21話 多数の謎(?)
前回のあらすじ
大会の決勝戦を行おうとした所を、いきなりの乱入者。
それは魔族で、闇に包まれた。
いきなりの乱入者だ。
そして闇に包まれていた。
・・・最初に俺の感想を申し上げよう。
「・・・な~んにも見えない」
目の前真っ暗だ・・・。夜の暗さとかなら意識すれば昼間程度に見えるんだが闇を使えるからといって他の人が出した闇の中でも見えるわけではなさそうだ。
「ふむ、もしやと思っていたが当てが外れたみたいだ。ライルしか戦えないようだね」
さっきラルドさんが隣にいた。
それと同じような場所から声が聞こえた。
「あとは、私がこの闇を切り裂けば大丈夫だろう」
「できんの?」
「私が持つこの剣の名前を忘れたの?闇の濃度が思ったより高いから力をためるために、少しかかるかな」
ふむ、さすが聖剣ですな。
あとは俺もいろいろと試すとしますかな。
気配をつかむ?むぅ・・・剣を向けられたら避けられない・・・。
ああ~、どうしたらいいんだろう? 無差別攻撃?
…だめだ、ライルとかにあたる。
ん~、やっぱり闇を使うしかなさそうだ。
外じゃあ闇が充満しているだけで中を見れるわけじゃなさそうだし……よし、いろいろ試していきますかな。
─ ─
そのとき、魔族の男・・・二人いた内の一人がこちらのチームに向かって結構なスピードで迫っていた、片手にはロングソード、もう片方にはナイフを持っていた。
『折ることのできない剣』のチームのほうにはもう一人が言っているだろう。
この男の役目は上官が出した闇の中で迅速にかつ確実に決勝まで進んできた者を殺す事だ。
だが、その役目を行う前に邪魔が入る。
「・・・あなたの相手は、この私」
その理由はライル。
闇の中で動けないと思っていた魔族と人間のハーフは二つの目でこちらを見据えている。
「おもしろい・・・」
男はただ笑っていた。
─ 一応他のチームのとこもやっときま~す ─
「防御体制AからBCへ移る」
その声が響くと同時に剣を持った男達は動き、形を変えていく。
男達の周りでは金属音が響く、攻撃されている。
このチームは闇に十分に立ち向かえるものは今はいない。
普通ならそれ専用の装備をしなければ闇の中ではフリなのだが、今は微弱ながらも魔法を使い相手の動きを察知し連携を組んで守りきっている。
「『聖剣』のラルドが動くまで待て。闇がなくなればすぐに血祭りにあげるぞ」
それがこのチームに最初に伝えられた言葉だ。
「防御体制BCからAMにうつる」
戦いは続く。
─ ─
いくつもの金属音が響く、ライルと男が戦っている音だ。
ちなみに俺は…。
「何だ・・・この感じは?」
何か良くわからない感覚があった。
自分の闇には入ったときはないからわからないし、闇自体に入ったのはこれが初めてといっていいのだが…。
よくわからない感覚が妙に残る。
なにかひっかかる。
そんな感じだ。
少し考え事をしたとき……ズキリと頭に痛みが走った。
次瞬間には目の前に何か映像が流れている。
映像が映ってるというわけではなくなにかの記憶そんなところだと思う。
それは二人の男女の姿だった。とても仲がよさそうな二人。
どちらも黒髪、黒目というまるで日本人のような姿。
そして男は肌はふつうの肌色で人間だという事がわかる。
女の方は腰まで伸ばした黒い髪。
そして、少し黒い肌、背景も鮮明に移ってる、それを見る限り前の世界ではない。
それにこの世界でも、前の世界でも一回もあって話したことのないはずの顔の二人だ。
ただ、矛盾があるようだがこの二人の顔にはすこし見覚えがあった。
そして次に入ってきた情報は耳からだった。
映像で女が口を開き…。
『ヤマモト リシさん』
女が名前らしきものを呼んでいる。
すると、男はそれに答えるため口を開き…。
『山元李氏。リシでいいよ、リシ』
『じゃあ、そうします。リシ』
女はニッコリして答えていた
「ハッ!?」
次の瞬間にはさっきと同じ場所にいた。
なんだったのだろうか。さっきのは・・・?
むぅ~・・・考えても良くわからない。
とりあえず今の状況を打破するために考える事にしよう。
─ ─
「―くぅッ!!」
ライルは立っている。
その体は無傷ではなくところどころに傷ができ、出血している。
「その程度ですか?闇の中でも見える目を持っているのならもっと楽しめるとおもったのですが」
男は武器を構えながらとニヤニヤと笑っている、
「あなたのあとはあなたのほかのチームメンバーを殺す番ですね」
「ッ!!」
その言葉を聞くとともにライルが跳び、次の瞬間にはするどい金属音が響く。
ライルの武器と男の武器がぶつかり合っている。
だが次の瞬間にはライルの腹に男が蹴りを打ち込みライルが吹っ飛ばされる。
「ぐぅッ!!」
このときライルが考えている事は仲間を守る事。
なにがなんでも相手を倒し仲間を守る。
でも力が足りない。
どうやって守る・・・?
そのとき……。
―では、力を貸そうか?―
頭の中にそんな言葉が聞こえた。
「誰だか知らないけど借りる。仲間を守る力を」
意識するよりも早くその言葉が出た。
考える暇なんてなかった。
すると・・・
―では貸そう。我が火の力。昔、貴方に迷惑をかけてしまった償いのために―
その言葉とともにライルの目が熱くなった。
「・・・ッ」
いきなりの事で驚き目を押さえる。
やっとおさまり手でおさえるのをやめると…。
両方の目とも赤色に変わっていた。
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2012/06/05 訂正しました