壁を見つめているが、基本的に堕勇のあの人ではないので(誰かさんの義妹)結界やらを一瞬の内に理解し穴を見つけ、そこをこじ開けて通るなどという芸当はできない。


「あら、あなた達も来ていたのですか」


「ん?」

そんな言葉が聞こえ奈菜達が振り返ると、そこには明が居た。

それに対して和馬が異様など速度で銃を取り出そうとした。


「この世界では、やめていただけると嬉しいですね。

今日はなんにも持ち合わせて落ちませんので……まぁ、奈菜さんの能力を使えば剣の一本や二本なら簡単に創ることは可能ですけど」


「……徹夜くん達を襲ってるのはあなた達の方でしょ? というか、何でキミはここにいるのかな?」


「私はこの世界で暴れることには反対です。

ですので、私は今回不参加ですが本当に実行しているのかどうかが少し気になってしまいましてね」

声に特に嘘を言っているようなモノはなく、本当に気になって来ちゃいました(テヘペロっ)…というような感じだ。

『テヘペロっ』は必要ないけど。


「ただ確認にしに来ただけなので、もう帰りますかね」


「その前に、これどの程度の攻撃をすれば壊せると思う?」


「多分無理だと思いますよ? この結界を作り出す魔法具をつくったのは『魔道書』なので、それこそあなた達が居る国の結界よりは劣るでしょうが、それに近いものを造ったといってましたし」

明の言葉に、つい奈菜は舌打ちしそうになりながらもただ青い壁の向こう側にあるデパートを見ていた。






 ─ モブ視点より ─


「なん、だ。これは…?」

その日、デパートにたまたま来ていた30代の男は突然の眠気に襲われ断つこともできないほどの睡魔のせいで頭をくらくらとしながらも当然の事に対して眠らないように力を振り絞っていた。

周りには何人もの人間が自分と同様に突然の睡魔に襲われ、すぐさま倒れていった。


これは、魔法によるものなので一般人にしては何秒も耐えているこの男は、相当な者だろう。


そんな事普通ならば異常な状態に居る男だが、眠気に襲われ満足に脳は動いておらず特に何か対照しようとする考えさえも、その頭には浮かばない。

当然、どう対処しようと魔法なので無意味なのだが男にとっては関係ない。



そんな男の周辺、そして目の前である。

そこにはほんの一瞬だったが、意味不明でありえない光景を見た。


最初に現れたのは、男の子をおんぶしている少年だった。

そして、そこに並列するようにして走る少女。

これだけでは異常ではない。

だが、その二人(走ってるのは二人なので男の子は除く)は、それこそプロのアスリート顔負けの速さで走っていた。

その時に何か…


「いやぁぁぁぁぁぁぁァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 追いかけて来てんじゃねぇよ、ばかぁっ!!」


「いや、でも徹夜…目的が目的なんだもの追いかけてくるのは当然じゃない?」


「んんんんんんんんんんんんっ!!」

…という叫び声が聞こえていたが、そのときの男にとってよく分からなかった。

そして、その後に見た光景は本当に異常で走り回る大きな狼、跳びまわる人間、そして竜。


そんな光景を一瞬だけ眼に捉え、その次の瞬間には眠気に打ち負け瞼が重くなり…男は眠りについた。






 ─ 帰ろう、本来のあるべき場所へ… ─


目の前には雑魚人形の拳が迫ってきていた。


「美月、真くんを預かっててくれ」


「ん、了解」

おんぶしていた真くんのそのまま背中から離れさせると、真くんがわずかに空中を浮遊したかと思うとすぐさま美月が真くんを受け止めた。


そんな美月たちとは別に俺は、目の前に迫っていた拳を受け止めるのだが勢いは殺さず、上に流すように持って行く。

その動作と共に俺は片手で逆立ちして腕と足を折り曲げている状態になっており、次の瞬間には腕も足も一気に伸ばし、雑魚人形を蹴り上げた。

上に凄い勢いで吹き飛ばされた雑魚人形は宇宙のかなたへと…さすがにそれは無いな、天井があるし。


「…『光の剣ライト・ソード』」

美月が俺の後ろでそんな声が聞こえ(久しぶりに魔法の呪文を聞いた気がする)美月の目の前に光の剣が何本も展開され壁のようになり、飛んできた攻撃を防いだ。

たぶん、さっきの攻撃は楓のモノ。


その次の瞬間には俺も美月も逃げるために走り出していた。


「逃げながらコアを探すというのは、鬼畜ゲーじゃないですかね!?」


「これはさすがに辛いよね~」

そんな事を軽い口調で言っている俺達だが、次の瞬間には前に大きくジャンプをした。

すると、さきほどまでいた場所が爆発する。

さっきのは多分、堕勇雑魚バージョンの攻撃魔法だと思う。


「行けッ!!」

その短い掛け声と共に美月が光の剣を数発放つ。

その先には銀色の狼が居たが、すぐに避けてしまい行動不能にはできない。

この場合は少しの時間でも良いから足止めを狙っているだけなので問題はない。

そうそう簡単に倒せるとは思っていないしね。



「ふッ!!」


「うぇッ!?」

短い掛け声と共に前方から降り下ろされた刀を、後ろに向かって跳んだことでギリギリで避けた。

今まで走ってたせいで、勢いのついている逆方向に向かって跳ぶ形になってしまったので避けるのが相当辛かった。

刀で斬りかかってきたのは当然、葵だ。


「らァッ」

すぐさま蹴りを横っ面に向かって放つが葵はしゃがんでしまい、俺の蹴りは避けられた。

そして、しゃがんだ状態で葵は俺に向かって刀で突きを放つ。

正直目の前に迫ってくる刃は怖い。


「ヒイッ!?」

それこそ三流悪役のモブのような悲鳴を漏らしながら首を横に振るようにして避けた俺。


「…死ね」

それに対して葵はニヤリと笑うと、縦に構えられていた刀がくるりと90度回る。

つまり、俺の首を切る角度だ。


「ちょ!? 待っ…ッ!!?」

驚くことしかできない俺に刀が迫る。

だが、刀と俺の首の間に光でできたロングソードが入り込み刀を止めた。

光源にもなっているロングソードはしっかりと刀を受け止めている。

明の言う美月の能力のおかげだ。


「徹夜、こっちも大変なんだから気を付けてよ。

真くんの前でグロテスクな光景は見せられないよ、さすがに」

当然それは、いつもこんな時にいつも助けてくれる美月さまである。


「…ありがとな、美月」


「いえいえ…どう、いたしましてッ!!」

美月が最後な言葉を言い切ると同時に、力を込めて葵の刀を弾き飛ばした。

ソレと共に俺の足元から闇が葵に向かって放たれ、ソレを避けるように葵は離れていった。


「いや、ホント辛い」


「この数相手だと逃げながらでじゃないとキツいね。

前みたいに戦う気でいくと、同じ結果になっちゃいそうだし」

とりあえず走ります。


「コアが見つからないのが、一番の問題だな」


「一応私、魔力を探る魔法できるんだよね。

最初に得た知識に、そういうのも入ってたからさ」

さすが完璧女。


「じゃあ、それやってくれよ」


「それがね、もうやったけど反応なしなんだ」

なん、だとっ!?


「たぶん、それに対しての隠蔽魔法的なもので見つからないようにしてあるんだと思う。

色々と一つの魔法具にたくさん詰め込まれてるから、詳しくはないけど相当な腕だよね。これ作った人」

おお、俺の妹が誉められた。

いや、喜ぶところじゃないし喜んじゃいけないところだけどね。

俺の思考ずれてるわ~。


「言う必要ないと思っていってなかったんだけど、これ作ったの栞だわな」


「おお、あとで誉めないとね!」


「俺が言えたことじゃないけど、お前も結構ずれてるよな」

そんな会話をしながら走ります。


「その会話、ウチも混ぜて~な。美月ちゃん!」


「なんであなたは私ばかり狙うの!?」

最初のは楓、そしてそれにビックリしながら答える美月。

その合間にも楓の放った攻撃を美月が防いでいた。


「会話を混ぜてとか良いながら攻撃するとか、まぜてもらう気ないだろ」


「うっさい! ホントはウチは今日、ゆっくり過ごすつもりだったんやで!

あの老いぼれの命令を聞くしかないから、こんなかったるいことやってるや。ウチに休日を返せこのヤロォォ」


「知るか!」

俺がボソリと呟いた言葉に反応して何故かキレた楓は攻撃を放ってきて、俺はソレを闇で食って無効化した。

ちなみに、楓といつも居る口喧嘩で圧倒的に弱いであろう人は…


「ネズミーランドにいく予定があったのに…」

…という感じで、俺たちが逃走を開始しはじめてからボソボソと呟いている。

この人怖い。


「どうせ日帰りだから長い時間遊べる訳じゃなかったし夜のパレードを見れるわけじゃ、なかったけどさアァァァァ!」


「んなこと知るかアァァァァ!」

思いっきり八つ当たり気味に、放たれた攻撃を、それに答えるよに放った闇の塊で相殺(そうさい)した。


「ふん、犬は犬らしくネズミを追いかけてろ」

それは猫ですよ、葵さん。

美咲を馬鹿にするネタが欲しいのはわかりましたが猫と犬をごっちゃにしないでください。


ちなみなあなたは猫派ですか? 犬派ですか? 俺は犬派です。

…『あなた』って誰だ?



「それは猫じゃないか?」

美咲さん、それ言わないであげて。


「………そう、とも…言うな。うん、言うよ」

うん、言いませんね葵さん。




「んっ」

そんな会話はおいといて、俺と並ぶようにして走っている美月に抱えられている真くんが俺の服を引っ張ってきた。


「どうしたんだ? 真くん」


「あれ」

俺の質問に真くんは短い言葉で返しながら、デパートに内装としてある小さいサイズの噴水を指差した。


「…あれがどうしたんだ?」

俺の質問。

当然この会話は美月も聞いており、何事かと噴水を見ていた。


「テツ兄達が探してるもの」


「へ?」


「あの噴水の一番上。水が出てるとこ」

俺がそれを聞いて、噴水を注視してみるが特になにもない。


「なにもないぞ? 美月、わかるか?」


「いや、私もわかんない」

さすがに、この距離だとわからない。


「行けばわかる」

真くんのしっかり自信のある口調に、俺たちはなにも言うことができず走っていた方向を変え噴水へと向かった。


何人かの人形に襲われつつも、たどり着いた噴水の水が出ている場所。

そこには少しばかりくぼみがあり、そのくぼみにビー玉が転がっていた。


「これ、か…?」

俺の問いに真くんは、しっかりと頷いた。



「……これといったアテもないし、壊してみるか」

それこそ、いい加減な理由だったのだが俺がビー玉を壊した瞬間…


…世界に色が戻った。


「「ッ!?」」

最初とは違う意味で驚く俺と美月。




「うわ、結界が壊れたからっていきなり撤退命令来たよ。あのクソ老いぼれめ」

後ろを追いかけていた美咲がそんなことを呟き、すぐさま逃げていく。


「…ん、んんんん?」

よく状況がわかってない俺。


「終わったのかな?」

そして美月。


そして、そのままボーッとしていて数分すると菜奈と会った。

よくわからないまま、終わっていた。





というか、なんで真くんは分かったんだ?

唯時「81話で『魔眼』という名前だけ出てきて出番がないというのは、どういうことなの……」




誤字・脱字があれば御報告よろしくお願いします。

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