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俺は闇、幼馴染みは光の勇者様  作者: 焼き芋(ちーず味)
第三章 セカンドワールド 堕勇と勇者の戦争
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62話 お猿祭りだ!

「ど、どした…ルル?」

いきなり苦しそうに倒れているルルに混乱している俺は、なんだか意味のないような質問をしてしまった気がしたが、こういう時にどうするかも全然分からないわけでして、こんなことを喋りかけても意味はないと思うし、とてもよくわからなくて混乱してるわけでして、こう…思考がグチャグチャ~ッてしてるのは、やはり混乱しているからだ。


「心配するな…ただの、病気みたいなものだ…」


「いや、病気は心配しないと駄目なものだが……?」

苦しそうに声を漏らしたルルに俺が返答する。


「……さすがに、こんな醜態を見られては隠すのも無理だろうから言うが、我の体は12年前から…まぁ、よく言う『呪い』というものに侵されているというわけだ。

一日数回ほど、薬を飲まないと体中に激痛が走って…辛くて移動もできやしない」


「……じゃあ、その薬を飲めよ」

普通に話しているルルだが、その表情は嘘ではない苦痛に歪み汗がだらだらと流れているので、相当の痛みがルルを襲っているのだろう。


「ふっ……」


「……? 何でいきなり人を馬鹿にしてるように笑ってんだ?」

この状態で人の事を馬鹿にした笑を浮かべているのだから、ルルはなんというか…うん、ぶっちゃけて言うけど、アホだと思う。

そんな俺の思考は置いといて、ルルは俺のほうに手で米粒ぐらいの大きさを表しながら笑う(手を上にあげるだけでもめっちゃ辛そうにしているのは気にしないでおこう)


「我が、そんな小さなものを毎日忘れたり無くしたりせずに持ち歩けるわけがないだろぅ!!」

…………この、真正のド阿呆だ!!

というか、何でこんなのが魔王なんていう無駄に偉い地位についてるんだよ…将来色々と問題ありすぎだろ魔族。絶対にニィのほうが適役だろ。


「まぁ、本当はニィがいつも持っていてくれるので問題はないと思っていたのだがな……。

あと、これは…他言無用だからな? これはそちら側の国ではカントクと奈菜、こちら側ではニィと片手で数えられるほどの者しか知らないのだからな」


「…なんで、そんなに少ないんだ?」


「一応、こんなガキでも我は『魔王』…その大勢の魔族に頼られるべき王が、呪いで苦しんでいるなんてことを知ったら…戦えない魔族達は不安がるだろう…」


「その呪いとかいうのを解く方法はないのかよ?」

なんかルルは横になりながら喋ってるのを辛そうな感じにしている。

普通は横になったほうが良いのではないかと思うがルルは何故か俺に起こすように合図しているので、しょうがないので起こしておくことにしよう。


「この呪いは体の一割ほど侵食されているし、細胞の一つ一つに結びついてしまっているから、これを解こうとすれば侵食されている体の一部を取り除かないといけないんだ。

それに、奈菜が魔道具で見たところ…もう心臓まで侵食されているらしいから手遅れだろう。

…まぁ、死ぬ前にやりたいことは全部やり尽くすつもりだ」

ルルは話している内容に対してギャップがあるほどの笑顔を浮かべながら、言葉を続ける。


「我が死ぬ前に堕勇との戦闘も終わらせなければならないし…ニィは私よりも才能があり、もう少し経てば絶対に我よりも強くなるだろうが、わざわざニィに全てを任せるわけにはいかないのでな!!

姉の威厳というものを妹にしっかりと見せなければ、死んでもしに切れぬしな~ッ!!」

そこ、無駄に豪快に笑っているが体に激痛走ってるから苦笑いになってるぞ……。


「…むきゅぅ」

あ、力尽きた。

……さっきので疲れたのかぺたりとルルは頭からゆっくり(顔をぶつけて痛くないように頑張ってるな)と倒れていった。




  ─  ─


「ニィちゃん急いで!!」


「…分かってます!! これでも頑張ってますよ!!」

徹夜とルルの場所から美月とニィのほうへと移る。

二人ともそれなりの速度で走っているのだが、やはり美月の方が基本性能で速いため美月がニィを急かしている。


そして…その後ろでは、美月の膝ぐらいまでの身長の骨でできた猿が狭い通路を三ケタ居るんじゃないか、というほどの量でウジャウジャ(大量に居る効果音)ギィギィ(サル達の鳴き声)という感じである。

その骨の猿達は城の廊下や壁などの石のブロックから次々と飛び出してきており、普段は石のプロックの中身をくり抜き、ソレを住処として活用していて得物が来たら、そこから飛び出してくる魔物なのだろう。

単体ではせいぜいCランクほどの魔物だが、団体で集まるとSランクまで上がる面倒な魔物たちである。

そして、その魔物の生き方としては基本的に集団で住処を造るため、基本的に常時厄介な敵である。


未だに増え続ける魔物たちに追われている美月とニィ。

基本的に、やろうと思えば殲滅もできるのだろうが……なにぶん相手の見た目は骨でできているだけではなく肉片やら目玉やらの生前(あるのか?)の名残があり、相当キモイ。

返り血を気にしないニィも含め、さすがに二人とも引いた。


「倒しても沸いてくるし…どうしたらいいのぉ~!!」


「…ルル姉さんなら一対多の戦闘のほうが得意なので、一斉にあの猿共を殲滅させることも可能でしょうけど、居ませんしね」

美月の悲鳴にも似た声と、それに冷静に答えるニィ。


「……(そういえばルル姉さんは薬、何時飲んだっけ?)」

そんな疑問が一瞬だけ思い浮かんだニィだが、一匹の猿が思いっきり跳んで襲い掛かってきたため…ニィはそれをナイフで切り裂いた。

猿の体の骨が切り裂かれると一瞬の内に体が砕け散り、少ししかなかった肉片を含めて周りに飛び散った。


「…これじゃあ、おちおちゆっくり考えている暇がないですね」


「何を考えてたの?」


「いえ、美月さんが気にする必要のないことですので心配は無用です」

そんな会話をしながらも二人一緒に結構な速度で走っている。


「とりあえずは目的地まで向かいましょう」


「うん!!」


そんな感じの二人だ。

この分の勢いだと(魔物に追われているから勢いがあるのは当たり前なのだが…)徹夜とルルよりも先に目的地に着きそうだ。




 ─  ─


「髪の毛邪魔だから、少し上にとめるぞ?」


「むぅ…しょうがない。良いだろう」

俺は闇の中から取り出した差し込んで挟む形の髪留めを取り出し、ルルの髪の毛を約三分の一ずつわけて…うん、説明が難しい。

よし、無駄に頑張ってよう。

ルルの身長とほぼ同じの髪の毛を三つに分ける形で目印をつけるとしよう。

毛根が始点Oとし一番近い目印がA、その次がBで…髪の毛の先ということになる(若干、俺も意味が分からなくなってきた)

なので、Aで折り…BをOにくっつける形にし、そこを髪留めでとめたわけだ。(結局、意味が分からない気がする)

ちゃんと説明できる人ならば、簡潔にまとめられるのだろうが、俺の文才じゃあどう説明しても意味が分からなくなってしまっている…と、どこかの誰かが言っていた。

俺はあくまで景山 徹夜なので、よくは分からない。


「よいしょっと…」

そして動けずに居るルルを背中に乗せる形で背負う。

まぁ、簡単に言うとおんぶしているわけであり…ルルの髪の毛が異様に長くて邪魔だったので闇の中で造った髪留めで長さを調節したわけである。

とりあえずは、そんな感じで移動することにした。


「むぅ…なんとも情けない事か」


「薬をもってないお前が悪い」

グチグチと言っているルルはやはり表情は苦しそうにしており、俺はそれを気にすることなく先に進む。

というか、この場合気にしてもやれることはない…俺は基本的に治療魔法は苦手だし治療魔法でルルが治るのならば10年以上苦しんでいるはずはない。

…なので、とりあえず俺ができることはニィの元へと連れて行くしかないのだ。


「それにしても、さっきの髪留め…透明な材質で異様に黒く光っていて見事なほど綺麗だった。

何故そんな物をお前が持っているんだ?」


「さぁ、俺も知らん」

実は闇の中で作ったものだったりします。

本当は鉄の塊みたいな感じでテキトーにつくろうとしたのだが、そこにリヤナさんが介入してきた結果…ルルが綺麗というほどの代物になったわけである。

そこをカットされてしまうリヤナさんは可愛そうだと思う。


「…むぅ?」

俺の質問に意味のわからないような顔をしているルルだがスルーしておこう。

その顔から一変して緊張したような顔になるルル。


「…来たぞ、ハゲヤマ」


「何回も言ってるが景山だ……ルルも担いでいるし、なんか今回は異様に面倒そうだな」

俺達の周りには、毛むくじゃらの人間…というより猿。

10匹ぐらいの猿が壁に張り付いたり普通に廊下に立っていたりなどしてこちらに獣の純粋な敵意の目を向けてくる。


一応、ここは魔物がたくさん住み着いているのを忘れていた。

テストが来週なので近いし少し休もうかな(俺のことなのでテストを無視して小説書きそうなので怖い)



誤字・脱字があれば御報告宜しくお願いします

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