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俺は闇、幼馴染みは光の勇者様  作者: 焼き芋(ちーず味)
第三章 セカンドワールド 堕勇と勇者の戦争
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61話 邪念

月曜までは休みだったので、ゴールデンウィークは終わってたけどゴールデンウィーク気分でした。

大きな口をあけて突っ込んできた蛇をニィは蛇の頭スレスレの高さまで跳んで、すれ違う形で避ける。

ソレと同時に数回両手に持ったナイフが振り切られ、無駄に大きな蛇型魔物の両目の中心が切り裂かれた。

この頃数回出ているが蛇にはピット器官があり、当然蛇型の魔物も持っている…なので、両目を切り裂かれても気にすることなく魔物は、Uターンしてニィへと迫る。


「…ッ」

それを避けると蛇は、そのままの勢いで壁を突き破って消える。

だが、周りでは蛇が移動することで聞こえているのであろう轟音が響いておりニィは油断することなく、周りをキョロキョロと見回している。


なんか魔物との戦闘が久々すぎていろいろと違和感を感じるが……どうにもできないな、うん(別に逃げているわけではない。いや本当に)


そして蛇が一瞬だけ床からとびだしニィを丸呑みにしようと大きく口を開けて迫るが、それをギリギリ当たるか当たらないかのできるだけ無駄を無くす形で避け、ニィは蛇をナイフで切り裂く。

だが短い長さの刃であるナイフなので、致命的な攻撃を与えることができず、蛇はニィの攻撃を気にすることなく再び床を突き破って消えた。


「さすがに、これ以上この城を壊されるのには腹が立ちますね」

ニィの手。

手の甲を上とし掌が下なのだが、開かれた手の人差し指だけ下に向かって曲がっており、それにナイフの持ち手についている輪に引っ掛け、ナイフがそれなりの速度で回転している。


「…美月さんは攻撃範囲外なので問題はありませんね」

チラリと美月の方を見て距離を確認する。

美月は戦わなくていいと言われてからずっとその場を動いておらず、微妙に手を剣にかけてはいるが何もすることなくジィ~ッとニィの事を見ている。


「……団体ならともかく単体のAランク相手に、少しばかり情けない戦いをしてしまってる気がしますね。

ルル姉さんの事もありますし美月さんの時間を無駄にするわけにも行きませんし…ぱっぱと決めましょう」

美月は何をして良いのかわからず、とりあえずニィのほうを見ているだけなのだがニィから見れば心配されているような風に見えたのだろう。


そんなニィの思考はともかく、そのニィの手の中で回っているナイフが出す空気を切り裂く音。

それは、何故か蛇の出す轟音のせいで聞こえなくなっているわけでもなく、ハッキリと聞きとることができているので若干不自然さを感じる。


そして轟音が段々と大きくなっていき、ニィの背後から蛇が飛び出した。

ワンパターンのように大きな口をあけ、ニィを丸呑みにするために迫るがニィはそれを振り向くことなく、手にまわしていたナイフをパシリと持ち、振るう。

それは蛇に対してではなく特に何もない所にたいして振るったはずなのだが…次の瞬間には蛇の体全体にそれなりに深い傷がいくつもでき、血を噴出す。

一瞬の間に全身にいくつもの切り傷を一斉につけられた蛇は、自分がすぐに死ぬであろうダメージを与えられたことも知らずにニィへと突っ込んでいく。


「…私、蛇はあまり好きじゃないんですよね!!」

突っ込んできた蛇の首(?)を切り裂く、やはりナイフなので長さが足りず致命的な傷は与えられない…はずなのだが、次の瞬間には蛇の首が飛んだ。

首が飛んだ結果、蛇の血がベシャッ…とニィの顔に付くが、それを気にせずにナイフの血をぬぐった跡に懐にしまう。


「顔に血か付いちゃってるよニィちゃん!! ちゃんと気にしないとッ…せっかく可愛いのに!!」

少し(?)ニィに対しての態度がほぐれてきた美月。


「では、美月さん…行きましょうか」

駆け寄ってくる美月の言葉をニィはスルーして足を進めようとするが、それを無理矢理とめられ…どこかから取り出したのか不明のタオルでニィの顔をぐぃぐぃと拭きはじめる。

なかなか血が落ちない。


「それにしてもさっきのはどうやったの? 見えない速さで切り裂いたってわけではないよね?」


「……わ、私がナイフを回してたことはわかりますよね? …もう、そろそろ拭くのをやめてくれませんか?」

美月にタオルで拭かれているので喋り辛そうにしているが、説明し始める。

ちなみにニィの頼みはスルーだ。


「うん」


「私がナイフを回した時に空気を切る音を鳴らしていたと思いますが、あの魔物を斬ったのは…その私がナイフで鳴らしていた音です」


「…ん~?」


「私が発生させた音…つまり、空気に伝わっている振動に魔力を纏わせた結果…あの蛇の魔物はああなったわけです。

最後に首を斬り裂いたのも私が思いっきり振りぬいたときに出た空気を切り裂く音に魔力を纏わせていたことで蛇の魔物の首をナイフの刃の長さに関係なく、蛇を真っ二つにできたわけです」


まぁ、要するにそういう事なのだよ(説明が意味わからなくなってしまった気がするが…本当にごめんなさい、としか言いようがない)


「とりあえず、先を急ぎましょう」


「うん」

やっと美月は血を拭き終わり…ニィも、やっとのことで歩くことができた。





 ─  ─


「んで、どこ行くんだよ?」


「とりあえず目的の場所に行こう、ニィならばわれわれの事を考えず躊躇なく行くはずだ」


「……なんかそれはそれで嫌だな」

そして場所が移り徹夜…つまり俺とルル。


「多分、ニィのことだから合流しようと各自で勝手に動くよりも、元々の目的の場所に向かっていったほうが効率的だと考えるだろう…。

我的には寂しいがな…」

なんか悲しそうな雰囲気のルル。

別に俺は慰めようとは思いません!! だって、めんどくさいんだもん!! うわぁ…『…だもん』って相変わらず俺の邪念は(今更だが『邪念』とは、本来の意味である『邪な念』ではなく『いろいろと無駄すぎて邪魔な念』…略して『邪念』である)気持ち悪いわ~。


「んで、お前を頼ってその場所に行けるのか?」


「任せておけ。

我も何回もここには来ているからな。覚えるのは基本的に苦手だが、なんとなく理解しているつもりだ!!」


「…なんかめっちゃ不安になるわ」

不安になるのは俺ではなく、不安にするのが俺のはずなのに…この頃、俺らしくないわ~。

まぁ、俺らしいって言うほど何か特徴があるわけではないので気にする必要はないと……思う。

…というか思いたい。


そんな邪念をグルグルと思考していると、いきなりルルに引っ張られて後ろに下がった。

するとさっきまで居た俺の場所が変な霧に飲み込まれて消失した。


「…気をつけろといっておいただろハゲヤマ!! 一応、ここは魔物がずうずうしくも住処にしてるのだぞ!!」

住処にしていたのか。


「いい加減しつこいと思うが、景山だ。

……あまり聞きたくはないんだが一応聞くとして……さっきのは何だ?」


「魔物の群れ、だな…」

そんな会話をしている俺たちの前で黒い霧が、俺たちを飲み込もうと迫ってくる。


「だが…無駄に集まっているのも駆逐しやすいというものだ!!」

その言葉と共にルルが手から魔法であろう炎を放ち、小さな魔物の群れを焼き払う。

だが、石でできた床や壁の間から湧き出し、焼き払う前の量よりもさらに大きくなる。

その魔物は羽根の生えた小さな蟻…それこそ外国でみた軍隊蟻のように歩いた先にある命を全てを食いながら…というか、石でさえも食いながら(石…美味しいのだろうか?)こちらに向かって迫ってくる。



「ここらの近くに、この魔物の卵があったのだろうな。

……さっきはハゲヤマがやったことだし、今回は我がやってやろう」

そんな事を呟いたルルの周りからは闇が噴き出す。

…それこそ今回の魔物のように霧状の闇が、相手の数倍の量で噴き出しているのだから、なんか餌にむらがる蟻みたいで気持ち悪い。

まぁ、相手は蟻なのだが…。


「景山だ」


「一応教えておくが、我が基本的に得意な…というよりも好きな戦闘方法は、相手にとっての360度他方向から圧倒的な質量で押し潰す事。

つまり、この程度の量ならば十分力押しで勝てるという事だ!」

その声と共にルルが闇を動かし、蟻の群れを円状に囲む。


「あっけなく終わってしまわせてすまないが、死ね」

蟻の群れは闇の霧によって押し潰された。

闇が消えると何千…または何万という数であったであろう蟻が押し潰されたため、真っ黒な球体が出来上がり、石の床の上でコロコロと回っていた。


「これは凄いな…」

その球体を拾い、まじまじと観察しながらそんな事を呟く俺。

いや、さすがにこれは思いつかなかった。これができるんだったら今まででも何回もやっていたと思う。


「さて、行きますか。魔王さ…ん?」

俺が間抜けな声を出すのも当たり前だろう。




俺が振り返った先では・・・・・・何故かルルが苦しそうにしながら倒れていたのだから。

ニィの蛇は嫌い宣言に瑞穂君とその精霊さんはどう思うのか…。

何故ルルは倒れたのでしょうか? 悪いものを食べたとか……?




誤字・脱字があれば御報告宜しくお願いします。

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